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105.『快楽亭』立て直し依頼④

 そんな話をしていると、部屋の扉がノックされた。


「何かベイルさんとゲレロさんのヤベえコンビに呼ばれているって聞いて来たんですけど・・・」


 やってきたのはコーバスで一番お馬鹿な組合員、トラス君だ。


「よお、待ってたぜ。トラス。頼んでおいたもんも持ってきたよな?」

「持ってきましたけど、ベイルさん何で俺がこれ持っているって知っているんですか?」

「カンだよ。けどミーカのパンツの時にお前妙に詳しかったから、もしかしたらとは思っていたんだ。まあ持っていなくても知識だけはありそうだからな」


 取り敢えずババアにトラスの知識が役に立ったら俺等と同じ報酬くれるように言うと、二つ返事で了承してくれた。トラスもトラスで『快楽亭』一回無料で喜んで手を打ってくれた。


「す、凄え。べ、ベイルさん、あんた一体何者なんだ?も、もしかして伝説のエロ神様の生まれ変わり?」


 トラスに今までの話を教えてやったら、この反応だ。何で伝説のエロ神様の事をトラスも知っているの?有名人なの?取り敢えず違うと言っておこう。


「そんな訳ねえだろ!それよりもだ、トラス。話を聞いた今なら何でお前が呼ばれたか分かるな?」

「早い話、『快楽亭』の立て直しにパンツの知恵を貸せって事ですね?」

「そういう事だ」


・・・・・・・


「どういう事?」

「ヘックス。分からねえなら黙っていろ。俺も訳が分からねえ。『パンツの知恵』って何だよ・・・」

 

「まずは俺のコレクションの中でも一般的なパンツです」


 ついてこれない二人を置いてトラスは話を始め、鞄から一枚の布切れを取り出す。


・・・・


 最初からこれかよ。前世の知識で知ってはいるけど、こっちじゃ初めて見た。これを一般的と言い張るトラス。パンツに関しちゃこいつに勝てる気がしねえ。


「ええ?何これ?」

「紐じゃん!」

「凄えな」

「・・・これが一般的?一般とは?」


 ヘックスとゲレロだけじゃねえ、トラスを探しに行った姉ちゃん達までそのパンツに驚いている。ゲレロでさえ驚いているからティーバックってのはほとんど出回っていないと思っていいだろう。


「こいつは紐が尻にくるんだ。そうだろ、トラス」

「流石ベイルさんっすね」

「流石じゃねえよ!ベイル、トラス、お前ら一体何者なんだ?」


 喚くゲレロは無視しだ。トラスが服の上から実際に穿いてみてみんなに見せる。


 みんな驚いているが、どんどん話を進めるぜ。


「次はこれですね」


 そう言って取り出したのはヒラヒラが多くついた赤っぽいパンツ。見ただけならお高いパンツだ。


「こ、これは普通ね」

「まあ、これぐらいなら仕事で穿くしね」

「最初が衝撃的過ぎて、これが普通に見えるな。これでも普通の人は十分驚くもんだけどな」

「けど娼館なら珍しくないでしょう」


「くくく、てめえら、トラスが持ってきたそれが普通のパンツな訳がねえだろ」


 誰も気付いてないみたいなので教えてやる事にする。


「はあ?どう見ても普通だろ?」

「ゲレロ。よく見ろ。そのパンツ・・・・前が開くぜ」

「・・・・・な!?う、嘘だろ」


 俺の言葉を聞いて慌ててパンツを確かめるゲレロ。思った通りヒラヒラに隠れていた紐があり、それを解くと前が開く。


「す、凄い。どういう発想したらこんなもの考えつくんだ」

「て、天才・・・いえ、変態ね」



「次はこれですね」

「うお!何だこれ?」

「えっぐ。・・・けどこれ長くない?」


 次のトラスが取り出したのはV字型の結構際どいパンツだ。ただ、誰かが疑問に思った通りそのパンツ、かなり長い。


「これはベイルさんでも分からないんじゃないですか?」


 ニヤニヤしながらトラスが煽ってきやがる。馬鹿が!前世の知識舐めんなよ!


