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Side - 184 - 22 - れすとらん、ただーの -

(お知らせ)

「隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!」の年表を作りました

今までのお話の流れを整理したい時に読んでみてくださいね


※本編未読の人はネタバレがありますので注意してください


https://ncode.syosetu.com/n3515ih



※2025年1月14日 内容を加筆修正しました。

Side - 184 - 22 - れすとらん、ただーの -



爺さん達の誤解を解くのに時間がかかった、疲れたぜ・・・、そう思ってるとまたドアが開いた。


「ベネット!、おまえ生きてたのか!」


親父が乱入して来やがった、また話がややこしくなりそうだぜ、・・・俺は頭を抱えた、だがここに来るの遅かったな。


「あぁ、親父は宿の食材を買い出しに行ってたんだ、だから俺が従業員に伝言頼んでた」


兄貴が疑問を察したんだろう、俺に言った。


それから兄貴と爺さんが親父に説明してくれた、話が長くなったからか、俺の隣では奴が退屈して居眠りを始めやがった、ソファに座ったまま顔を上に向け白目を剥いて、・・・おい、涎が出てっぞ、汚ねぇなぁ・・・。


「じゃぁ、こいつが最初にこの街に来たのは170年も前なのか?」


驚く俺に爺さんは・・・。


「そうだな、タダーノの創業者、タダーノ・カカーシィー・ブライアスの店にふらりとやって来たそうだ、本人に聞いたら美味かったから店の常連になったと言ってたな」


爺さんの話を補足するように親父が続けた。


「店に来るようになってタダーノの甥のトシロー・クチダケ・ブライアスと親しくなった、その頃トシローの父親、トーリック・ダヨ・ブライアスは妻を亡くしていてな、リゼお姉ちゃんの護衛で一緒にこの街に来たシャルロット・ブルナカノンと恋に落ちて再婚した」


また爺さんが口を開いた。


「トシローとその妹で俺の母親、キャディ・ハオスキー・ブライアスが同じ母親・・・前妻だな、・・・その下の妹、トンデモーネ・マテタンダと弟のハーネノ・ツイタカヌーはトーリックとシャルロットの子供だ、まだこの代は王族の名残があってみんなミドル・ネーム付きだ、その次の世代・・・俺の代からはこの大陸でブライアス王家の復興はしないって決めたからミドル・ネームは付けてない」


爺さんが意味の分からねぇ事を言ってやがる、王族って何の話だ?。


「シャルロットの娘と息子はギャラン・ローゼリアでブライアス王家を再興した、元々ここに住んでた元ブライアス王国民の中から希望者を募って向こうの大陸に移住したんだ、大陸の端の方に領地をもらって、この土地に伝わる漁業技術を活かして向こうでも漁業を中心に栄えさせ、国として独立した」


「ちょっと待ってくれ!、ブライアス王家って何だ?、俺は聞いてねぇぞ!」


「このあたりは昔ブライアス王国ってのがあって、タダーノとトーリックの親父さんが国王だった、その関係でウチは平民みたいな暮らししてるが一応爵位持ちの貴族だぞ、下級だがな・・・」


「・・・は?、・・・貴族・・・」


「そうだぞ、王国時代の国宝もウチで預かって倉庫に保管してるし、毎年晩餐会の招待状も王家から来てる、ウチみたいな下級貴族は来ても来なくても良いっていうから最近は行ってないがな、あと、ギャラン大陸にあるブライアス王国からも毎年招待状が届いてる、遠いから行ってないが・・・今の国王はダターラ・コゲバイイダロ・ブライアス陛下で、うちとは血縁だぞ」


「なんで俺に黙ってたんだよ・・・」


「教えようとしたがお前は勉強が嫌いで、基本的な文字の読み書きや計算を習って次に歴史や王家について教えてやろうとしたらハンターになるんだって出て行ったじゃないか、下手に教えて悪い奴等に利用されないように黙ってた方が良いだろうって事になった、そのうち教えるつもりではいたが・・・すまん忘れてた」


「それで、何で爺さんや兄貴達がこいつと仲良いんだ?」


「リゼお姉ちゃんは人嫌いで気難しいが一度身内って認められたら家族同然の付き合いをしてくれる、・・・俺たち一族はリゼお姉ちゃんと家族として付き合ってきたから信頼関係が出来てるんだ、だが・・・例えばお前が幻影についての秘密を誰かに漏らしたら・・・俺やお前の代でその信頼は一気に崩れるだろうがな」


「何度も言ってるように俺は恩人を売るようなクズじゃねぇ、だが、何でこいつはあんな魔物がウヨウヨ居る森に隠れて住んでんだ?」


「以前はこの国の王族とも親しかったらしい、女王陛下と親友だったくらいだからな、だが世代が替わると王族や官僚達、高位貴族の中にはお姉ちゃんを利用したり自分の勢力に取り込もうとする馬鹿が出て来る、お姉ちゃんが身を隠して誰も来ない所に逃げてる理由は単純にそいつらの相手をするのが面倒臭いからだ」


