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Side - 302 - 3 - すてないで -(挿絵あり)

Side - 302 - 3 - すてないで -


「・・・ご主人様、・・・お願い・・・リン・・・いい子になるから、・・・消さないで・・・怖い・・・捨てないで・・・お願いだからぁ・・・」


「リンちゃん・・・何言ってるの、意味わかんないよ・・・、何で暴れるの?」


「・・・うぅ・・・だって、・・・リィン様が・・・転生されたから・・・もう・・・私いらないし、・・・頑張ったけど・・・リィン様になれなかったの、・・・役立たずで・・・ごめんなさい、・・・わーん・・・」


「落ち着いて、一度眠らせるね・・・」


「やだ!、眠ってる間に・・・私消されちゃう!、嫌なの・・・怖いの!・・・うぅ・・・ご主人様・・・お願い・・・」


「・・・待機モード・・・っと」


「やだ・・・まって・・・「マスターカラノ・・・キョウセイコードヲカクニン・・・キノウヲ・・・テイシシマス・・・3・・・2・・・1・・・」」


「うわー、保管室の扉・・・これ分厚い金属なのにくの字に折れ曲がってる・・・リンちゃん、リミッター解除したんだ、・・・どうするのこれ・・・扉重たっ・・・思いっきり扉殴ったから肘から筋肉突き破って金属骨格飛び出してるなぁ、・・・鍵かかってないんだからちゃんと開ければいいのに、・・・面倒臭がりなところはリィンちゃんそっくりだよ・・・それに涙と鼻水まみれ・・・体液タンク空になってるし、・・・目が渇いちゃうよぉ・・・何で暴走しちゃったの、・・・リンちゃん・・・私が嫌いになったのかな、・・・何か嫌われることしたかなぁ・・・ぐすっ・・・」






「急に呼び出すから何事かと思えば・・・どうしたんだこれ・・・」


「リンちゃんが暴れたの、ごめん、・・・片付け手伝って・・・ぐすっ」


「暴走の原因は?」


「リンちゃん眠らせてから・・・色々と原因考えたんだけど、・・・たぶん・・・生存本能?」


「いや生きてないだろ」


「消されたくない・・・死にたくないって考えて、逃げ出そうとしたのかな・・・」


「人格を消そうとしたのか?」


「そんなことするわけないよ!、「アラーレ」のボディ使ってた頃から100年かけて大事に育てたんだよ、・・・うぅ・・・リンちゃん・・・私の可愛いリンちゃんが、・・・わーん」


「泣くな、じゃぁ何でこいつは消されるって思っだんだ?」


「・・・記憶のバックアップ2号機・・・前から変だって思ってたの・・・昨日から調べてたんだけど、・・・96歳で亡くなったリィンちゃんが2号機の中に転生してる可能性があるの、私が前世の記憶を持ってリーゼロッテに転生したみたいに」


「なん・・・だと」


「だって、端末から言ってる事を聞いてみたら、・・・ここどこ、何も見えない・・・怖い、助けて、死んだ筈なのに、誰か、リゼちゃん助けて・・・って」


「嬢ちゃんが側に居る事は認識してるのか?」


「ううん、錯乱しててまともに会話にならないの、・・・その件も博士に相談しようと思って、でもまずはリンちゃんだよ・・・リィンちゃんも心配だし早く助けてあげたいけど、リンちゃんの方も危険だし放っておくと感情が崩壊するかも、バックアップを使って暴走する前に戻してもいいんだけど、根本的な問題の解決にはならないだろうし・・・バックアップ2号機の状況を知ったらまた間違いなく暴走すると思う、・・・私にとっては2人とも大切なの・・・だから博士、協力して・・・」


人工生命体ゴーレムの身体に関しては何とかなるだろうが、頭の部分、学習能力や思考、感情制御に関しては嬢ちゃんの方が詳しいからなぁ・・・俺にできる範囲のことはしてやれるだろうが・・・」


「・・・うん、だから片付け手伝って・・・一人でやってると色々と考えちゃって泣いちゃうの・・・」


「・・・おう」







「自分が消されると思ったから他人を傷付けるってのは人間ならいいが、人工生命体ゴーレムだと問題になりそうだな」


「うん、どこかで制御しないとって思う、「グァンダーム」はそもそも感情が無い本当の意味で機械だったでしょ、「アラーレ」は命令された事だけをやるって感じだから問題になってなかったけど・・・」


