表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/60

59.カルガーとドルモル

「ブフ、ブフフ、ブアハハハハハ!見つけた!ようやく見つけたぞ、カルガーラ!貴様こそ、こんな所で何をしている」


 きったねえ笑い声と共に、小デブ貴族が厭らし顔でカルガーに近付いてくる。


 この時点で碌な事が起こらねえだろうなってのが昔の経験から分かる。


 そんで、そのカルガーはというと、髪で顔を隠すように顔を下に向けて黙っている。



 それでも小デブ貴族は、怒鳴りながらカルガーの髪を掴み無理やり顔を上げさせた。


「顔を上げろ!カルガーラ!」


 その動きに反応を見せたのはクワロやゲレロ、イーパ達。カルガーのパーティメンバーだ。相手は貴族だってのに武器に手をかけて、大丈夫か。


 それにしてもさっきから小デブ貴族が言ってるカルガーラって、カルガーの事なんだろうな。

 ただ、カルガーは、髪を掴まれ、無理やり顔を上げられながらも、目を逸らしながら人違いだと言い張る。


「ち、違うっす、人違いっす」

「フハハハハ!私の婚約者・・・いや、元婚約者と言った方が正確だな。お前の顔を忘れる訳がないだろう、カルガーラ」

「だ、だから人違いっす。誰かと勘違いしているっすよ」


 カルガーがそう答えた瞬間、組合内に渇いた音が響き、カルガーの頭が揺れた。


「て、てめえ!」

「カルガー!」

「駄目っす!みんな!手を出さないで下さい!タロウも!動いちゃ駄目っすよ!ベイルさん、申し訳ないっすが、タロウを見ておいて下さい」


 叩かれた頬を気にする事無く、カルガーはいよいよ武器を抜こうとしたクワロ達を大声で止めた。タロウの方は、人を襲うなって命令のおかげか大人しくしている。一応、万が一があるとヤバいから、俺はタロウの傍でいつでも止められるようにしておこう。


「そうだぞ、平民。貴族に武器を向けたらそれだけで極刑だ。まあ、その態度も気に食わんが、私は寛大なのだ。そこから動かなければ見逃してやる」


 小デブ貴族の相変わらずの物言いは、流石貴族様だ。クワロ達も極刑と聞いてギリギリ耐えているって感じだな。これ以上小デブ貴族は、クワロ達を挑発しないでくれよ。


「ふん。平民なんぞどうでもいい。それよりもいつまで誤魔化そうとしているつもりだ、カルガーラ」

「だから、誰かと勘違いしているっすよ」


 これもうカルガーが、カルガーラじゃなくても「はい」って認めるまで終わんねえやつだ。




 ・・・っとマジかよ。


 カルガーが否定すると、小デブ貴族は手を掲げ、組合の中だってのに火球を撃ちやがった。誰を狙った訳でも無く、たまたま運悪く射線上にいたヒビットが、慌てて盾で受ける。


「ちょ!何しているっすか!組合で人に魔法使うのは厳禁っすよ!」

「平民のルールなんぞ知るか。お前が認めるまで魔法を撃ち続けてやるぞ!フハハハハ」


 そう言って小デブ貴族は、火球を辺りにばら撒いていく。幸い威力は大した事なく、盾で受ければケガはしないんだが、飛び散る火の粉で、ボヤにならないようにするのが、面倒くせえ。


 そして、この小デブ貴族は、こいつより爵位が上の嬢ちゃんとイケメンがいるけど、組合が燃えて、巻き込まれたらどうすんだ?そんで嬢ちゃんとイケメンもさっさと止めろよ。何で何も言わずに黙ってるんだ?組合員がすぐに火を消しているから、問題ないとでも思ってるんだろうか。


