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72.『ドルーフおじさん』再び②

「はぁ、はぁ・・・・こいつの凄さはよく分かった」


 ようやく落ち着いた組合長が、元に戻った右手を凝視しながらニギニギして感触を確かめている。


「フフフ、分かって頂けて何よりです」


 よし、ようやく価格交渉始まりだぜ。


「ただなあ、もう少し聞きたい事がある」


 ・・・・・何だよ、まだうだうだ言うのかよ、そんなに言うならもう売らねえぞ。


「こいつはどこまでの傷を遡って治す事が出来るんだ?」

「・・・というと?」

「こいつだ。この俺の目だ!この目をやられてから少なくとも5年以上は経っている。それなのに、治っているのはどういう事だ?」


 そう言いながら眼帯をとった方の組合長の目に光が宿っていた。凄え!そんなに前の傷も治るの?俺知らなかったし、クロの奴も何も教えてくれなかったぞ。でもここで俺が驚くわけにはいかねえ。


「おやおや、そこまで治りましたか。それについては個体差があるとしか言えません」


 何か思いついた事を適当に言ったけど、嘘にはならねえだろ。


「もう一つ、何で商人ギルドじゃなくて組合に売りに来た?」

「それは組合の方が今なら高くで買い取って頂けそうでしたのでね」


 嘘です!本当は最初『ドルーフおじさん』でカモられたからな。カモられた俺が悪いけど、もう商人のハゲタカどもと交渉なんてしたくねえ。あいつら嫌いだ。


「・・・・分かった。ただ・・・・・・いや、先にこの黒竜の血の買取から済まそう。取り合えずそっちの言い値を聞こう」


 待ってました。取り合えず最初は吹っ掛けるぞ。


「実際に体験したから、この血はとても価値のあるものだと分かって頂けたかと思います。そこを踏まえて10億ジェリーでどうでしょう?」

「はあ!?」

「な!!!」


 ふふふ高いだろ。ビビっただろ。前世の記憶で何となく覚えている、『最初無茶な要求言って、そこから敢えて要求を下げてく』って交渉手段だ!まあ、ここで驚かれるのは想定の範囲内だ。


「・・・と、言いたいですが、今回そちらでアシッドスライムという大変珍しい魔物を討伐したと聞きました。その魔石をつけて頂ければ5億ジェリーまで下げましょう」

「買った」



・・・・・



・・・・・?



・・・・・え?今、組合長何て言った?


勝った?飼った?駆った?刈った?狩った?固った?



・・・・いや、今、『買った』って言ったよな?え?何で?地竜が3億ぐらいだろ?いくら黒竜って言っても血だけだよ!しかもクロからすれば一滴みたいな量だよ。1億で売れたらいいなって思ってたのに、即決かよ!


・・・落ち着け、俺、慌てるな。顔に出すな。組合長やリリーに動揺を悟られるな。


「・・・うむ、それでそちらがいいのなら、それで売りましょう」

「一つ確認だ。そのアシッドスライムの魔石は5億の価値があるのか?」


 うーん。絶対無いね。でもありそうな雰囲気だしとけば勝手に勘違いしてくれそうじゃん。


「普通の人には無いでしょう。ただ私は魔石収集が趣味でして珍しいアシッドスライムの魔石には5億の価値があると思っています。それにこれも色々有用な使い道がありますよ。私はそう言った事に使うつもりはありませんけどね」


 コレクターにしか分からねえ価値って奴だな。こっちの世界も変なもん集めている奴もいるって知られているからこれで納得してくれるだろ。そんで意味深に言ったけど、有用な使い道はタロウ達のおもちゃぐらいしか思いつかねえ。


「よし、分かった。交渉成立だ。リリー、金を用意してくれ」


 そう言って組合長がどこからか取り出した鍵をリリーに渡し、リリーが金庫から金を持ってきて机に置いた。その金は白く輝いていた。


 おいおい、白金貨かよ。初めて見たぞ。


 白金貨ってのは、噂では見ただけで白金貨と分かる程、白く輝く硬貨と言われている。しかも1枚で1億ジェリーの価値だそうだ。そんな凄い価値の白金貨が地方都市のコーバスの組合にあったとは、かなり意外だ。

 ただ、ここで偽物を出してくる程、組合長もリリーも馬鹿じゃねえはずだ。それを分かっている俺は、よく確認もせずに金に手を伸ばす。


「ふむ、確かに。それでは失礼させてもらうよ。忙しい所悪かったね」


 金も手に入ったし、とっととお暇させてもらおう。そう考えて金を袋に入れていると、組合長から話しかけられた。


「・・・なあ、『令嬢』はあんたの仲間なのか?」


 はいきたー。その質問来るかもと思ってたぜ。その時の模範解答はこうだ!


