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Side - 531 - 1 - はじめまして -

※2023年7月15日、タイトルを変更しました

旧)氷の令嬢リーゼロッテさんはチベットスナギツネになってひきこもりたい(仮)

新)隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!

Side - 531 - 1 - はじめまして -



僕の名前はルシーア・シェルダン12歳、みんなからはルシア、シア、って呼ばれています、このローゼリア王国の歴史に興味があって、各地の図書館や資料館を訪れてお勉強をしている・・・お・・・女の子です。


僕のお家は貴族・・・伝統のある上級貴族になるのですが・・・お父様は家の当主、お母様は・・・泥酔したお父様に乱暴?された挙句、僕を妊娠したメイドです。


だから僕の立場はこのお家でとても弱いのです、僕が生まれた時、お父様はお母様に言いました。


「この子は男の子だ、我がシェルダン家の後継あとつぎとして野心を持たれると困る、だから一族の一員として認めるわけにはいかない、男として育てるならこの家に住むことは許さないし家の名を名乗ることも許さない、悪いが出て行ってもらう、だが女として育てるなら娘として我が一族に名を連ねることを許そう」


元々身寄りのない孤児だったところを拾われたお母様はこのお家を追い出されたらどこにも行くあてがありません、「ごめんね」と言いながら生まれて間もない僕の男性器を切断する事を了承、シェルダン家専属のお医者様の手で処置をされて僕は女の子になりました、この家に都合の良い、子孫を残すことの無い女の子・・・。


女性になる代償として僕が手に入れたものは衣食住、フカフカのお布団と快適なお部屋、毎日美味しいお料理を食べ、貴族として多くの知識を学ばせてもらいました、そして後継あとつぎや上級貴族としての責任が比較的軽い自由な立場・・・。


僕の秘密を全て知っている母親違いの兄達はとても優しく、・・・というか末っ子として甘やかし、とても可愛がられました、・・・他のお家でよく聞くような陰湿ないじめや酷い仕打ちはされた事がありません、もちろん正妻であるお義母様も僕に優しく、本当は女の子が欲しかったらしくて、頻繁にお茶の相手や着せ替え人形に・・・。


メイドだったお母様の身分も特に変わることはなく、今ではお家のことを全て任せられたメイド長、お屋敷の敷地内に別邸を与えられ、お給料も良く他の平民のお家に比べてとても裕福です。


そして幼少の頃から一緒に育った幼馴染として、お母様はお父様に密かに恋心を抱いていたのだとか、だから表向きは泥酔した勢いでお父様が迫ってきた事になってるけど・・・、それ以上はお母様に聞いても教えてくれません・・・お母様はさっぱりした性格で、お父様に対して普段は男友達のように振る舞っているのに、・・・とても意外でした、「シアちゃん、これは誰にも言っちゃダメだよ」って僕だけに教えてくれました。


僕が自分の出生の事情を知った時にはお父様の事は随分と身勝手で酷い人間だと軽蔑した事もありましたが・・・、でもよく考えたら僕は幸せなのかも?、小さい頃は時々お父様の膝の上に乗って頭を撫でてもらったし・・・、何しろ僕の意思に関係なく女の子にされた事以外、僕に都合が悪い事は全く無いのだから。


今も午後のティータイム、綺麗なお洋服を着て僕専属のメイドさんが用意してくれた甘くて美味しい苺のケーキを綺麗なお庭に置かれたテーブルで頬張っています。


「わぁ・・・今日のケーキ、美味しいな・・・」


思わずそう呟くと、僕の専属メイド、タニタさんは。


「こちらは最近旧王都で人気のお店、「フェリーネ」の苺チーズケーキでございます」


「わ、これって、朝早くから並ばないと手に入らないやつ?」


「そうでございますよ、お嬢様、私が眠たいのに早起きして・・・そうですね・・・時計の針が1周半するほど並んだでしょうか・・・」


「わー、タニタさんありがとう!、でもわざわざ僕の為に・・・」


「か、・・・勘違いしないでくださいませお嬢様、私が食べたかったから買ってきただけでございます!、お嬢様の分は、・・・その・・・ついででございます!」


顔を赤くして照れ隠しをするタニタさん、可愛いな・・・僕より5つ上の17歳、感情表現が下手で、いつも無表情、だけど僕を甘やかしてくれてとっても優しいの。


時々僕に自分のお給料を使って美味しいものや可愛いものを買ってくれるんだぁ、お家に経費を請求してって言ってるのに・・・「私はいつもお嬢様に振り回わされていますので、その迷惑手当てで旦那様からのお給料が他の人達より良いのです、気にしないでくださいませ!」って凄い早口で言われちゃった、僕にとってタニタさんはお姉さまみたいな人なの。


「ふぅ・・・美味しかったぁ・・・ちょっとお部屋で休憩するね」


「はい、・・・しかしお嬢様、甘いものを食べてすぐ横になると太ります、もう少し運動を・・・」


「あー、はいはい、わかってるよー、そのうちやるから今日は許して」




バタン・・・


お部屋に入り、お外に出る時少し肌寒かったから肩にかけていたショールを外して姿見の前に立ちます。


「うん、今日も無駄に可愛い・・・」


鏡の前でくるりと一回転、背中まである艶やかな長い銀髪、少し垂れた目、青に近い灰色の瞳、左目の下に小さなホクロ、唇は薄く鼻は小さい、どこから見てもお人形のような美少女、全体的に華奢で強く掴むと折れそうな腕や足・・・当然お胸はぺったんこ、動きやすい淡い緑色のワンピースには髪の色と同じ銀色の刺繍入り、これが今の僕の姿です。


