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11.レッサーウルフ捕獲依頼おかわり①

昨日は予約投稿ミスしました。すみません。

「伝言?俺に?」


 いつものように適当に獲物を狩って戻ってきたら受付のリリーから呼び止められて伝言があると言われた。


「はい、ゴドリック様からになります。内容は『出来るだけ早く家に寄ってくれないか』との事です」

「分かった。明日にでも行ってみる」


 リリーに手を振って受付を後にする。


 ゴドリックからの呼び出しって事はレッサーウルフの事しかねえよな?『出来るだけ』って事は1分1秒を争うって訳じゃないと思うが、うーん、マジで分かんねえな。依頼なら組合通すだろうし・・・まさかレッサーウルフ逃げ出したとかじゃねえだろうな?いや、それなら今すぐ来いってなるな。


「おう?どうしたんだいベイル?考え事なんて君らしくないじゃないか?」


 エールをちびちび飲みながら考えていると、暇そうなモレリアが絡んできやがった。


「てめえは俺を何だと思ってんだ?俺は常に色んな事を考えて生きてるんだぜ。俺ぐらい思慮深い奴はこのコーバスにはいねえって言い切れるね」

「ハハハ、常に反射で生きている君が思慮深いなら、今頃みんな賢者と呼ばれているよ。それにそういうのはコーバスで一番の知将トートーに勝ってから言ってくれよ」


 うん?こいつ俺の事馬鹿にしてねえ?っていうかコーバスで一番の知将ってそんな奴いるのかよ。初めて聞いたぞ。トイレ作ってる奴とかじゃねえよな?


「彼が『ドルーフ』って言いだしたんだよ。知らなかったのかい?」

「あいつか!いつも物知り顔で意味ありげだけど全く意味のない適当な事言ってる奴だろ?」

 

 いつも良く分かんねえ事言ってる変な奴だ。組合員じゃねえのにたまに組合に来て何故か色んな奴と話をして金を貰って帰るっていう謎の人物。


「ボロクソ言うなあ」

「あったり前だろ!前にトレオンがあいつに馬の予想させたけど大外れだったんだぜ。おかけで俺達大損だったんだ」

「それは君達の責任じゃないかな?彼、馬なんてやらないだろ?」

 

 馬をやらないモレリアに言っても無駄だな。取り敢えず明日朝一でゴドリックの所に行くか。



■■

「ようこそお越しくださいました。ベイルさん。どうぞ中に。すぐに先生をお呼び致します」


 翌日、ゴドリックの家に向かうと助手のシーワンが迎えてくれた。そして応接室に通され待っていると相も変わらずの風貌のゴドリックがすぐにやってきた。


「よく来てくれました、ベイルさん。取り敢えず話は後でまずはここから庭を見て下さい」


??良く分からんが、言われるままにゴドリックの開けた窓から庭を見下ろすと何とそこには!!!


 レッサーウルフではなくワイルドウルフが寛いでいた。


ワイルドウルフ。レッサーウルフの強さが2級上がりたて相当だとしたら、こいつはベテラン2級相当の魔物だ。レッサーよりも体は大きく毛並みもしっかりしている。大型犬の額に魔石がある魔物って言えば理解できるだろう。


「ワイルドウルフ!?え?何で?レッサーはどうした?」


 慌てて振り返るとどや顔で腕を組んで自信たっぷりの顔をしているゴドリックとシーワン。ちょっとイラッと来るな。ラーメン屋かよ。


「進化したんですよ」

「進化?」

「組合員のベイルさんなら魔物は上位種に進化するって話聞いた事あるでしょう?」


 ゴドリックの言葉に思わず頷く。魔物は上位種に進化する。これは世間一般でも都市伝説並みに知られているが、いまだにその進化途中の魔物を見た人はいないのでデタラメだと言われている。ただ、魔物の中には明らかに上位種だろうと思われる魔物も存在する。有名な所だと、レッサーウルフの上位種ワイルドウルフ、グレイウルフ、その更に上位種レッドウルフやホワイトウルフ、そして最上位種はフェンリルだと言われている。ゴブリンの場合はオーガ、単眼ゴブリンはサイクロプス、レッサードラゴンは飛竜や各属性の竜種が上位種ではないかと言われている。


 そうは言っても未だ誰もその証拠を示せた奴はいないのだ。それをゴドリックは自信満々に言うって事はそういう事なんだろう。


「ここにはベイルさんが連れてきたレッサーウルフの『タロウ』以外何もいませんでした。それなのに3日前タロウではなくこのワイルドウルフがこの場所にいたのです!」


‥‥‥‥


「・・・ええっと。ちょっと待ってくれ。タロウってのは何だ?」


 分かってはいる、分かってはいるが理解したくなくて、嘘だと言って欲しくてゴドリックに確認する。


「ベイルさんが連れてきたレッサーウルフの事ですよ。名前ないと不便でしょう?」

「ええ!!魔物に名前つけたの?ダメダメ!いざって時に情が湧いて処分できなくなるでしょ!タロウ駄目!ポイしてきなさい!」

「いや、何で子犬拾ってきた時の母親みたいになっているですか?それにタロウは捨てないですよ。あ!知ってます。あの子自分の名前ちゃんと分かっているんですよ。見ててくださいね。・・・・・・タロウ!!おいで!」


 ゴドリックが窓から叫ぶと寛いでいたワイルドウルフが立ち上がり尻尾を振りながらこちらに駆け寄ってきた。


 ま、マジかよ。あれ魔物だよな?何で犬みたいに懐いているんだ?しかも名前にちゃんと反応してるってレッサーウルフだったって事だよな?おいおい、これって結構ヤバい案件じゃねえか?