「『令嬢』?ああ、『お嬢』の事か。あの時はお嬢が横入りして悪かったね。人の獲物に許可無く手を出さないように私達できつく叱っておいたよ」

「「・・・・・」」


 ハハハ、『私達』って言葉で俺がボロを出したと思ったか?わざとだよ!こう言っておけば『ドルーフおじさん』と『令嬢』、の他に後一人以上は必ずいると思うだろ!そうなりゃ必然ソロの俺はアウトオブ眼中って訳だ。


「なあ、あんたらは何者なんだ?」


そう来たら、こう!


「私達はどこにでもいてどこにもいない」 

「・・・また、それか・・・それの意味は何なんだ?」


 いや、俺が言ったけど、その意味は俺も知らねえ。だって適当に言ったんだもん。けどな、そう返される事は考えてたぜ!


「それをあなた達が理解した時、私達もまた、あなた達を理解するでしょう」


「「・・・・・」」



 ハハハ、考えても今の言葉にも意味なんてねえよ。だって『深淵を覗くとき、深淵も・・・』って有名な言葉を適当にパクった奴だし。けど多分、今、組合長とリリーの頭の中で物凄い色んな事が考えられているんだろうな。


 この仮面今すぐ外して、『今の言葉に意味なんてありませーん!何考えてたの?ねえ、今の意味無い言葉に何をそんなに深く考えていたの?』って言ってやりてえええ。けど我慢だ。


「今は私達ではその意味が分からない事は分かりました。ただ、これだけは聞かせて下さい。あなた達は私たちの敵ですか?」


 一番聞きたいのはこれだろうな。これを聞いてくるリリーの方がまだ組合長より冷静かな。一応これも答えは決まっている。


「私達の正体に迫らない限り敵にはなりませんよ。少なくとも組合との敵対は避けます」


 だって、敵対したらコーバスの組合員が敵に回るだろ。流石に一緒に依頼受けたり酒飲んだりしたあいつらを俺の手で殺したくはねえ。野盗落ちや殺そうとしてきた場合は別だけど。


 他所の街の奴らなら何とも思わねえけどな。けどここは敢えて『コーバス組合』じゃなくて『組合全体』に勘違いさせる言い方にしたぜ。


「そ、それはつまり、それ以外とは敵対する事もあると?」

「その通り。組合以外は国だろうが、貴族だろうが、商人だろうが私達は躊躇う事はない」

「・・・っ」


 こう言っておけば、多分組合長が何か上手い事報告して、何か上手い事対応してくれるはず。頑張れ!組合長!・・・・そう考えると組合長にモレリアの手料理の刑は可哀そうだな。やめておいてあげよう。


 情報(大嘘)をくれるのはここまでにして、本当に帰るとするか。お!気を利かせてリリーが扉を開けてくれた。こういう所がやっぱり出来る受付嬢だな。それに比べて組合長は駄目!全然ダメ!何でか?そりゃあ、リリーの開けた扉を俺より先に出て、組合員にでかい声で、


「おう!お客様、お帰りだ!てめえら、道を開けろ!」


ときたもんだ。その筋の人じゃねえんだから。『お客様お帰りです』でいいじゃねえか。それだけで、みんな気を利かせて・・・利かせて?・・・そう言えばこいつら全く気が利かねえわ。組合長ぐらい言わねえと駄目だったな。


 『ドルーフおじさん』がいるって知られたのか、さっきより人が増えているが、それでもいつもより少ない。そんな連中が組合長の言葉に道を開けるが、俺を見てザワつき始める。


「おい、マジでいるよ」、「本物か?偽物じゃねえのか?」、「でも組合長とリリーが見送りしてるぞ」、「あれが『ドルーフおじさん』か。本当に名前通りの見た目だな」



・・・うん?今の声の一つが気になって振り返ると組合長とリリーがついてきている。見送ってくれるのか?めっちゃVIP待遇じゃね?