 そうしてしばらく小デブ貴族が、火を無差別に放つが、近くにいる奴が盾で受けて、周りの連中が火の粉を足で踏んだり、水魔法使って消してるんで問題はない。


 ただ一向に自分の思った通りに事が進まないと、貴族ってのは無茶ぶりしてくる生き物なんだよな。


「貴様ら!今から盾で受けるな!この命令を破った者は処罰するぞ!」


 思った通り、無茶な命令してくる。だけどな組合員ってのは悪知恵が働くんだ。


「魔法もだ!魔法も使うな!」


 今度は飛んで来た火球に、シリトラが水球を当てて相殺したら、小デブ貴族が顔を真っ赤にして怒り出す。


 魔法も駄目と言われると、みんなの視線は近くにある机に向かう。考える事はみんな同じだ。これで机も駄目って言われたら、次は椅子を使うだろう。


「もういい!とにかく貴様らそこから動くな!分かったな!」


 お前ら、もう少しさり気なく机に目を向けろよ。小デブ貴族に気付かれたじゃねえか。こうなりゃ、『身体強化』使って素受けするしかねえ。あの程度の魔法なら、みんな問題ないだろ。問題は『動くな』って事だから、飛び散った火の粉をどうするかだ。


 火の粉をどうすっかなあと考えていたら、カルガーが何かを諦めた様子で口を開いた。


「もう、いいっす。もうやめるっす。ドル」

「ククク、私をそのように呼ぶとは、平民にしては不敬が過ぎるぞ?それともいい加減認めるつもりになったか?」




 そうしてしばらくの沈黙の後、カルガーが観念したように口を開いた。


「認めるっすよ。私はフェドリ男爵家の娘、カルガーラ。尤も家を出た時から、私はただのカルガーっすけどね」


 最後声を大きくしたのは、俺達に聞かせる為だろう。


「そうだ。貴様はカルガーラ・フェドリ、男爵家の娘だ。そして私の婚約者だったな。男爵家が子爵家に嫁ぐ・・・普通なら喜ぶべき所だろう。なのに何故、貴様は私の前から姿を消した!おかげで私は『下位貴族の女に捨てられた哀れな男』と社交界の笑い者だ!」

「ぐうう・・・痛っ!」


 話ながら小デブ貴族はブチ切れ、喚きながらカルガーの髪を振り回す。その光景を目にしたクワロ達が再び殺気立つ。


「てめえ!いい加減にしろ!」、「カルガーを離せ!」


 そう喚き、殺気立つクワロ達に小デブ貴族は、再び目を向ける。


「ふむ、ゲレロ、さっきから煩いお前らは、カルガーラの何なのだ?」

「パーティメンバーだよ!」


 クワロが乱暴に答える。貴族相手にその言い方はやべえんだけど、分かってんのかな。


「フハハハハ、そうか。パーティメンバーか。それはいい。だったらお前らに命令しよう。『今、ここで死ね』」

「はあ?」、「なっ!!」


 いきなり突拍子もない事を小デブ貴族が言い出した。聞いていた連中も驚いているが、この理不尽さが貴族だ。やっぱりこの国の貴族も碌なもんじゃねえな。


「ドル!あなた何言ってるっすか!みんな、従わなくていいっすよ!・・痛ッ!!」


 慌ててカルガーが止めに入るが、今回は鈍い音と共にカルガーの顔が再び揺れた。


「てめえ!」、「また!」

「駄目っす!みんな!絶対!何もしたら駄目っす!私は大丈夫っす!」


 鼻から血を垂らしながらカルガーは仲間を止める。そんなカルガーをきったねえ笑顔で見ながら、話しを続ける小デブ貴族。


「家を捨てたんだろう、平民。なら私の命令に逆らうな。もし私に何か言いたければ、まずは、その平民の口調をやめろ!聞いていて耳障りだ!」


 そう言われたカルガーは、数秒目を閉じて何か考えているようだったが、大きく息を吸って、目を開ける。その目はさっきまでと違い、しっかりと小デブ貴族の顔を見据えていた。