「面倒臭い・・・」


「そうだ・・・、城に常駐して王家に仕えろ、騎士団長になれ、兵器や転移装置に魔力を補充しろ、開発した魔道具を寄越せ、祭典で魔法を披露しろ、子は産まなくていいから嫁になれ、他国の王族が顔を見たいと言っている・・・これはほんの一部だ・・・俺が知らないだけで他にもっとあると思うぞ、毎日のようにこんな事を言われて、嫉妬した貴族連中に敵視されてみろ、誰だって嫌になるってもんだ」


「確かに隠れたくもなるな・・・」


「馬鹿どもの相手をするのが面倒だって事もあるが王族や他の貴族連中を守る為でもある、・・・さっき俺が人嫌いで気難しいと言っただろ・・・、お姉ちゃんは怒りの沸点が人より低い、嫌だって言ってるのにしつこく無理強いするとブチ切れる、大魔導士って呼ばれる程の力を持ってる人間を怒らせてみろ、下手すると国が更地になっちまう」


「そんなにやばいのかよ!」


「あぁ、実際何十年か前にブチ切れて王都の南にある山の上半分を消し飛ばした、一体何をやってそんなに怒らせたのかは分からんがな、・・・それをよく理解してる統一国王陛下からは白銀の大魔導士様を怒らせるなって命令も出てる、まぁ言っても分からん馬鹿が沢山居るからこんな事になってるんだがな」


爺さんの話を聞いてると、俺の隣で白目剥いて爆睡してた奴がビクッと跳ねて目を醒ました、呑気に夢でも見てやがったのかよ・・・。


「んぅ・・・朝なのです?」


「寝ぼけてるな・・・」


「あぅ・・・ごめん、・・・寝坊しちゃった、おじさんの朝ごはん・・・作らなきゃ、・・・あれ・・・サリーくんのお家?」


「よく寝てたな・・・」


「あ、そうだ、私、サリーくんにご飯作ってあげようと思って食材持ってきたのです・・・おじさんに酷い目に遭わされたから忘れてた・・・ちょっとお台所借りるのです」


「・・・なぁ、本当にアレが白銀の大魔導士で冷酷非道なハンターって言われてる幻影なのか?」


「そうだぞ、嘘だと思うなら今度お前の大剣で襲いかかってみろ、俺は昔、でかい熊の魔物が一瞬で肉片にされるのを見た事がある・・・」


「いやいい、せっかく助かった命だ、無駄に捨てようとは思わねぇ」






「うめぇ・・・」


「あぁ、お姉ちゃんの料理は絶品だ、俺は生涯かけても追いつけなかったな・・・」


あれから親父と兄貴は宿の仕事があると言って帰った、ここは田舎で観光客も滅多に来ねぇが宿で提供してる風呂や食事を目当てにして地元の奴らが来る、だからこの時間は忙しくなるんだ。


今俺と爺さんは奴が作った料理を食ってる、夕食には少し早いがな・・・やっぱり美味い、爺さんや兄貴の料理も美味いがどこか違う、調味料か素材の捌き方か・・・あの家で食ってた味だ、まだそんなに経ってねぇが懐かしいな。


ハーブのたっぷり入ったトマトソースの肉入りパスタ、ニンニクやスパイスの効いた炙り焼きチキン、それから酸味のあるドレッシングを使ったハムと野菜のサラダ・・・。


「・・・まだ私も創業者、・・・タダーノおじさんの味には追いつけないのです、何が違うのかなぁ・・・食材や作り方を変えて研究してるんだけど・・・」


「初代タダーノ、どれだけ美味かったんだよ、これより美味いのか・・・」


「あぁ、俺もガキの頃食ったがあれは別格だ、いまだに忘れられないな・・・貝の入ったリゾットが特に美味かった、俺も近付けようと努力はしたんだが・・・」


「なぁ爺さん、あの店再開する気はねぇのか?、爺さん・・・爺さんの息子が早くに亡くなって閉めちまっただろ、この味を途絶えさせるのは惜しいぜ」


「孫・・・、お前の親父は料理の才能が無かったがお前の兄貴、カカーシィー坊主には伝えてある、絶える事は無いだろうよ、初代に比べたらアレだがあいつの料理も十分美味い」


「まだ聞いてなかったが何で早くにあの店畳んじまったんだ、人気あったんだろ」


「そうだな・・・俺の技術は息子に全て伝えた、そりゃ真剣に教えたさ、これで店は安泰だって思ったがあの野郎、早くに死んじまっただろ、それで・・・息子との思い出があるあの店に居るのが辛かったって事もあってな・・・」


