42.キングが街にやってきた
何だ、やっぱりこいつらの客か。なら今教えた事をしっかり守ってやってみろ。後方腕組み先輩面で俺は待機するぜ。
・・・・・
ってつもりだったんだけどな。
「見つけたぞ!ハルドラグさん。連れてこい!」
「・・・・・・・・俺?」
いや、ガッツリ俺の方見てるよな?
試しに少し横移動したけど、こいつら視線外さなくて怖いんだけど?
「な、何ですか?」
戸惑うアーリットを一人残して、俺はクイトとエフィルと少し離れた所に立つ。
・・・・・・・・・
うん、目線はまだこっちにあんな。クイトをアーリットの方に向かわせるけど、残った俺の方をバッチシ見ている。
・・・・・
次にエフィルを飛び跳ねさせながら、アーリット達の方に向かわせる。胸がバルンバルン弾んで、連中の視線が釘付けになった。
よし!気のせいだな!やっぱり俺じゃねえ!だってこいつら知らねえもん!
取り敢えず俺に用じゃない事を確認出来たので、アーリット達と合流する。そしたらすぐに俺でも見知った顔が訓練場に入ってきた。
・・・・まあ、言わなくても分かるがキングだ。
何でこいつ出張してきてんの?暇なん?自分の巣で大人しくしとけよ。
戸惑っている俺に構わず、さっきの連中に案内されてこっちにどんどん向かってくるキング。・・・ここはフレンドリーに行った方がいいな。
「よお!キングじゃねえか?久しぶり!元気してたか?こんな所まで来るとかお前暇人かよ」
「て、てめえ!相変わらず舐めやがって!!」
俺のフレンドリーな挨拶に、何故か顔面に血管浮かせてブチ切れているキング。
ええー。こいつ何怒ってんの?この間の一万ちょいの金、まだ根に持ってんのか?4級だから1万なんて余裕で稼げるじゃねえか、心狭えなあ。流石コムコムで大物気取っている小物だ。
「ハルドラグさん、こいつのペースに乗っちゃマズいっすよ」
「分かってるっての!!うるせえぞ!てめえ!」
隣で囁いた取り巻きを、何故かブチ切れて殴りだす・・・こいつマジで心狭くねえ?
「まあいい、取り敢えずてめえだ!『3落ち』!!てめえ!うちのもんによくも手出してくれたな!この落とし前はどうつけるつもりだ?ああ?」
おお!言い方が完全に本職のそれじゃねえか!・・・・っていうか手を出したって何だ?まだ殴ってねえぞ?
不思議に思っていると、何か包帯をめっちゃ巻いた奴らがゾロゾロとやってきた。見た目結構な重症だけど、寝てなくていいのか?
「お前、こいつらに見覚えあるよな?」
・・・・・・・
・・・・・・・・
誰?
「うーん。分かんねえなー。この間コムコムで暴れた時に巻き添えになった奴らか?」
「違えよ!この間お前に獲物奪われた連中だ。強翼鳥の時って言えば思い出すか?」
その言葉でようやく思い出した。そうだ、俺の倒した強翼鳥奪おうとした連中だ。
何でこんな重症負ってんだ?
「おお!思い出した、あの時の連中か!そんなケガしてまでキングと一緒に来るなんてどうした?あん時の事謝りにきたんなら別にいらねえぞ。俺はコーバスで一番心が広い組合員だからな。許してやる」
「ベイルの奴、大嘘言ってんぞ?『一番心狭い』の間違いだろ」
「ふふふ、ベイルがコーバス一なら僕は世界一の心の広さになるかな」
聞こえてんぞ、ゲレロ!モレリア!
「『3落ち』てめえ!とぼける気か?こいつらの獲物奪っただけじゃなく、こんな大怪我負わせたんだ!この落とし前はきっちりつけてもらうぜ」
・・・・・・・・?