・・・なんて思う訳ねえ。多分どこに向かうかとか、正体に繋がるヒントが無いか、を最後まで探そうとでもしてんだろ。けど、残念!俺は空飛んで逃げるぜ!!外に出た俺はすぐに空に浮かび上がる。


「・・・チィ!当たり前のように飛ぶな」

「・・・・と、飛んでる・・・」


 空を浮かぶ俺を見上げ呆然とする組合長とリリーに一つ要望というかお願いというか、別に聞いてくれなくてもいい、ただ、聞いてくれたらいいなって程度の事を言っておく。


「そうそう、あの『黒竜の血』は、こちらの魔石をとってくれた勇敢な組合員に優先して使って貰えるとこちらも嬉しいです。今後も珍しい魔物を倒してくれるかもしれませんしね」


 アシッドスライムの魔石を見せながら、一応、出来ればって事でお願いしておく。アーリットや物語の主人公なら『黒竜の血』を無償で提供して、みんなを治療する流れにしただろうが、俺はそこまで優しくねえ。それにタダ働きはもう故郷でこりごりだ。


 倫理観のぶっ飛んだお人よしが助けてくれる、なんて事は絶対無いからな。『黒竜の血を売って組合長にお願いする』・・・体が元に戻る可能性があるってだけでも、可能性ゼロと比べたらマシだろう・・・これが俺が最大限やってやれる所だ。あとの事は知らねえ。




「当然だ!だからお前もわざわざ組合に直で売ったんだろう?言われなくてもあいつら優先で使ってやるさ!」


 組合長は、あいつらに使ってくれるみたいだな。ただ、治療費がいくらになるかは俺は知らねえ組合長次第だ。金が惜しいならケガしたままでいればいいさ。そこは自分達で好きに選べ。




「そ、その魔石!絶対悪い事に使わないで下さいね?」


 こ、これ?リリーは何が心配なんだ?こいつは今の所タロウ達に投げて『持ってこーい』って遊びぐらいしか、使い道思い浮かばねえんだけど。


「心配しなくても悪用はしませんよ」


 さて、本当にそろそろお暇させてもらうか。けど、最後に・・・


「すみませんが、こちらも喋りすぎました。これの中身は情報料として頂いていきますね?


 そう言って組合長からスった財布を落とす。貰ったのは金だけ。だって今、ベイルとしては一文無しだし。白金貨は額がデカすぎるからどっかで崩さねえと駄目だ。だからと言って普通の店じゃ絶対崩せねえ。これってもしかして、組合長の嫌がらせだったりすんのかな?組合長が財布握って怒って叫んでいるから、聞いても答えちゃくれないだろう。

 

 金崩すのは後で考えるとして俺は空を飛びコーバスから飛び去った。と見せて、適当な所で森に降りてから、隠れるように街に戻り、組合でチビチビ酒を飲んでいる。『ドルーフおじさん』が現れたからか少し活気が戻った気がする。


 組合は人は少ないが、二度目の『ドルーフおじさん』の出現に、今や話題はそれ一色だ。しかも誰か目ざとく組合長の無くなった手首が元に戻っていたのを気付いていたらしく、それも話題となっている。その話題で盛り上がっている連中の話を横で聞きながら、エールを飲んでいると、俺を呼ぶ声と共に背中に結構な衝撃があった。


「ベーイール!」

「おわ!!ちょ!酒が零れたじゃねえか!てめえ・・・・」


 組合長の金で飲んでた酒だぞ!もったいねえ!文句言ってやろうと振り返る。




・・・・・・・




 そこには俺の見なれた姿のモレリアが背中に抱き着いていて、今まで見た事無いぐらいニコニコ笑って嬉しそうにしていた。

 しかも少し離れた所にはゲレロもトレオンも今まで見た事も無い・・・いや、賭けで勝ったとか、昨日の娼館の姉ちゃん当たりだったって時と同じぐらいの笑顔で立っていた。その姿は失った腕や足が元通りで健康体そのものだ。