 良く分かんねえけど俺はかなりの大発見の光景を目の当たりにしている気がする。


「じゃあ、タロウの所に行ってみましょうか?そう言えば今日お時間は大丈夫ですか?」

「‥‥あ、ああ、大丈夫だ。こんなん見たら狩りに行ってる場合じゃねえよ」


 かなり動揺している俺だけど、ゴドリックとシーワンはそれに気にした様子も見せずに庭まで下りていき、躊躇う事無く庭に入っていった。


「ちょ!待て!ワイルドウルフだぞ!お前らじゃすぐにやられる」


 慌てて2人に続いて庭に駆け込む俺だったが、愛用のこん棒を部屋に置き忘れている事に気付いた。


 ちぃ!武器忘れるなんて、なんて間抜けだ!流石に目の前でゴドリック達が喰われるのを黙って見ている訳にはいかねえ。ちょっと本気出すぞ。


 庭に駆け込みながら全身に魔力を行き渡らせ強化する。その俺の目の前では、既にシーワンに襲い掛かっているワイルドウルフの姿が見えた。


「くそが!間に合わなかった!でも絶対助ける!諦め・・・る‥‥な?」

「アハハ!こら!タロウ!やめなさい」


 すぐに助けようとしたが、どうも様子が変だ?何でシーワンとゴドリック楽しそうなんだ?襲われてないのか?


「ほら、タロウ。今日はお前のご主人様が来てくれたよ」


 シーワンに襲いかかっている?ワイルドウルフの顔をゴドリックが無理やり持ち上げ俺の方に向ける。いや、お前ら相手はワイルドウルフ!魔物だぞ!何でそんな事出来るんだ?


 無理やり顔を向けられたワイルドウルフと俺の視線が交差し、俺に気付いたワイルドウルフが俺に向かって駆け出してくる。


 よし、こっちに来るか!ならそのままぶん殴ってやる。俺の身体強化した一発ならワイルドウルフ程度一瞬でミンチに早変わりだぜ。


 駆け寄ってくるワイルドウルフを見ながら腰を下げ両手で頭をガードするように拳を構える。


そしてワイルドウルフが襲い掛かってくるタイミングに合わせて拳を振りぬく!


・・・・・・


 が、空振り!見るとワイルドウルフ、俺の目の前で急停止しやがった!こいつ!タイミング外すなんてかなり賢いぞ!


 ・・・うん?何でこいつ寝っ転がる?腹を向けてハァハァ言ってるのは何か特殊攻撃前の予備動作か?何度か倒した事あるけどこんな攻撃方法見た事ねえ。


「ほら、ベイルさん、タロウもこんなに喜んでいるじゃないですか。撫でてあげて下さいよ」


 近付いてきたゴドリックとシーワンは躊躇う事無くワイルドウルフのお腹を撫で始める。

その光景に目を疑い混乱する俺。


「お、おう」


 混乱中の俺は、なんか流される感じで戸惑いながらワイルドウルフの腹を触ると、物凄く気持ちよさそうな顔するワイルドウルフ。


・・・・・・


 これ、飼い主に甘えている犬の姿だ!こいつワイルドウルフじゃなくてただのでかい犬って事はねえよな・・・魔石あるから違うよなあ。ワイルドウルフだよなあ。


「どうです。進化したって信じてくれました?」

「あ、ああ。まだちょっと信じられねえけど、信じるしかねえ」


 だって見た事ねえワイルドウルフがこんなに俺に懐いてくれてんだもん。「来い!」って言って駆け出したら喜んで追いかけてくるし、ゴドリック、シーワン、俺で3方向に別れて名前を呼べば、必ず俺の方に来てくれる。こいつは信じるしかねえ。



「状況は良く分かった。それで?呼び出したのはこれを教える為だったのか?」

「理由の一つはそうです。もう一つについてはもう一度レッサーウルフの捕獲をお願いできないかと思いまして」


 まあ、そうだろうと思った。こいつら状況証拠だけで進化したって言っているだけで、実際進化の瞬間を見てないからな。学者なら自分の目で見たいと思っても不思議じゃねえ。


「まあ、一回やって、やり方は分かっているから頼まれてもいいぜ。ただ組合通さないと、うるせえから組合に依頼だして、それを俺が受けるって形にしてくれ」


 組合通さないと何かトラブルがあった時に助けてくれないし、やり過ぎると員証取り上げられるからな。


「分かりました。それで今回の依頼なんですが、レッサーウルフを3匹捕獲してきてくれないでしょうか?」

「3匹?多くね?進化の瞬間見るなら1匹で十分だろ?」

「いえ、他にも検証したい事があるので。それと当然ベイルさんに懐いた状態で捕獲をお願いします。報酬は20万ジェリーでどうでしょう?」


 20万か・・・最初より下がっているがそれでも1匹約7万ジェリー。やり方は既に分かっている。後はレッサーウルフを見つけられるかって所だけど、運が良ければ今日中に、悪くても明日には終わる・・・・かなり美味しい依頼だな。


「いいぜ。その依頼受ける」


 依頼を受ける事に決め、シーワンと共にコーバスに戻り、シーワンが依頼の手続きをしている間に俺は一度宿に戻って必要な荷物をまとめる。そんで、組合に行って依頼を受けて出発。

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