「そいつは肩で穿くんだろ」

「肩あああ?」

「肩で穿く・・・そんな言葉初めて聞いたわよ」

「訳が分からないです」

「まったくだ。こいつら常識から外れてやがる」


「凄いですね、ベイルさん。これが分かりますか」


 俺が分かって感心しているトラスだが、逆に全くのゼロからこれを思いついたトラスに俺は感心している。


「おい、お前らだけで理解してねえで、ちゃんと説明してくれ」

「まったく、ゲレロさんは何で今の説明で分かんないんですかねえ」

「・・・・・いや、お前とベイル以外誰も分かってねえぞ」


 面倒くさいが実際に見て貰った方が早いか。俺が服の上から穿いて見せてやる。って言っても簡単だ。普通に穿いて紐を肩で結べば完成だ。


「ほら、こんな感じだ」

「す、凄え。何だこれ?」

「こ、これはパンツって言っていいものなのか?」

「・・・・・・これはある意味店で注目されるわね」

「・・・これは無理」


 俺の正しい装着を見た面々は勝手な事言ってやがる。これを思いついたトラスの凄さを誰も分かってねえ。俺もトラスは馬鹿だと思っていたけど、別方向だと天才かもしれねえな。その証拠がこれだ!


「この紐についてる動く布はこうするもんだろ?」


紐にくっついていた上下に動く布を丁度乳首の辺りにセットする。そしてそれを見たトラスは目を潤ませる。


「まさか、こんな身近に、ここまで俺を理解してくれる人がいるとは・・・」

「ハハハ、お前も一人でここまで考えるなんて凄いと思うぜ」


 そう言ってハグする俺とトラス。


「ええ・・・・何これ?」

「絵面やべえな、これ」

「トラスは尻が紐のパンツ、ベイルは肩で穿くパンツ着て、こいつら一体何がしてえんだ?」

「この世界長い私でもここまで凄いのは初めてだね。エロ神様が二人同時に降臨なさったみたいだよ」


 そこからもトラスコレクションを説明される。その中には俺でさえ知識の無いとんでもないのもあった。・・・ただの紐を腰に巻いてパンツと言い張るのは流石にどうかと思ったが、それでもトラスは凄かった。ネットなんて無いこの世界でよくここまで色んな種類のパンツを集められたものだ。


 そう思い聞いてみたら・・・


「ああ、これ全部俺がデザインして作ってもらってるんですよ。で、それを娼館や商業ギルドに売ってるんです。あんまり売れませんけど、生活費の足しぐらいにはなりますね」


 おお!トラスって馬鹿だから仲間に入れてもらえないと思っていたけど、こういう副業やってソロの稼ぎでもやっていけるからパーティに入ってないのか。ちょっと見直したぜ。



「そういう訳で、ババア。このトラスが考えたパンツもオプションにするもよし、普段から穿いて客寄せにするのもババア次第だ!どうする?」

「・・・・尻が紐のやつと前が開くやつは全部売りな。・・・他は試しで5枚ずつ買う」

「へへへ!毎度ありい!」

「良かったな。トラス」

「はい!!ベイルさんのおかげっす!ようやく俺のパンツが日の目を見る事が出来ました!今日この日をパンツ記念日とします!」

「おお、そうか、勝手にしろ。俺はただ『快楽亭』の無料券の為にお前を利用しただけだからな」


 そう言った俺だったけど、後にトラスが『下着の神様』なんて二つ名で呼ばれ、そっち系の店じゃ『伝説のエロ神様』に並ぶぐらい有名人になるとは、この時の俺には思いつくはずがなかった。



「ガハハハ、終わってみれば簡単な依頼だったな」

「てめえは全く役に立たなかったけどな。『コーバスの夜の帝王』の異名は返上しろ!」


 あの後、ババアは特にごねる事もなく依頼書に完了のサインを書いてくれた。元々死にかけの妖怪みたいな顔だったけど、驚き過ぎたのか更に酷い顔になっていたのは笑えたぜ。それで今はゲレロと組合に向かっている所だ。


 トラス?あいつは組合通してないから、今日今すぐ無料券使うって言ってた。金銭のやり取りがねえから問題ねえだろう。俺も報酬取りっぱぐれないように保険で組合通したけど、こんな事なら通す必要なかったな。


 そんな事も考えつつゲレロと和気あいあいと話しながら組合に足を踏み入れると、いつもと様子が違う事に気付いた。


「なんか静かだな?」

「見られてるな」


 良く分かんねえけど。ゲレロの言う通り組合にいる連中から何故か視線を浴びている。俺達何かしたか?