「いや、お前何言ってんだ?俺は素手でこいつら相手したんだぞ。しかもほとんどワンパン。こんなケガする訳ねえだろ。帰りに崖から落ちたとかじゃねえのか?」
「素手だあ?素手でこんなケガになるのかよ?」
そう言ってキングが後ろの連中に包帯を取らせると、そのケガは思った通り結構な重症だった。
顔に大きな傷のある奴、手首から先が無い奴、背中に斜めに傷がある奴等々。どう見ても俺が小突いた時に出来た傷じゃねえ。
この時点でこいつらが俺に難癖付ける為に、コーバスまで来たってのが分かった。もう真面目に相手すんの馬鹿らしくなってきたぞ。
「俺の武器こん棒だぞ?どうやったら切り傷出来んだ?」
「お前の腰に下げた鉈は飾りか?それでやられたって聞いたぜ」
・・・・そういや大鉈、最近あんまり使ってないな。忘れてたぜ。っていうかこいつら俺に難癖付ける為に自分達で腕切り落としたりしたのか。ちょっと上級ポーションでもどうしようもねえケガの奴もいるけど、そこまでするか?
「色々言いてえが、まあいいか。それで俺がそいつらにケガ負わせたから何だってんだ?別に街の外でのトラブルなんてよくある事だ」
街の外じゃ獲物の取り合いで殺し合いも起きるしな。
「最近、コーバスの連中が俺らにちょっかいかけてきて、いい加減うんざりしてたんだ」
「ふざけんな!ちょっかいかけてきてんのは、そっちだろ!」
「コムコムの連中は縄張りちゃんと守れよ!」
「俺の獲物奪った奴は絶対に許さないからな!あと、俺の『ミカパン』返せ!!」
「ちょっと、トラス。今の『ミカパン』とは何ですか?もしかして私の下着の事じゃないでしょうね!」
「え?あ?ち、違いますよ!ミーカさん。今日もお美しい。例の物はちゃんと指示通り廃棄させて頂きました。もうバッチシっすよ!」
見れば訓練場の一段高い見学席に、暇な組合員達が俺達の様子を見に来ていた。そんでキングの言葉に当然納得いかないので、怒っている。トラスの馬鹿は般若になったミーカに詰め寄られているが、あれは自業自得だから、放っておこう。
こんな時にあれだけど、ミーカはあの一件で裏で『2万の女』とか『無限の錬金術師』とか呼ばれるようになった。言い出したのはトラスなんだけど・・・。まあ、それを本人の前で言う奴はいないだろう。言ったら多分殺される。
「そんで今回の件だ。流石にもう我慢できねえからな。これからは縄張りとか関係なく好きにやらせてもらうぜ。あとは、こいつらみたいな目に会う奴が、コーバスでも増えると思うが、街の外じゃこんなトラブルはよくある事だ。文句言ってくるんじゃねえぞ」
周りの怒声に何故か嬉しそうにニヤつきながら、話を続けるキング。要するにコーバスに宣戦布告に来たって訳だ。この一連の流れってあれか、俺達から手を出したからやり返したとかいう大義名分が欲しかったのか。そうなりゃあ、他の街の組合員もコムコムの味方するだろう。こいつ見た目の癖に悪知恵が働くな。
余所の組合に乗り込んで、組合全体に喧嘩売るなんて騒ぎ起こせば、普通は除名されるレベルの問題行動だと思うんだけど、こいつは組合長買収しているから、それは無いって考えていいだろう。
「そしてもう一つ『3落ち』!てめえには、こいつらの礼をたっぷり返してやるから覚悟しろ!」
そう言ってキングが手を挙げると、すげえ数の見た事ねえ組合員が訓練場に入ってきて、グルリと俺を囲い込む。
「てめえは今回の件もだが、コムコムで暴れた時の借りも返させてもらうぜ」
ああ、それでこんなに連れてきたのか。あの人数で負けたからってあの時の・・・何倍だ?取り敢えず、すげえ数連れてきて復讐って卑怯じゃねえ?
見れば重症の奴らもニヤケながら武器を構えている。
キングに無理やりケガさせられたって訳じゃなさそうだ。それならこっちも卑怯な手で対抗してやんぜ!
