表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造の砦:AIを超える思考とは  作者: Ohtori
第4章「夜の革命ーーAIに弄ばれる男たち」
75/140

第75話「ひなた、No.1奪還への決意」

LUX ROUXの売上ランキングが更新され、ついに美咲がNo.1の座を獲得した。AIを駆使した営業戦略が成果を上げる一方で、ひなたは自身のスタイルを貫き続けた結果、順位を落とすことに。だが、修士郎の助言を受け、AIを活用しながら自分の強みを伸ばす決意を固める。

LUX ROUXの営業ランキングが更新された翌日、店内はいつもとは違った空気が流れていた。No.1の座がひなたから美咲へと移り、キャストたちの間ではAIを活用した営業スタイルの優位性が改めて認識されることとなった。


「ひなたさん、大丈夫ですか?」


営業前の控室で、水瀬りおが心配そうに声をかける。


「ありがとう、りお。でも、大丈夫。むしろ、いい刺激になったわ」


ひなたは落ち着いた表情を見せるが、その目は明らかに決意に満ちていた。


「本当に悔しくないの?」


南條カレンが腕を組みながら問いかける。


「悔しくないわけ、ないでしょ。でもね、私は美咲を尊敬してる。彼女はAIをうまく使って、自分の接客を進化させた。だからこそ、私も次のステップに進まないといけないのよ」


「次のステップ……って?」


りおが興味深そうに尋ねると、ひなたは微笑んだ。


「私もAIを活用するわ。でも、私なりのやり方でね」


そう言うと、ひなたはバックオフィスに向かった。そこでは、修士郎と藤崎がデータを分析しながら話し合っていた。


「ひなた、どうした?」


修士郎が顔を上げると、ひなたは真っ直ぐな目で言った。


「私に、AIの使い方を教えてください」


藤崎は少し驚いた様子を見せたが、すぐに微笑んだ。


「いい決断ね、ひなた。あなたがAIをどう使いこなすか、私も興味があるわ」


「私は今まで、接客は人と人との関係がすべてだと思っていた。でも、美咲を見て、考えが変わったの。AIを導入すれば、もっとお客様に寄り添えるかもしれないって」


修士郎は頷きながら、タブレットを操作し始めた。


「ひなた、お前の接客スタイルを崩す必要はない。AIはお前の強みをさらに伸ばすためのツールだ。まずは、過去の接客データをAIに学習させて、お客様ごとに最適な対応を提案させてみよう」


「過去の接客データ……?」


「たとえば、お客様ごとの会話内容、好み、反応のパターンをAIが分析する。それを元に、次回の来店時にどんな話題を振るべきか、どのタイミングでフォローすべきかをAIが提案してくれるんだ」


ひなたは真剣に話を聞きながら、腕を組んで考え込んだ。


「つまり、私の接客をより精密に、計画的にするってこと?」


「そういうことだ。ただ、最終的に判断するのはお前自身だ。AIの提案をどう活かすかは、お前の経験と感覚次第だな」


藤崎が補足する。


「AIを取り入れたからといって、すぐにNo.1に返り咲けるわけじゃない。でも、今までの経験に加えて、データを活用すれば、より高度な接客が可能になるわ」


ひなたは静かに頷いた。


「分かりました。私、やってみます」


その日から、ひなたはAIを使った新しい営業スタイルの習得に取り組み始めた。まず最初に行ったのは、過去に接客したお客様のデータを整理することだった。AIの解析結果をもとに、お客様ごとに最適なアプローチを考える。


「このお客様は、過去にワインの話で盛り上がったみたいね。次回来店時は、最近のワイントレンドを話題にしてみよう」


「このお客様は、最近仕事で大きなプロジェクトを担当したらしい。AIの分析によると、成功体験を共有したがるタイプだから、その話を引き出すと良さそうね」


ひなたはAIの提案を参考にしつつ、自分の感覚を組み合わせて営業戦略を練っていった。


営業が始まり、ひなたの最初のお客様が来店した。AIのアドバイス通りに会話を進めると、お客様の反応が今まで以上に良くなっていることを実感した。


「ひなたちゃん、今日はいつも以上に話が弾むね。なんだか、僕のことを本当に分かってくれているみたいだ」


「ふふ、もちろんよ。あなたのことは、ちゃんと覚えているもの」


そう言いながらも、ひなたは内心でAIの力を実感していた。自分の記憶力だけでは限界があるが、AIのサポートがあれば、より精度の高い接客ができる。


営業が終わり、バックオフィスで修士郎と藤崎に報告をした。


「すごいわ、ひなた。最初のテストとしては上出来ね」


藤崎が満足げに言う。


「お前の接客スタイルに、AIがうまく融合してきたな。これからもっと洗練させていけば、No.1も夢じゃないぞ」


ひなたは力強く頷いた。


「私、絶対にNo.1に返り咲きます。そのために、AIの力を最大限に活用するわ」


その決意を聞いていた美咲は、静かに微笑んだ。


「ひなたさんが本気を出したら、どうなるんだろう……私も、負けられないな」


こうして、LUX ROUXのトップ争いは、新たなフェーズへと突入していった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