幼少の頃から徹底的に女性としてのマナーを叩き込まれたから・・・とは言っても優しく丁寧に、だけどね・・・仕草は貴族女性のもの、お義母様にも綺麗な立ち居振る舞いだと褒められたんだぁ・・・でも心は、どうなんだろう・・・女性でも男性でもない、・・・どちらでもない・・・かな?。


男性の誰かと結婚して・・・っていうのは想像できない、絶対に嫌!、無理!、だって・・・おちんちんは無いけどお胸もないし、身体は・・・女性的だけど本物の女性じゃない、なら女性と恋愛関係に・・・ってなるのもありえない、立場上でも気持ち的にも無理!。


「・・・はぁ・・・僕って、将来どうなるんだろう・・・」


今のところお兄様達みたいに婚約者の話も、将来の・・・お仕事の事も何も言われてないし、政略結婚の必要なんて無いくらい僕のお家はお金と権力を持ってるの、「ルシアちゃんはずっとこのお家にいていいんだよ」ってお父様も言ってくれてる・・・、幸い頭は良かったみたいだから、お父様やお兄様達のお仕事のお手伝い・・・僕にこんなに良くしてくれたお家の役に立ちたい、・・・でも・・・、ベッドの脇に置いてある一冊の本が目に止まります。


「白銀の大魔導士様・・・」


我がシェルダン一族の英雄、白銀の大魔導士様、・・・お話を聞いたり本を読んだり・・・知れば知るほどかっこいい!、でも僕はまだ一度もお会いしてない、・・・あー会いたいなぁ・・・憧れるなぁ・・・魔法騎士・・・いいなぁ・・・。


僕はタニタさんの言葉も忘れて本を胸に抱えてベッドに横になり、足をバタバタさせてあっちにゴロゴロ、こっちにゴロゴロ・・・いつからだろう、白銀の大魔導士様に憧れるようになったのは・・・僕もあんな風になりたいな・・・。


ピッ・・・


「・・・ん?・・・なんだろう・・・通信?」


僕は机の上にある端末に向かい照魔鏡ゴーグルを装着、同じ机の上にある水晶モニタァには登録したニュースサイトからの新着メッセージ・・・、この世界中の人達が持つ膨大な情報を一つにする画期的な大規模大陸間通信網、「エンタァ・ネトゥ」を開発し、整備したのも・・・むふ・・・偉大な白銀の大魔導士様、・・・尊敬する僕の大伯母様・・・ふふっ・・・。


「王宮通信の最新ニュース・・・わぁ!、・・・白銀の大魔導士様、新王都移転200年記念式典に参列!、公式な場に姿を現すのは約80年ぶり、大魔法を披露か?」


嘘!、式典いつだっけ?、半年後!・・・チケットは!。


照魔鏡ゴーグルに映った情報を瞳で動かしチケットセンターへ・・・わーん!、売り切れ!、ニュースが出てすぐなのにぃ!、みんな行動早過ぎ!・・・うぅ・・・諦めない、僕は諦めないぞ!・・・ぐぬぬ・・・こうなったら」


バタン・・・パタパタ・・・





コンコン、バタン!


「お兄様ぁ!」


「おわっと・・・ルシアちゃん、どしたの、女の子なんだからそんなに走っちゃダメでしょ、相変わらずいい香りして抱き心地いいけど・・・」


「アルベルトお兄様!、大好きなお兄様!、かっこいいお兄様!」


「ふふふ、なんだよ急に、褒めても何も出ないよ」


「もっと褒めるから出して欲しいの!、お願いがあるの!、ルシア一生のお願い!」


「一生のお願いは去年聞いてあげたじゃん、最新型の照魔鏡ゴーグル付き水晶モニタァ欲しい!、買って!、って言うから・・・」


「わーん、お兄様の意地悪!」


「わぁ、そんな肩掴んで揺らすなよ!・・・じゃぁ、お願い聞いてあげるから・・・今度お兄様と一緒にレストランにお食事に行こう、二人でデートだ!、良いかな?」


「うん!、行く!、行くからルシアのお願い聞いて!」


「・・・もしかして、・・・これが欲しいのかな?」


「わぁぁ!、記念式典のチケット!、どうしてルシアが欲しい物分かったの、そうか!、お兄様ルシアが好きすぎて僕の心が読めるんだ!」


「いや読まなくても分かるって、白銀の大魔導士様が式典に出るってなったら、ルシアちゃんがこうなる事くらい誰でも分かるよ」


「それ・・・僕にくれるの?、くれるよね、お願い・・・欲しいの・・・」


「分かったよ、はい2枚、お友達と行っておいで・・・何?、急に表情が曇ったけど・・・」


「僕、・・・お友達居ないの・・・ぐす・・・」


「分かってるよ、冗談だから泣かないで、タニタちゃん誘って行ってきな、当日までチケット失くすなよ・・・」


読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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