「・・・・・分かりました。ドルモル。これでいいでしょう?さっきの理不尽な命令を取り消して下さい」


 カルガーは姿勢を正し、言葉使いを変えたようにしか見えない。ただ、それだけでいきなり貴族特有の威厳っていうかオーラみたいなものが漂ってきた。


「そうだ!それでいい!これ以上私の機嫌を損ねるなよ!ただ、命令は取り消さないぞ」

「な!!話が違います!」

「ハハハハハ。誰が取り消すと約束した?・・・そうだ、その顔だ!私に恥をかかせたんだ。お前の仲間も同罪だ!」


 ああ、こりゃあ駄目だ。このデブ、気のすむまで徹底的にやるつもりだ。そして相変わらずの謎理論。何でカルガーの仲間まで同罪になるんだよ。まあ、カルガーに対する嫌がらせだろうけど、それで死刑とかたまったもんじゃねえ。





「・・・・・ッ!!!・・・・ふぅ」


 そう言われたカルガーは、歯を食いしばって小デブ貴族を睨みつけていたが、ふいにその顔を緩めた。


「おい!カルガー馬鹿な事は言うな!!」


 俺でもカルガーが何かを言うつもりなのは分かった。それ以上にパーティリーダーで、カルガーを人一倍気にかけていたクワロなら尚更だろう。大声でカルガーを止めるが、カルガーは止まらなかった。



クワロ達の方に顔を向けてはっきりと口にした。





「申し訳ないっす。リーダー。自分パーティ抜けるっす」

「カルガー!」、「馬鹿!」


 その言葉を聞いて叫んだのはゲレロとイーパだけだった。止めたクワロはしかめっ面で何も言わず押し黙る。他の仲間連中はカルガーより新しい連中だからか、事の成り行きを、ただ黙って見守っている。


「おい、カルガー!馬鹿な事言うな!すぐに今の言葉取り消せ!」

「ここまで育ててもらったのに、申し訳ないっす、ゲレロさん。これ以上は巻き込めないっすよ」


「カルガー。私達なら大丈夫。気にしないでいい」

「イーパさん。ありがとうございます。ただ、これでもドルは王国貴族の子爵で、その権力はみんなが思っている以上っす。更にドルは王命で、今、ここにいるっす。逆らえば国を敵に回す事に繋がるっす」


