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退屈だった日常が彼女によって変えられた!

作者: 真水楓


これは高峰唯斗という男の子の話。


いつも楽しみのない一日をただただ過ごしていた

日常が変わった話。



『チリチリチリチリチリチリ・・・カチィッ』

アラームの耳に響く音で目が覚めた。

体を起こしカーテンの隙間から外をのぞく。

ピンクの花びらが町中を散っていた。

春が訪れたのだと理解した。

唯斗は今年で十六回目の春を迎えた。

今日は高校の入学式で早めに準備を済ませ、玄関を飛び出した。

外に出て歩いて学校へ向かった。

入学式だってのに唯斗はわくわくといった楽しみの一つも浮かんでこない。

なぜなら唯斗にはこの日常が楽しいと思わないのだから。

別に楽しみの一つもないというわけではないが、かといってこの生活が楽しいとも思わない。

代り映えしない日常にただただ退屈しているだけだった。


少し歩いていると、自販機の前である少女を見かけた。

小動物っぽい可愛らしい子だった。

身を低くし自販機の下に手を伸ばしている。

どうやらお金を自販機の下に落としたように見える。

「どうした?」

そう聞くと驚いたのか彼女は自販機に頭をぶつけていた。

「ガタン!」

「アイタッ!」

結構すごい音がした。とはいえ、近くにいる俺に聞こえる程度の音である。

「大丈夫か?急に声をかけてすまん。だが困っていたように見えたから」

「あ、うん。平気だよ。ただ自販機の下に百円を落としちゃって...」

予想通り彼女は百円をおとしたらしい。

「ちょっと待ってね」

といい代わりに俺がその百円をとり、彼女に返した。

そしたら彼女はとても嬉しそうにしていた。

「ありがとうございます!」

とてもかわいらしい笑顔でそう言った。

だが彼女は俺の顔を見た途端、表情が少し照れていたように見えた。

感謝を告げると彼女は、

「やばっ、時間が...。す、すみません私急がないと。百円、本当にありがとうございまた。では失礼します!」

といい、急い行ってしまった。

あわあわしてる姿から本当に小動物みたいに見えてきてしまった。

だがなぜ彼女は照れていたのだろう...