「・・・」


「だが一度は閉めたが、またレストランを再開させようと思ってお前の親父に教えてみたら才能が全く無かった、魚料理が別の何かになっちまった時には驚いたな・・・」


親父はそんなに酷いのかよ!、知らなかったぜ・・・。


「早々に諦めて次はお前の兄貴に教え始めた、そこそこの料理ができるようになったが奴には宿の仕事があってレストランまでは手が回らん、この辺で気力も何もかも尽きちまったんだろうなぁ・・・、もう潮時だって思って再開は諦めた、恐らくお前の兄貴の下の子供達やお前の子供が料理できるようになるまで俺は生きてないだろう、初代タダーノには申し訳ないがな」


「・・・なぁ爺さん、俺がレストラン再開させたいって言ったら・・・教えてくれるか?」


「お前、ハンター辞めちまうのか?」


「あぁ、やりたいことやって、行けるとこまで行った結果が金級のハンターだ、自分でもよくやったと思ってる、だが自分の力に慢心してあの大陸で死にかけた、自分の年齢を自覚・・・ハンターやるにはもう歳だって感じたし命が惜しくなった」


「まだいろんな契約があってすぐには辞められねぇが徐々に仕事を片付けてこの街で落ち着きてぇ、だがハンターしかやってねぇ俺に何ができる・・・って考えた時、料理ならやれるんじゃねぇかって思った、護衛の依頼で野営した時も俺の料理を食った奴等から好評だったからな、どれだけ爺さん達の味に追いつけるかは分からねぇが・・・」


「・・・そうか、だが少し遅かったな、俺は腰を痛めてるし・・・年齢のせいか最近味覚が鈍って来やがった、お前が作った料理、美味いかどうか正しく判断出来んぞ・・・」


「・・・あの、・・・私がおじさんに教えようか?」


「お姉ちゃんが・・・でも、他の仕事忙しいのに」


「・・・この街の私の薬屋をまた再開するつもりなのです!、だからしばらくこの街を行ったり来たりするの、おじさんもまだハンターの仕事あるだろうから落ち着いたら少しずつ教えてあげるのです・・・どう?」


「お前が・・・教えてくれるのか?、だが何でだ、お前には得な事何もねぇと思うが・・・」


「あのレストランは私にとっても大事な場所、続けてくれたら嬉しい・・・それと、おじさんに一つお願いがあるのです、これは取引きなのです」


「取引なんてしなくてもお前は命の恩人だ、大抵の事ならやってやるぜ・・・」


「私の身内に駆け出しのハンターの子がいておじさんと同じ依頼を受けたの・・・あの大陸で片腕をなくして、もう片方の腕も動かなくなっちゃった・・・今はあの家のおじさんが寝てたベッドで治療中なのです・・・でもまだハンターやりたいらしくて・・・」


「俺が面倒見ればいいのか?」


「ハンターの基礎を教えてくれる人を探してたの、ずっと一人でやってた私じゃ参考にならないから・・・ギルドでの振る舞いや注意点とか・・・最初のうちは一緒に依頼を受けて欲しい・・・お願いできないかな、その代わり私のお料理の技術を全部おじさんに教えてあげるのです」


「お姉ちゃんが教えるなら大丈夫だ、俺の孫以外だいたい何とかなる」


「親父・・・どれだけ才能なかったんだよ・・・それに駆け出しハンターがあの依頼受けたのか、俺が受けた時は金級以上が条件って言ってたが」


「うん、金級に上がったばかりの人がパートナーとして連れて行ったらしいのです・・・特に止められなかったって・・・その人はまだ行方不明・・・多分もう・・・」


「俺が失敗したから条件を緩和したのか・・・あいつが言ってた依頼を受けた俺以外の馬鹿ってお前の身内だったのかよ・・・あ、やべぇ!、お前の事、・・・ランサー大陸に白銀の大魔導士が居るって、ここに来る前に情報屋に言っちまった!」


「・・・大丈夫・・・知られても誰も会いに来ないと思うのです」


「それもそうだな、あの魔物どもはやべぇ、騎士団でも全滅するだろ・・・、とにかくすまねぇ、知らなかったんだ、奴には白銀の大魔導士が恐らく幻影っていうハンターで幼女と一緒に住んでたって事を喋った、その時はお前が幻影だって気付いてなかったからな・・・あいつには嘘教えちまったが・・・」


「念の為にその人に忠告しに行こうか、無闇に人に言っちゃダメって・・・それはどこの誰なのです?」


「・・・待て!、怖えよ!、まさかお前そいつ消しに行くんじゃ無いだろうな、一応奴とは友人なんだが!、行くんなら俺も行く」


「じゃぁ早めに行くのです、明日か明後日か・・・、私が知ってる街なら転移するからすぐなのです」


「・・・おぅ」

読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素全くありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1〜月1投稿になる予定です。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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