 まあ、そうなるだろうな。しかも小デブ貴族の性格から、絶対そうなるように動くだろう。いくら『守り抜く』が強くても、国を敵に回せば簡単に潰される。


 それでも諦めずにゲレロとイーパが、カルガーを説得するが、カルガーはさっきの言葉を取り消そうとしない。


 そうして、しばらく二人の説得が続く中、ずっと沈黙して考えこんでいたクワロが、ようやくその重い口を開いた。


「・・・・・・分かった、カルガー。お前はもうパーティメンバーではない」


 その言葉を聞いて、声を荒げたのはカルガーを説得していた二人だけじゃなくて、今まで黙っていたパーティメンバーもだった。


「クワロ!てめえ!」


 その中で一番キレてんのはゲレロで、今にも殴り掛かりそうな勢いだ。そして、そんなゲレロに詰め寄られても、全く動じる事無くクワロは一言だけ口にした。


「・・・耐えろ」


 それだけ言うと、しばらく二人は睨み合っていたが、折れたのはゲレロの方だった。


「チッ!」


 大きく舌打ちしてクワロから離れ、機嫌悪そうに近くの椅子に腰を下ろす。それを見た他の連中もクワロから離れ、諦めたように近くの椅子に座る。


「リーダー、有難うっす。みんな、申し訳ないっす。・・・・・ドル、私は大事な仲間を失いました。これで満足ですか?」

「ブハハハ。私の大事な貴族の誇りを傷つけたんだ。これぐらいは当然の仕返しだろう。だが、まだだ。まだ気は晴れん。そうだな。後は・・・今日の夜は私の相手をしろ」

「な!!」

「何を驚く。お前が逃げなければ、今頃はそうなっていたのだ。何だ?嫌か?」

「嫌に決まっています」


 心底嫌そうな顔をするカルガー。その気持ちは俺も良く分かるぜ。俺の場合は、小デブなんてカワイイもんじゃなくて、トロルだったけどな。


「だがな、家を捨てたお前は今や平民だ。平民が貴族の命に逆らうのか?逆らうとどうなるか分かっているだろう、カルガーラ」

「・・・・・・・・」


 やっぱり貴族って碌なもんじゃねえな。


「フハハハハ、その顔だ!カルガーラ!その顔を見たかった!」


 俺からじゃカルガーの顔は見えねえけど、どんな顔してんのか大体は想像つく。それを見て喜ぶ小デブ貴族は、本当に性格が悪いな。

 ただ、カルガーが腰に装備しているナイフに手をかけたのを、小デブ貴族は気付いてねえみたいだ。いよいよ、止めねえと、とんでもない事になるだろう。


 でも悪いが俺は巻き込まれたくねえから、止めるつもりはねえ。

 クワロ達も何考えているか知らねえが、止めるつもりはねえみてえだ。むしろこいつらも一緒になって殺りそうな顔してんな。

 周りの連中も俺と同じで面倒事に巻き込まれたくはないんだろう。黙って成り行きを見守っている。







 ただなあ、


 いるんだよ。


 この街にはよ。






 面倒事はなるべく回避するってのが普通の組合員なのに、次から次に発生する面倒事に、喜んで首を突っ込んでいく奴がよ!


「・・・・うむ、アーリット、この手は何だ?お前には命を助けて貰った借りがあるから、今なら私に触れた事は不問にしてやる」


 そう、ダイソンアーリット君だ。貴族の腕を掴むという暴挙に出ながら、少し困っただけの顔をしているのは大物なのか、馬鹿なのか。


 俺は馬鹿の方に賭けてるぜ。


 そして普通ならパーティメンバーは、それを止めて頭を下げて、一緒に許しを請うってのに、アーリットのパーティメンバーは、少し呆れた様子で余裕そうに眺めている。そしてアーリットはと言うと、


「ドルモル様、その借りでカルガーの件は許してもらえませんか?」


 小デブ貴族の脅しが聞こえていないのか、自分の要求を口にする。


 あいつ貴族がどういう存在かちゃんと分かってんのかな?・・・あいつなら分かってない可能性もありそうだ。


「アーリット!あなたには関係ないっす!これは自分とドルの問題っす!」

「カルガーラはこう言っているがどうする?」

「カルガーの意見は関係ありません。僕がそうしたいだけですから」


 こいつ人の話聞かねえな。自分の要求しか言わねえ。そしてそれを聞いて小デブ貴族がまた、何か企んだみたいだ。顔がまた不細工な笑顔になる。


「うむ、そういう事なら、一度考えてみてやろう」


 小デブ貴族の返事にアーリットの顔が輝くが、そいつは罠だ。


「・・・よし、考えてみたが、やっぱり許す事は出来んな。これで借りは返したぞ。グフ、ブフ、グアハハハ!」


 ほら、見た事か。こいつら貴族は、受けた借りは最小の労力で返し、貸した借りは最大の報酬で返してもらう連中なんだ。俺が嫌になって逃げだした気持ちも少しは分かるだろう?


 普通、こう言われたら怒るとか、落胆するかするんだけど、アーリットは違った。


「うーん。困ったなあ。それならティガレット様に頼んでみよう」


 アーリットは、全然困ってない様子でそう言うと、傍観者になっていた嬢ちゃん貴族に話を振りやがった。


「ティガレット様ならこの場を収める事は出来ますか?」

「それはつまり、私を助けた礼を今、返せという事でいいのかしら?」


 いきなりアーリットに話を振られても怒る所か、少し呆れた様子の嬢ちゃん貴族。


「ええ、その認識で間違っていません」

「ふむ、派閥でもない家の問題に首を突っ込むのは、あまり褒められた事ではありませんが、命を助けて貰いましたからね。ただ、アーリット。その礼をこの程度の事で使うのですの?自分で言うのもアレですが、伯爵令嬢の命を救ったのですよ。あなたが望めばお金でも、地方貴族ですが我が領の爵位でも与える事が可能ですが、それでもですの?」