そんなことを思いながらも学校に向かおうとしたとき、ふと目に時計が映った。

短い針は八時手前を指していた。

「まずっ」

そう口にすると俺は走って学校に向かった。


学校にギリギリ間に合い、体育館へ向かった。

体育館に行くと大勢の生徒が座って隣の人と喋ったりしていた。

自分の席に座って少ししてから入学式が始まった。

適当に入学式を過ごし退屈な時間が終わって新たなクラスに向かう途中声をかけられた。

ゆっくりと後ろを振り向くと篤志が立っていた。

「唯斗、また三年一緒だな。よろしくたのむぜ」

「おう」

そう返すと篤志はクラスに行った。

篤志は中学校からの知り合いで俺の唯一の友達である。

こういうと陰キャだと思われるが自分は別にかまわない。

友達が多かろうが少なかろうがどっちでもいいからだ。

篤志と別れてから自分も新しいクラスへと向かった。

新入生が教室の席につき先生が話を始める。

「まず初めにお互いを知るために自己紹介からしましょう」

一人ずつ順番に自己紹介をした。

するとある女子生徒にクラス全員の目が留まった。

「初めまして、県外からきた、花浦智里です。この街には最近引っ越してきたばかりなので友達になってくれたら嬉しいです。よろしくお願いします」

みんなの目が釘付けになった。

顔は小さく、髪はショートカットで目はぱっちりと開いている。

アイドルにいてもおかしくない顔立ちだった。

だが唯斗には見覚えのある顔だった。

小動物のようにあわあわしていて可愛らしい子。

そう朝出会った少女であった。

すると智里と目が合いお互いに「あっ」と声に出てしまった。

その瞬間クラスが少し騒めいた。

智里は少し頬を赤くし椅子に座った。

そして休み時間になると一斉に智里のところにクラス中が集まった。

「花浦さんってめっちゃ顔ちっさくてかわいいね」

「肌めっちゃきれい」

「アイドルとかやってるの?」

智里の人気は予想をはるかに超えるほどだった。

そして智里とまた目がある。

だが智里はすぐ目をそらした。

放課後になり、智里が唯斗の机に近づいてきた。

「ねぇ、唯斗君。この後って暇?」

「まぁ暇だけど...」

「だったら少し私に時間ちょうだい!」

「わ、分かった」

そういうと智里は唯斗とを連れて教室から出て行った。


連れてこられたのは学校の屋上であった。

何の用だろうと唯斗は少し緊張していた。

「私ね、唯斗君は覚えてないと思うけど前に唯斗君に助けられたんだよ。」

「自販機か?」

「それもだけど...それよりもずっと前に」

唯斗には智里を昔助けた覚えがない。

「それは本当に俺なのか?人違いとか」

「そんなわけはない‼昔私が事故に巻き込まれそうになった時に唯斗君が助けてくれたの!」

唯斗は智里の言葉で思い出した。

唯斗が小さいときにある少女と遊んでいた。

そのときに暴走したトラックが走っている中その少女を助けた記憶を思い出す。

「智里だったのか?あの子は」

「うん、そうだよ。私だよ」

智里の頬に一滴の涙がこぼれた。

「私ね、あの時から唯斗君に憧れてたんだよ。そして唯斗君を好きになったんだよ!私は唯斗君にまた会って伝えたかった。ありがとう、そして大好きです」

唯斗にこういうのはないものだと思っていた。

唯斗は智里を助けた当時、ただ全力で智里を守りたいと思った。

そう考えるとずっと助けた子に恋をしていたと気づく。

唯斗は言った。

「俺もその時に恋をしてたんだ。一緒に遊んでくれる子に。だがそのことを忘れて俺はつまらないと毎日思っていた。そんな俺でもいいのか?」

「唯斗君がつまらないと思うのなら、私があなたのそばにいたい!私があなたの毎日、いや人生を楽しくしてみせる」

智里は本気だった。

「こんな俺でも智里はずっとそばにいてほしい」

智里は泣いていた。

その日をもち、唯斗と智里は付き合うこととなった。


次の日の朝、唯斗は目を覚ました。

いつもより気持ちが高ぶっていて初めての感覚だった。

なぜかは唯斗は一瞬で理解した。

やはり昨日のことで高まっているのだろう。


学校につくと智里に会った。

お互いそわそわしていてすぐ自分の席についた。

授業が終わり智里が唯斗の席に来て小さな声で言った。

「唯斗君、この後デートしない?」

「いいよ」

「やったぁ」

智里は小さく喜んだ。

なぜ小さく喋っているのかというと唯斗と智里が付き合っていることは秘密にしているのだ。

唯斗は自分のことであまり目立ちたくないからだ。

そしてデートの場所は遊園地に決まったのだ。

「なにからする?」

「智里に任せるよ」

そういうと智里はジェットコースターを指さしてきた。

列に並び順番を待っていると智里が少し心配してきた。

「ちょっと怖くなってきたかも」

「大丈夫だよ」

と励ました唯斗も正直、心の中では怖がっていた。

順番がきてジェットコースターに乗る。

だんだんと地面から遠ざかって行く不安を感じながらも智里は笑顔だった。

「あっこれやばいやつだ!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ジェットコースターに乗っているすべての人が叫んだ。

ジェットコースターが終わった後、唯斗はフラフラだった。

「ふふ、唯斗君顔がやばい顔になってるよ」

「もともとこんな顔だ」

と笑いながら話している。

「じゃあ次はお化け屋敷行かないか?」

唯斗がそういうと智里が少し固まった。

「もしかして怖いの苦手か?」

「いやぁ、そんなことないけどっ」

そんな噓バレバレなことを言っている智里が可愛く見えた。

お化け屋敷に入ると智里は唯斗にくっついてきた。

唯斗は女子に触れられたことはないのですごくドキドキしている。

「智里、少しくっつきすぎじゃないか?」

「別にそんなことないし!」

って言っているものの、結構密着していた。

智里のドキドキとした鼓動が聞こえる。

唯斗の鼓動も智里に伝わっていた。

「きゃぁぁ!」

「大丈夫か?」

「唯斗君、手を離さないでね」

その一言で唯斗はドキドキとまた胸の音を鳴らし照れている。

はたから見ればイチャついているカップルである。

お化け屋敷から出ると最後に観覧車に乗りたいと智里が言ってきた。

「ねぇ見てみて、夕日がとてもきれいだよ」

と目を輝かせながら智里が景色を眺めていた。

唯斗は景色よりも目を輝かせている智里から目が離せなかった。

俺は本当に智里と付き合っているんだと夢のように感じていた。

「智里、本当に俺でよかったのか?」

智里はそういった唯斗を見つめながら笑顔で言った。

「唯斗君だからいいんだよ」

唯斗は胸の奥にその言葉が染みついた。

「今日はありがとう。デートすごく楽しかったよ」

「俺も楽しかったよ」

「唯斗君、また明日バイバイ」

そう言って智里は家に帰っていった。

家につき唯斗は考えていた。

こんなに楽しいのは初めてだった。

今までのつまらない日が嘘のように感じていた。

自分は間違ってきたのだろう。

ただ一日一日が退屈だと思いこみ、たくさんの楽しさを見てこなかったのだろうと。

幸せはすぐそばにあった。

唯斗はそんなことを思いながら深い眠りについた。


真水楓と申します。

小説を書いてみたくて初めて投稿しました。

初心者なので誤字脱字だったり、言葉が変だったりするかもしれませんが、頑張って面白い小説を書けるようになりたいとおもっております。

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