「分かったよ。ただ始める前にまずは組合長の許可もらわねえとな。『今からコムコムの連中の血で訓練場を汚すけどいいか?』ってな」
「ガハハハッ!てめえ!これだけの数相手に勝てると思ってんのか?」
「そのまさかだよ。アーリット!お前らも上でこいつらがボコボコにされる様をよく見ておけ!ついでに組合で暇してる奴と組合長も呼んでこい。ゲレロ。悪いがお前のそのでかい盾貸してくれねえ?」
俺の変わった頼みにゲレロはニヤリと笑いながら、盾を貸してくれた。
「壊したら弁償だぞ」
「おいおい、この盾、傷もつかねえって自慢してたのに、あの話嘘だったのか?」
少し前に盾を買い替えてご機嫌で自慢話してたの、もう忘れたか。
渋い顔をして何も言わず、ゲレロはモレリアと共に見学席に向かっていった。
「そのでかい盾で攻撃を防ぎきろうとか考えてんのか?この俺の部下150人相手の攻撃を防ぎきれるとでも思ってんのか?」
150人!150人もコムコムから連れてきたんか!こいつ俺一人相手すんのにどんだけ連れてきてんだよ!マジでビビりすぎじゃねえ?
「何だこの忙しい時に!」
おお!一つ目オーガが訓練場に現れた。しかもすげえ機嫌悪そうだぞ。組合長は訓練場に入ってくると周りに視線を巡らし状況を確認している。
「組合長、悪いねえ。今から訓練場を汚すけど、構わないですよね?」
「チッ!まあいい、ルールは?」
「そりゃあ、当然武器は訓練用じゃなくて自分が普段使ってる武器だ!『3落ち』!構わねえな?」
「当り前だ!武器も魔法も使用あり!決着は最後まで立っていた奴の勝ち!殺されても文句は言わねえ!キング!これでいいか」
「ククク、話が早えじゃねえか。既に死ぬ覚悟は出来ているみたいだな」
「よーし、それなら俺も何も言わねえ。ただし訓練場壊したら弁償してもらうからな。それじゃあ俺が、ここから出たらスタートだ!終わったら呼びに来い」
そう言い残して組合長は訓練場から出ていった。と同時に俺は借り物の盾を構える。
「くくく、ようやくてめえをボロボロに出来るぜ。あん時は油断したが、今度はそうもブベェエエエエエエ」
話の途中で何かが飛んできてそれがキングの顔に当たり、良く分かんねえ奇声を発する。
「グハッ!てめえら・・・」
「ちょ、!お前ら!・・ゴエエ!」
「ひ、卑怯だぞ!お前ら・・・・ガッ!」
「ふざけんな!こっちは鬱憤が溜まってたんだよ!」
「おらおら!死ね死ね!」
「卑怯な訳ねえだろ!」
勝負が始まると同時に見学席にいる連中が石やらゴミやら瓦礫なんか投げ始めた。最後まで立っていた奴の勝ちってシンプルなルールだから、これは反則じゃねえんだよ。この街の連中はそのルールの意味を良く知っている。調子に乗った組合員を懲らしめる為に、たまに同じ事があるしな。そんで誰が用意したのか知らねえが、見学席には投げるのに困らないぐらい石ころや瓦礫が準備されている。
みんな手当たり次第に投げるから当然俺にも何かが飛んでくる。この為にゲレロに盾を借りたのだ。壁際まで下がり、壁を背に盾を構えておけば、後はみんなが勝手に連中を倒してくれるだろう。
そうしてしばらくそのまま待っていると、盾に一際大きな衝撃が加わった。運悪くデカい瓦礫が当たったみたいだ。傷はついてねえよな?と少し心配になるぐらいの衝撃だった。
「見たっすよね!ミーカ!ゲレロさんの盾傷一つついてないっす」
「本当ですね。ちょっと待って下さい。これなら・・・」
なんか嫌な会話が聞こえてきたら、また盾に衝撃が加わった。今のは大きいものってより一転突破みたいな衝撃だった。
「ふむ、物理では難しそうですね。それなら!」
今度はシリトラの声が聞こえてきて、盾全体に衝撃が加わり、辺りが水浸しになった。
・・・・おーい!あいつら何で俺を狙ってんの?キングの部下たち狙えよ!