 気になるけど、こう言うのはよくあって気のせいって事も多いので、俺等も気にせず受付に行き依頼達成の報告をする。


「おっす、ラルダ!依頼達成したから処理を頼む」




・・・・



 ・・・ザワッ


 な、何だ?凄い嫌な感じだ。振り返って周囲を見渡すと、みんな普通にしているように見える・・・・けどなあ、チラチラこっちを伺ってるは分かってるぞ!


「は、はい。処理完了しました。ほ、報酬はこちらの無料券になります。内容の確認をお願いします。今ならまだ異議申し立ては可能ですので」


 連中に威嚇していると、ラルダが達成処理を終わらせてくれて、一枚の紙きれを渡してきた。中にはババアとヘックス連名でこの紙で一度だけ『快楽亭』をサービスすると書かれている。注意事項としては予約は出来ない事。この紙の使用は一度きりという事。概ね依頼書通りの事が書かれている。


「内容に問題は無いな」

「俺も予約はしないから問題ないな」


 俺とゲレロの言葉に胸を撫でおろすラルダ。報酬が金じゃねえこういう依頼は話が違うって揉める事も多いからラルダも少し心配だったんだろう。


「それでは依頼は完了と言う事ですね。お疲れ様でした」


 笑顔で見送ってくれるラルダ。あの最低な3日間の事はもう許してくれたみたいだ。後は、今回の依頼でまーた機嫌悪くしたリリーのご機嫌とらないとなあ。

 そんな事を考えていると、さっきから俺達を伺っていた連中が行く手を遮ってきやがった。


「おう?何だ?何か用か?」

「お前ら、その顔・・・俺とベイルに喧嘩売る気か?」

「へへへ!違えよ。ベイル。ゲレロ」

 

 そう言って連中の中から姿を見せたのはペコーだった。


 こいつ依頼はどうした?終わったのか?


「喧嘩じゃねえなら何で道を塞ぐ?」

「ハハハ、ゲレロ、喧嘩じゃねえんだ。ただ、お前らが手にしているその紙が欲しくてよ」


 そう言ってペコーは、俺等が手に持つ『無料券』を指差す。


 ははーん。ペコーは依頼受けれなかったから無理やり報酬だけ奪いに来たって事か。他の連中も同じか。


「ガハハハッ。そう言われて『はい、どうぞ』なんて言うと思ってんのか?」

「思ってねえよ。だから無理やり奪うに決まってんだろ!」

「てめえら、俺達に勝てると思ってんのか?」

「勝つつもりは無えよ!奪えばいいだけだからな!」

「ハハハ、いいぜ、その勝負のってやるよ!この俺達から奪えたら、そいつのもんだ!その時は俺達も潔くあきらめてやるよ!」


 その言葉と共に襲いかかってくるペコー達。言葉通り勝つよりも奪う方に重きを置いて仕掛けてきたが、俺とゲレロの敵じゃねえ。全員床に転がして完全勝利だ!


「ハハハ、無料券に気が行き過ぎだ。いつもより歯ごたえが無かったぜ」

「ガハハハッ良い運動にはなったな」


 襲ってきた全員を床に転がして上機嫌の俺とゲレロはがっつりと握手を交わす。




「ちょっと!通路を塞がないで下さい!邪魔です!」


 ゲレロを握手していたらシリトラ達が通りかかり、道を塞いでいる俺達に文句を言ってきた。こいつらさっきまで端っこで飲んでたんだから、もうちょい落ち着くまで待ってろよ。折角のいい気分が台無しだ。


