Side - 15 - 37 - わしのしんのすがたをみせてやろう -(挿絵あり)
(お知らせ)
「隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!」の年表を作りました
今までのお話の流れを整理したい時に読んでみてくださいね
※本編未読の人はネタバレがありますので注意してください
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Side - 15 - 37 - わしのしんのすがたをみせてやろう -
「いちいちご利益がしょぼいのです・・・リィンちゃん、これ本当に神様なのかな?、ちょっと怪しくなってきたのです・・・」
私がリィンちゃんに向かってそんな事を言うと・・・。
『これとは何じゃ、失礼な小娘じゃの、ならどうすれば信じてくれるのじゃ、金か!、もっと金が欲しいのか?』
「・・・いや、いいのです・・・、これ以上絡まれたら面倒だから・・・信じてやるのです・・・」
『いや信じておらぬな、・・・ふむ、なら仕方ない・・・儂の真の姿を見せてやろう、また小便を漏らすでないぞ・・・』
「いや、いいのです」
『遠慮するでない・・・滅多に見られぬのじゃぞ、儂とて真の姿を人間に見せるのは千年ぶりよ・・・フフフ・・・』
・・・いいって言ってるのに自称神様のシロさんはやる気満々なのです、もう私は眠いから・・・あと一眠りしたいのです、邪魔するななのです・・・。
・・・チリン・・・
しゅぱぁぁぁ
「うわまぶしっ」
チリン・・・
鈴の音がしたかと思ったら突然光って・・・、周囲に目が慣れてくると私たちの前には光り輝く自称神様のシロさんが見えました。
・・・でもその姿、真っ白な獣耳と尻尾・・・服も髪も、真っ白、目だけが金色に光って・・・瞳孔は猫のように縦に裂けています、口元には小さな犬歯が覗いて・・・そして何より・・・凄まじい威圧感、静電気みたいに髪や産毛がザワザワして皮膚がビリビリするのです!。
・・・そして本能的な恐怖、「これ」にだけは逆らっちゃいけない・・・人間は「これ」に絶対勝てない、・・・そう思わせてしまう凄味、・・・あぁ・・・本当に神様だったんだぁ、・・・提示して来るご利益は微妙にしょぼいけど・・・。
『・・・今何か失礼なことを考えていたようじゃが、どうだ、これで信じたであろう』
今までは頭の中に直接囁きかけるようなものだったのに、・・・今は・・・魂に直接響くような声、5人が一緒に同じ言葉を発しているような奇妙な感覚、・・・なにこれ超やばいのです!、シロさんは私の目の前で無い胸を張ってドヤ顔だけど・・・。
「・・・悔しいけど、・・・信じたのです・・・」
リィンちゃんも隣で首を縦に振っています、・・・多分言葉が出ないのでしょう、あんなに震えて・・・怖がって、かわいそうなのです・・・。
「き・・・」
リィンちゃんがようやく言葉を発しました。
「き?」
「・・・きゃぁーかわいい!、リゼちゃんこれかわいい!、欲しい!、飼いたい!」
シロさんに抱きついて耳や尻尾をわしゃわしゃと撫でています、いわゆるもふり倒している状態・・・あれ?、リィンちゃん怖くないのです?。
『うぁー、やめるのじゃ!、何でこの姿を見せたのにそんなに馴れ馴れしいんじゃぁ!』
「リィンちゃん、・・・シロさん怖くないの?」
「怖くないよ、なんかすっごく神聖な感じで、・・・私の国の教会に居るみたいな・・・清々しい?、とっても心地いいの」
『そうじゃろう、そうじゃろう、銀髪の小娘と違ってこっちの黒髪の方は見どころがあるいい子じゃ、では近いうちにそこそこの額の金が手に入る金運をつけてやるのじゃ』
「わーい!」
「・・・私と扱いが違うのです!、私も欲しいのです!」
『まぁ、儂をイセカイに連れて行って、向こうで依代を祀ってくれるのなら考えてやらんでもないぞ』
「偉そうなのです、・・・神様のくせに・・・」
『いや、神様だから偉いのじゃがなぁ』
「・・・それで、明日からどうするのです?、・・・一緒にここで寝泊まりするのです?」
『あぁ・・・言い忘れとった!、小娘の家の神棚な!、あそこに今、白い紙が貼ってあるじゃろ、あれを貼られると神棚から顕現できん、剥がしてくれんか』
「お葬式あったから貼ってあるのです、・・・あれもう剥がしていいのかなぁ・・・いつ剥がすんだっけ?、・・・でも来られると鬱陶しいから貼ったままで・・・って、シロさん今日はこの家にどうやって入ったのです?」