「お!シリトラの魔法でも駄目だったかい?それならこれはどうだ!」
今度はモレリアだ。嫌な予感しかしねえ。そしてその予感は正しかった。さっきと同じように盾全体に衝撃が加わったのは同じだけど、辺りが水浸しになる事はなく、盾から何かネバネバしたものが垂れてくるようになった。
これってモレリアが開発したネバネバするだけの水魔法じゃねえか!無害だと知っているが流石に気持ち悪いぞ!しかも盾の内側まで垂れてきやがった!持ち手がヌルヌルする!
「これでしっかり盾を支えられないはずだから、盾を弾き飛ばせると思うよ」
そもそも俺の盾を弾き飛ばすのが目的じゃねえだろ!
「モレリア先輩。盾に傷がつくかどうか見ているのであって、弾き飛ばす遊びをしている訳じゃないですよ?」
「えーそうなのかい?まあ、いいじゃないか。みんなでベイルがどこまで耐えられるかの遊びに変更しようじゃないか!」
こいつら遊びって言ったぞ!今はそういう遊びをしている場合じゃねえんだよ!
「ちょ!モレリア!お前ふざけんなよ!俺の盾気持ち悪い事になってんじゃねえか!」
「痛いなあ、ゲレロ。後で水魔法できれいにしてあげるから怒らないでよ」
「なあ!もう終わったのか?」
「とっくに終わってるよー」
ならさっさと言えよ!何で俺を的にして遊んでんだよ!
盾からチラリと訓練場を見ると、死者累々・・・いや、多分誰も死んでねえとは思うけど、全員地面に倒れてるな。気を失わずに呻いている奴もいるけど、これは俺の勝ちって事でいいだろう。訓練場の中央で手を挙げて勝利宣言だ!
「よーし、最後まで立っていたから俺の勝ち!こいつらの財布の中身と装備品は全部俺のもんだ!!」
「ふざけんな!ベイル!」
「何で独り占めしようとしてんだ!」
「こういう時は均等に分けるってルールだろ!」
俺の勝利宣言が気に食わない金の亡者共が、俺に物を投げつけてくる。
「あ、ごめん!嘘!今の嘘だから!物は投げないで!皆さん落ち着いて!」
流石にこれだけの組合員が投げてくる石や瓦礫を中央で受けるのは無理がある。即座に前言撤回して事なきを得たぜ。
「ベイルさん。今のも組合員なら普通って言われそうですけど、卑怯じゃないですか?」
みんなで追剥ぎの真似事していると、アーリットが絡んできた。さっきの見学席から石を投げていた事を言っているんだろう。その顔は凄い不服そうだ。
「何だ?お前ら投げなかったのか?」
「はい、僕らはあまりの出来事に呆然としている間に終わってました。エフィルだけは打ち合わせがあったかのように最初から躊躇わず色々投げつけていましたけど・・・・」
エフィルはやっぱり組合員向いてるな。そんでアーリット達は向いてないとは言わねえが、まだまだ甘いな。
「卑怯かって言われたら卑怯だな。でも1対150は卑怯じゃねえのか?」
「そ、それは・・・ベイルさんがそう言う風に話を持って行ったから・・・」
「それに乗ったこいつらが馬鹿だったってだけだ。いいか、アーリット。俺達は正々堂々1対1で戦って強さが決まる騎士じゃねえんだ。何をしてでも最後に勝った奴が強い組合員なんだぜ。まあ、卑怯な手は使いたくねえんなら使わなくてもいいさ。ただ敵は当り前のように使ってくるって覚えておかなきゃ、いずれお前ら死ぬぜ」
「・・・・ッ!」
俺の言葉に何も言い返せなく、唇を噛み締めるアーリット。こいつは心がキレイすぎるな。こいつだけじゃなくてエフィル以外のメンバーもか。俺が言っても仕方ねえけど、もうちょっと組合員の考えを理解しねえと3級に上がった時に、こいつら危ういな。