「またくだらない事で喧嘩かい?飽きないねえ」

「うるせえ、モレリア!もう一杯だけ隅っこで飲んでろよ!いい気分に水差しやがって!」

「何でベイルに指図されないといけないんですか!私達がどこで飲むのをやめようが勝手ですよね!」


 モレリアに言ったのにうるせえ、うるせえシリトラが絡んできやがった。こいつに捕まると説教長いんだよ。


「ああ、分かった、分かった。道空けるから許してくれ」


 いい気分だってのに説教はされたくないので、ゲレロと道を空けてやる。


「この床に転がっているのも邪魔だから脇にずらしておくこと!」

「へい、へい」

「まったく、シリトラはうるせえなあ」


 うるさいけどシリトラを怒らせると、くどくどと更にうるさくなるのは分かっているから、ゲレロと悪態を吐きながらペコー達を蹴り転がして、道を空けてやる。


「喧嘩は構いませんが、終わったらちゃんと邪魔にならないように片付けるんですよ」

「「はーい」」


 本当に母ちゃんみたいな小言を言い残してシリトラ達は掲示板に向かっていった。多分明日から働くからめぼしい依頼が無いか確認してから帰るんだろう。


「はあー。折角の気分が台無しだぜ」

「まあ、そう言うなって、ベイルもこのまま『快楽亭』に行くんだろ?」

「当り前よ!そう言えばもし、指名する女の子被ったら俺に譲ってくれよ。お前は何度も行けるだろうけど、俺は2級だから暫く行けねえからな」

「まあ、別にそのぐらいならいいぜ。何せ今回の依頼は俺何もしてねえからな」


 そうは言ってもゲレロがいなければこの依頼自体無かったけどな。・・・けど、それを言って調子に乗せるつもりは無いから黙っておくけど。



「いらっしゃい・・・って早速ですか?」


 『快楽亭』に着くと受付のヘックスが出迎えてくれた。


「うるせえな、こういうのは早い方がいいんだよ!それで?オプションの方はどうなっている?」

「受付嬢と高級服は以外は入荷しました。残り二つは10日後には必ず」


 ゲレロの質問にヘックスが答える。動きがはええじゃねえか。流石ヘックス・・・・いや、これはババアか。


「それってオプションはもう使えるのか?」

「ええ、ゲレロさんなら常連で事情も知っているので、大丈夫ですよ。ただ、価格は暫定になりますけど」

「お!いいじゃねえか。価格は気にしねえから早速オプション頼んでみるぜ。取り敢えずこれが『無料券』な」


 なんか流れでゲレロが先に受付してるけど、あいつ俺好みの姉ちゃんをさっさと指名したりしないよな?


 心配になりながら少し待つと、ゲレロが店の奥に消えていった。


 よし、俺もさっさと受付済ましてゲレロに追いつかなければ!


「ベイルさんは常連じゃないですけど、特別にオプション頼んでいいですよ」

「お!マジ?服は受付嬢か修道女がいいんだけど、受付嬢はまだなんだろ?だったら修道女にするわ!追加でいくらだ?」

「修道女は暫定価格で1000ジェリーになります」

「やっす!分かった。それで頼む」

「他のオプション・・・下着と髪型は頼みますか?」

「・・・うーん。それは指名してから考える。そこからでも追加出来るんだろ?」

「勿論です。ちなみに既に女達は好きな髪型にして、トラスさんデザインの下着穿いている子もいますけど、変更は可能です。変更しない場合は追加料金はかかりません」

「へえー。運が良ければ好みの姉ちゃんが既に好みの髪型や下着穿いてるって事か。そいつは考えたな。誰の考えだ?」

「トラスさんです。そういうギャンブル要素も入れた方がいいんじゃないかって。あの人凄いですね!女将が珍しく褒めてましたよ」


 トラスは組合員よりこういう業界の方が向いてるんじゃねえ?