『とことん失礼な奴じゃな!、・・・まぁいい・・・この家に入った方法か、・・・普通なら壁を通り抜けるか神棚から顕現するのじゃが、あの紙が貼ってあったら家に入れん、今日は仕方ないから針金を使って玄関の鍵を開けさせてもらったのじゃ!、型が古かったからちょろかったぞ、危ないから早めに交換することをお勧めするのじゃ!』
「・・・それピッキングなのです!、・・・神様が不法侵入するななのです!、・・・ここ田舎でそんなにホイホイ泥棒なんて入らないから・・・あれで十分なのです!」
『まぁお主の家の鍵の事はどうでも良いのじゃ、それで、儂をイセカイに連れて行ってくれるんじゃろ、どんな所かのう、楽しみじゃ』
「まだ連れて行くとは言ってないのです、・・・月が2つあって・・・魔法が発達してるかな・・・」
『月が2つ・・・マホウ?、・・・もしかして、・・・そのイセカイとやらの名はローゼリアと言うのではないかの?』
「え!、シロ様知ってるの!」
『うむ・・・昔、その国から妙な妖術を使う奴がやってきてな、・・・何度か話すうちにそこそこ仲良くなったぞ、そういえば魂の匂いがお主らと似ておったな・・・、向こうの世界ではダイマドウシと呼ばれていると言っておったのじゃ・・・』
「名前・・・分かるのです?」
『何じゃったかのう・・・ここでの呼び名が馴染んでおるから、・・・待て・・・すぐに思い出すのじゃ・・・、確か・・・アベル・セーメインと言っておった』
「・・・建国の大魔導士様・・・なのです・・・」
「日本に来てたんだ・・・」
『おぉ、お主たちも知っておったか、向こうでは有名人だったと自慢しておったからな』
「その人・・・どうなったのです?・・・」
『最近会ってないが・・・生きておるぞ、そうじゃの、・・・少し前にバブルとやらが弾けて、株や不動産で大損したと言って泣いておったが、・・・今は普通のカイシャインという仕事をやっている筈じゃ、昔はこちらでも有名じゃったな、来た当初は安倍晴明という名前を使っておったが今は違う名前を名乗っておるのじゃ』
「・・・陰陽師の人?」
『そうじゃの、奴が使っておった陰陽術とやらは向こうの・・・マホウ?・・・が元になっておるらしいな、それに昔は羽の生えた蜥蜴・・・ワイバーン?、・・・を飼っておってな、随分と変わった生き物じゃったが、それに乗って伏見の山までよく愚痴をこぼしに来ておったのぉ・・・懐かしいのじゃ・・・』
「・・・あの、その人は・・・」
『おっと、話し過ぎたようじゃ、・・・奴はの、昔やらかし過ぎて・・・権力者に目をつけられたり、利用されそうになったりと酷い目に遭ったらしい、今は普通の人間に紛れて永遠に続く人生を楽しんでおるのじゃ、儂が勝手にベラベラ喋ると奴に叱られてしまう、・・・聞きたい事があるのなら奴を探し出して直接聞いてくれぬか・・・』
「そうなのですか・・・」
『それで、いつイセカイに行くのじゃ?、ここまで質問に答えたのじゃ、もちろん連れて行ってくれるのじゃろ?』
「・・・まだはっきり決めてないのですが、・・・あと数日したら・・・またお昼に京都へ遊びに行くのです、・・・そこから戻って2日くらいしたら・・・向こうの世界に帰ろうと思っているのです、・・・自由に行き来できるから頻繁に戻って来るけど・・・」
『そうか・・・、ならお主らがまた京都に来た日の夜、この家に顕現しようかの、魂の匂いは覚えたから来れば分かるのじゃ・・・神棚の紙、忘れずに剥がしておくのじゃぞ、今度家に入れなかったらガムテープとハンマーを使って窓を割って入るからの』
「・・・やめるのです、・・・割ったら通報するのです」
『ではまたの・・・』
そう言ってシロさんは消えるのかと思ってたら玄関から堂々と帰って行ったのです・・・。
白菊さん(シロさん)神様モード
イラストはCHARAT GENESISで作成しました。
https://charat.me/genesis
読んでいただきありがとうございます。
初小説です。
諸事情により恋愛要素全くありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。
趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1〜月1投稿になる予定です。
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