3級から受けれる護衛依頼じゃ、結構な頻度で野盗が襲ってくるようになったって聞くし、野盗は基本卑怯な手しか使ってこないからな。まあ、その甘さが抜けねえようだと、護衛試験は受けさせてもらえないだろう。
そして呆然と突っ立っているアーリットを放置して、作業に戻る組合員の鑑の俺。周りではコムコムの連中をこの後どうするか相談している。
「こいつらどうすんだ?」
「こういう時ってティッチ達なら裸にして街の外にポイッって言ってたよな?」
「だなあ、じゃあ、裸にして腕縛って門の外に捨てるか」
「そういや今日ティッチは門番の仕事って言ってたぞ。こういう時どうすればいいか少し話聞かせてもらうか」
相談しながらもみんなテキパキと手を動かしているから、外の荷馬車にどんどん全裸の組合員が積まれていく。男だろうが、女だろうがお構いなしだ。残したのは員証だけ。そうして真面目に仕事していると組合長が怒鳴り込んできた。
「こらああ!終わったら呼びに来いって言っただろうが!」
怒鳴り込んできた組合長に全員『やべっ』て顔に変わった。すっかり忘れてたぜ。
「ったく、てめえらは本当に問題ばっかり起こしやがって!特にベイル!」
「ええー。俺っすかあ?何もしてないですよ。どっちかって言うとアーリット達でしょ。コムコムとトラブル起こしたの」
「その前にお前がコムコムの連中8人とやり合ったんだろ?」
「あれはやり合ってないですよ。ちょっとうるせえから小突いただけですって。小突くって言っても、組合長みたいに頭吹きとばしたりなんてしてませんから!」
「お前は俺を何だと思ってんだ!ったく、もういい!・・・訓練場の壁が少し壊れてんな。この修理費用はそこの戦利品売った金から引いとくからな」
「「「「ういーす」」」
元々そういう約束だったから誰からも文句は出ない。それだけ言うと組合長は何も言わずに組合に戻っていった。何も言わねえって事はコムコムの連中のこの状態は組合として何も問題ねえって事だ。すぐに残りを片付けて荷馬車3台連なって門まで移動する。
「おーっす!ティッチいるかあ?お土産だぞ」
「な、何だお前ら?私はまだ仕事中・・・・」
聞いていた通り、ティッチは門番の仕事をしながら何やら熱心にメモをとっていた。俺達が声をかけると露骨に顔を顰めたのは何でだろうな。まあ、こいつにとって面倒な話でしかないのは確かだ。
「・・・いや、この土産は受け取れないな」
馬車の中を見たティッチは一瞬だけ無言になったが、すぐに受取拒否しやがった。
「そんじゃあ、悪いけど門を通してくれねえか。外に捨ててくるからよ。お前らもいつもこういう感じで捨ててたんだろ?」
「あ、ああ、ただ全裸と言ってたが、下着だけは残しておいてやったぞ。流石に見たくなかったからな。それに下着なんて売れないしな」
おっと?真面目なティッチちゃんはそういうのを買い取ってくれるお店がある事を知らなかったみたいだ。まあ、俺もこの間まで知らなかったし買い取るって言っても女のだけだしな。そこはベテランのトラスさんの出番だ。員証の名前をしっかり控えて高く売るって自信満々だったからな。
まあ、そんな訳で街の外に連中を捨てて、この一件は終わりだ。全裸なんで街に入ろうとしてもティッチ達門番が入れないだろう。もし入ったら変質者で即逮捕だしな。
この後もまだこいつらがコーバスに喧嘩売ってくるなら、またそん時はそん時で考えようって話になっている。取り敢えず今はとっとと組合に戻ってみんなで乾杯だ。