「ふーん。まあどうでもいいや、ほら、これ『無料券』な」


 マジでどうでもいいので、ヘックスに『無料券』を渡す。少し話過ぎたな。ゲレロの奴、頼むからまだ指名せずに俺を待っていてくれよ。


 逸る気持ちを抑えながら、ヘックスの合図を待っていたんだが、『無料券』を確認した途端、その顔が曇った。


「ベイルさん。何の冗談ですか?こりゃあ無いですよ」


 そう言って少し呆れた顔でヘックスは、俺に無料券を突き返してくる。それを一目見ただけで俺はすぐに分かった。


 


 この無料券は・・・・偽物だ!!



 だって何も書いて無えんだもん。俺がラルダから渡された時はババアとヘックスの連名でちゃんと内容が書かれていた。それが俺が渡した紙には何も書かれてない



 ・・・・・・


 いつの間にすり替えられた?どこで?ペコー達に勝った時には確認したからその後?・・・・いや違う、あるのは確認したが、そこで中身を確認してなかった。って事は喧嘩の最中にすり替えられた?・・・・マジかよ・・・・そこまで手癖の悪いのがいるのか?


「なあ、ヘックス。顔パスじゃダメか?」

「駄目です。無料券が無いと、ちゃんとお金を払ってもらいます」

「いや、でもよ。俺が依頼達成したってヘックスなら知っているじゃねえか?」

「それで、もしベイルさんを無料にした後に、無料券持った人が来たらどうするんです?僕と女将の連名で書かれているんですよ。断ったら店の信用に関わるので、無料にするしかないでしょう。そうなると僕らはベイルさんの分だけ損をした事になるんですよ!」


 ・・・ぐっ。そ、そう言われたら何も反論出来ねえ。すり替えられた俺が馬鹿でしたで終わっている話だ。しかも奪われても文句言わねえとか言ったから、もし犯人見つけても何も言えねえ。


 ああああああああ!俺の『無料券』!!!!!!


「だ、大丈夫ですか?」


 取り乱す俺に恐怖を感じたのか恐る恐るヘックスが聞いてくる。こっちは10万以上の金を落とした気分なんだ!大丈夫な訳ねえだろ!


「・・・・な、なあ、もし無料券を使った奴がいたら教えてもらう事は出来るか?」

「み、店からは言えません。ただ・・・使えばどこからか情報は洩れるでしょうね」


 ああ、要するに情報屋使えって事か。了解した。俺から気付かれずにすり替えれる奴が組合にいる。それだけでも十分なネタになる。更にそいつを特定出来れば今後は注意しておくことも出来る。今回は俺も調子に乗ってたから許してやるよ。



・・・



 いや、やっぱり許せねえ。文句行って一発ぶん殴るぐらいはしてもいいだろ。



 そう決めたんだけどなあ。



 俺の報復を恐れたのか、俺から奪った『無料券』を使う奴が現れる事は無かった。





■■

「リーダーは少しモレリアさんに甘いと思います。今回リーダーがリスク犯す必要全く無かったですよね!」

「ミルシーの言う事は当然だ。だが、リーダーにリーダーの考えがある。お前が口を出すな」

「ボス!!」

「ミルシー。モレリアの代わりがあなたに務まるなら、私も素直に意見を聞き入れます。けどあなたには無理でしょう?」

「・・・・・クッ。こ、これでも昔よりは・・・」

「何か僕のせいでごめんねえ。リーダーは最近少し心配症なんだよ。困っちゃうねえ」

「モレリア、あなた、ベイルが『快楽亭』に行くって聞いた時の目、以前の壊れていた時の目でしたけど?」

「壊れていたとか酷いなあ。僕は人形じゃないよ」

「もういい、その話は終わりだ」

「終わりじゃありません!ボス!そもそも何でリーダーが動いたんですか?私でもすり替えられましたよ!」

「君じゃ無理だよ」

「あなたでは無理です」

「何で二人ともやっても無いのに決めつけるんですか!4級を維持できなくて今じゃ2級まで落ちぶれてる人ですよ」

「この街では級よりも、どれだけ長く組合員として居座っているかで強さを判断しなさい。恐らくベイルは私と同じぐらい強いはずです」

「そ、そんなに?あ、あんなに馬鹿なんですよ」

「それでも組合じゃ彼の強さには一目置いているんだ。その頭の悪さを補うだけの強さがあるって事だよ」

「・・・・・・」


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