 

・・・・組合長は相変わらず行動が早い。躊躇う事なく本当にケガした奴の治療に使ったんだな。うん、まあ、いいや。売ったやつをどう扱おうがそれは俺には関係ねえからな。


 取り敢えずこいつらの姿に驚いた演技はいるよな。


「ナ、ナンデ?オ、オマエラ・・・ド、ドウイウコトダ?」


 どうよ!俺の演技力!


「こいつ、もう知ってんな」

「棒読みすぎんだろ!」

「あーあ、折角びっくりした顔見れると思ったのにー」


 あれー?そんなに俺の演技下手?これでも『組合員ベイル』、『ドルーフおじさん』、『令嬢』の3つの顔を使いこなす演技派なんだぜ。


 そんな俺を無視してトレオンが給仕に注文し始める。更に俺に金を要求してきやがる。


「まあ、いいや。取り合えずエール3つ!ベイルの奢りな!ついでに冷やしてくれ」

「何で奢らねえといけねえんだよ!それよりもお前ら安静にしてなくていいのか?」

「よく知らねえが大丈夫だ」


 ・・・・


 ゲレロのその自信はどこからくるんだ?多分、俺が帰ってからすぐに組合長が回復させて回ったんだろうけど、ついさっきまで体の一部が、モレリア何て大半が欠損してたんだろ。酒飲んでいいのかよ。


「いやあ、みんなに献身的に介護される生活も楽で良かったけど、やっぱりこうやってエール飲める生活の方が、僕は好きだな」


 ・・・モレリアの奴、あんだけの目にあっておいて全然へこたれてねえ。こいつ精神強すぎだろ。なんか俺が奢る事になったエールを美味そうに飲んでるし・・・。


 そうこうしているうちに馴染みの顔がどんどん組合にやってきて騒がしくなってきた。ってこいつらも大怪我してたはずなのに、回復したら速攻酒飲みに来るとか頭悪すぎだろ。


「まあ、まあ、明日からみんな借金生活でお酒なんて飲むお金もないから、今日のうちに飲んでおこうとでも思っているんでしょ」

「ああ?どういう事だ?」

「みんなクソマズいポーション飲んだって事だよ。一本500万、それで体が元に戻るなら、って事でみんな借金したんだろ。取り合えず今は回復を優先させるから、金の回収は明日以降って事だ」

「明日には組合に有り金全部渡して借金生活だ」

「真面目にお金貯めていたミーカでさえ200万の借金だからね。貯金なんてしてないみんなほぼ500万の借金になるんじゃないかな?ちなみに僕は500万借りる予定だよ」

「俺も」

「俺もだな」


 お前ら少しは貯金しておけよ!


「そう言えば、街にポーション無いって聞いたけど、どこから持ってきたんだ?」

「噂だと騎士団と兵士団が隠し持っていたのを出してもらったって聞いたよ」


 ああ、万が一の為にいくつか隠し持っていたのか。


「しかしすげえな、そのポーション。俺も聞いただけだけど、本当に体が元通りになるんだな?」


 良く知っているけど、すっとぼけて話を聞いてやると、こいつらも嬉しいのか、凄い楽しそうに話をしてくる。特にあのポーションの苦さは俺も味わえとか言ってきやがる。あれ飲むのは二度とごめんだ。