「それでもです」


 アーリットは迷う事無く即答しやがった。少しも迷ったりしねえのは流石アーリットだ。


「ふう。分かりました。ドルモル、聞こえていましたわね?一連のこの騒ぎ、鉾を収めなさい」


 呆れた顔で嬢ちゃん貴族が、小デブ貴族に命令する。貴族から平民への場合はそれで終わり、従わねえと実力行使で、首と体が離れるだけだ。ただ、貴族同士だとそうもいかねえ、当然小デブ貴族はごねだした。


「こちらはカルガーラに面子を潰されているのです。ここで引いては、我が家は社交界で。更なる笑いものになります。いくら伯爵家令嬢のご命令と言えど、タダでは従えません」

「ふむ、言われて見ればそうですわね。・・・その女は男爵家出身と言っていましたわね?それでは我が派閥の社交界に招待し、私の知り合いの子爵令嬢を紹介すると言うのはどうですか?」

「・・・・ほう」




 後で聞いた事だけど、貴族って毎晩飲んで歌って騒いでいるイメージで、実際その通りらしい。だけど、自分の派閥以外のパーティに参加するのはすげえ難しいらしく、小デブ貴族やカルガーの家みたいに派閥に所属してねえ家は、年に数回しかない公的なパーティぐらいしか参加出来ないそうだ。

 そんでそのパーティにはお見合いの意味もあって、参加出来なきゃ結婚相手を見つけるのも困難になる。そこで最後に頼りになるのは家の伝手になるんだが、小デブ貴族はカルガーのせいで評判最悪でそれも無理。そりゃあ元凶のカルガーは恨まれるわ。


「違うっす。自分と婚約する前からドルの評判悪かったのは、自業自得っす。それでもまだ変わってくれるって信じて自分も色々頑張ったっすよ。でも他の女に靡いて2回も婚約解消されたんっすよ!それでも爵位上だからこっちが我慢したっすよ。それで、最後は自分の家のお金勝手に使われたので、愛想が尽きたっす。両親も納得してもらって私は家を出て今になるっす」


 と思ったけど、聞いたら小デブ貴族が悪いじゃねえか!むしろカルガーよく耐えた。





「・・・うーん。それは大変魅力的ですが、ケバールシ家の面子に比べたら・・・」


 嬢ちゃん貴族の提案に明らかに表情が変わった小デブ貴族だったが、すぐに表情を戻した。


 もうね、それだけでみんな分かっただろう。『こいつゴネてもう少し良い条件引き出したいだけだろう!』ってな。


「それなら、社交界への招待を3回は確約するわ」

「ぬ!・・・そ、それは・・・大変魅力的ですな」


 この小デブ貴族は、それでも首を縦に振らない。どんだけがめついんだ?


 でも、こいつはいずれこの欲で身を滅ぼすだろう。貴族の理不尽さも何度も目にしてきたけど、それと同じぐらい欲をかいて破滅した貴族も見てきたからな。俺には分かる。




「更にこちらも同じ条件を出そう」

「・・・え?」

「・・・は?」


 何でか知らねえけどイケメン貴族も話に加わってきた。嬢ちゃんも小デブも驚いているし、こいつ関係ないよな。


「・・・・・ふふ、マークティック様もですか?良かったですね。ドルモル」

「・・・・グフフ、いやあ、お二方よりそう言われたら、私も鉾を収めるしかありませんねえ」


 一瞬だけ嬢ちゃんと小デブは考えこんだが、すぐに笑顔に変わる。イケメンが何故そんな事を言い出したのか、俺には分からねえけど、二人はすぐに分かったんだろう。


 貴族の思惑なんて俺は興味ねえが、これでカルガーと小デブ貴族の因縁は終わりって事みたいだ。めでたし、めでたしだぜ。





・・・・俺は何もしてねえけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ヘイト稼ぎ回ですな?むきー!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