「体が戻ったんならモレリアは娼婦にならねえんだろ?そのデカい乳を揉ませてくれるって約束も無しか、残念だぜ」

「え・・お前、あんなになってたモレリアにそんな約束してたのか?」

「信じられねえ。こいつ人の心が無えのかよ」


 お前ら何をドン引きしてんだよ。お前らも前から揉んでみてえって言ってたじゃねえか。モレリアも普段通りだったし、構わねえだろ。


「・・・フフフ、ベイルがちゃんと責任とってくれるって約束するなら、揉ませてあげるよ」


 責任って何だよ。何要求されるか分からなくて怖いから却下だ。


「却下だ、却下。娼婦になる覚悟はあったんだろ?なら金払えば揉ませてくれてもいいじゃねえか」

「うーん。ベイルがこれから先稼ぐお金を全部僕にくれるならいいよ」

「借金あるからってぼったくりすぎだろ!俺を奴隷にでもしてえのかよ」


 いや、それでもこいつの乳が揉めるなら、奴隷にでもなるって奴もいるかもしれねえなあ。って思っていたら、本当にそんな奴がいたんだよ。


「はい!はい!はい!モレリアさんの胸揉めるなら、自分が責任とります!稼いだお金も貢ぎます!」


 コーバス一の馬鹿だと俺が思っているトラス君だ。こいつどんだけモレリアの乳揉みてえんだよ。


「・・・・・・キモイ。蹴り飛ばされたいのかい?」

「なんでえ???」


 いや、本当に何でだよ。確かにトラスはキモイけど、モレリアが言い出したんじゃん。しかもさっきまでご機嫌だったのに、今は人を殺しそうな顔になってやがる。こいつのキレるポイント分かんねええ。


「ガハハハッ。相変わらずトラスもベイルも馬鹿だな」

「ああ?何で俺が巻き込まれてんだ?俺はトラス程馬鹿じゃねえよ」

「いや、お前はやっぱり馬鹿だ。詳しく教えてやらねえ。自分で考えろ」


 何だ?こいつら何が言いてえんだ?


「モレリア!!!」


 詳しく話を聞こうと思ったら組合に叫び声というか悲鳴が響いた。誰だ?と声のした方を見れば、顔に未だ包帯が巻かれているシリトラが入口に立っていた。


「やあ、シリトラ。どこに行ってたんだい?」


 大声で呼ばれたモレリアは、いつも通り何でもない風に尋ねるが、駆け寄ってきたシリトラはモレリアにすごい勢いで抱き着く。


「モレリアあああ!ごめんなさい!ごめんなさい!あの時庇ってくれてありがとう!」

「もう!それは気にしないでって言ったじゃないか」

「で、でも、でも」

「でもじゃないよ。それに見てごらん。僕はもう元通りだよ」


 そう言ってガッツポーズをして見せるモレリア。


「ほ、本当に元に戻っている?よ、良く見せて下さい」

「そんなに近づかなくても分かるでしょ」


 モレリアの言う通り、手足生えてんだから良く見なくても分かるだろ。


「それよりもシリトラまだ治してもらってないのかい?そう言えばどこ行ってたのさ?」

「モレリアの為にポーションを探していたんです!それなのにあなたと来たら!!」


 おっと、いきなりお説教ママモードだ。こいつもキレるポイント分かんねえな。


「うーんと、取り敢えずシリトラも組合長にキズを治してもらいなよ」

「私は後でいいです。それよりもハウスにいないってどういう事ですか!しかもお酒!あんな状態だったのに、あなた馬鹿じゃないんですか!」


 シリトラの奴、本当にモレリアの母ちゃんみたいだな。見た目は全く逆だけど。


「え?だって明日から休みなしで働かないといけなくなるし・・・」

「ゴチャゴチャ言い訳はいいですから、帰りますよ。今日は私が娼館奢ってあげますから」

「ええー」

「『ええー』じゃありません。また耳引っ張られて帰りたいですか?」

「・・・・・・・・はい」


 シリトラにそう言われたモレリアは嫌々立ちあがり、肩を落としてシリトラと帰っていった。


 そうして、帰った後は今の騒ぎを酒の肴に再び3人で飲み始める。

 

「相変わらずシリトラ母ちゃんはおっかねえな」

「しかもあれでモレリアより強えんだよな。そりゃあ、あのモレリアも黙って言う事聞くよ」

「聞いた話じゃあの二人幼馴染で小さい頃からああだったんだってよ」

「『奢り』ってシリトラの見た目じゃ娼館断られないのか?」

「バーカ、あの見た目でもいくつか入れる娼館があるんだよ。年齢は念入りに確認されるらしいけどな」


 また一つゲレロからいらねえ知識を教えて貰った後は、いつもの組合の喧騒の中、ダラダラと過ごすのだった。

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