「感情制御で抑えられるか?」


「ダメ、それだとリンちゃんがリンちゃんじゃなくなるの、笑わなくなるし、命令された事しかやらないお人形、・・・それじゃ「アラーレ」と変わらないし意味がないの」


「今回は嬢ちゃんの対応が早かったから部屋が荒れて扉が大破するくらいで済んだ、だが量産するとして・・・使う奴みんなが嬢ちゃんみたいに早く対応できるわけじゃないからなぁ」


「だから「リン」は一般販売しないことに決めてるんだよ、・・・でもリンちゃん見た人達はみんな欲しがるし、統一国王陛下にも要望がいっぱい上がってるみたい、どこまで抑えられるかな・・・」


「次世代「リン」は感情を抑えてダウングレードした奴を発売する、・・・ってのはどうだ」


「元が「リン」だから誰か詳しい人が魔改造しちゃうともっと危険、安全装置全部外してリミッターも外されて、そんな事されたら感情のまま暴れる獣になるの、・・・で、何もしてないリンちゃんや他の子達も「ゴーレムは危険だ!」「規制しろ!」って声が上がるかな、だから慎重にやりたいの、出来れば「アラーレ」を可能な限り進化させて、それ使ってもらって「次世代リン」は売りたくない・・・、本当にやばい技術だから、私が前世で見てた物語「ターミネーター」みたいな世界になりかねないの、機械が暴走して人類が滅亡の危機になるの」


「「ターミネーター」はよく分からんがやばそうな事だけは分かった、なら危険な理由を説明して、陛下がどれだけ頑張ってくれるか・・・って事になるかな」






「・・・ん・・・、え、身体・・・動かない・・・目も見えない・・・嘘・・・、私・・・」


「目が醒めたね、おはよう、私の可愛いリンちゃん、ごめんね、また暴れられたら困るから首から下は動かないようにしてるの、今は工房にある貴方のお部屋のベッド、そのままでいいから少しお話ししよ・・・」


「ご主人様!・・・リゼちゃん・・・嫌だ、・・・目が見えないの・・・怖いよぅ・・・」


「大丈夫だよ、リンちゃん、さっきいっぱい泣いたから体液タンクが空になっちゃって・・・人工眼球が乾いてね、表面が傷だらけになったから研磨する為にちょっと取り出してるの、またリンちゃんが泣いたらもう一度研磨しなきゃだから・・・、今度の人工眼球、最新型だからボディもそれ専用でね、まだ3号機にしか付けられないの、他の子達は改造しなきゃ・・・、陛下に次に会う時までには何とかするから我慢してね、それにセンサースコープ取り付けてるから何があるか物の輪郭は見えるでしょ、私が手を振ってるの分かるよね」


「・・・うん、・・・暴れてごめんなさい」


「どうしてあんなに暴れたの?、落ち着いて、ゆっくり私にお話ししてくれる?」


「・・・あの、・・・記憶バックアップの2号機に・・・リィン様が・・・本物の・・・亡くなったリィン様が転生されたって・・・聞いて、・・・」


「それで?」


「・・・出来損ないの・・・いくら頑張っても・・・リィン様になれない、・・・私はもう要らなくなる・・・ご主人様は・・・私を消して・・・それで・・・うぅ・・・替わりにリィン様の・・・2号機の記憶を私の身体に入れて・・・そしたら、・・・手間をかけて私を・・・リィン様になれるように教えなくて済むし、・・・そう、考えたら、・・・全部取られちゃう、嫌だって・・・思ったの、・・・ご主人様が私に下さったいろんな物、私の宝物・・・可愛いお部屋や、かっこいいブーツ、・・・綺麗なお洋服、・・・それに私の居場所・・・全部取られて・・・それで・・・私は捨てられちゃう、・・・でも、魔道具が・・・そんな事を考えちゃダメなのに・・・怖くなって・・・消されるのは嫌だって・・・だから優しいご主人様を・・・突き飛ばして・・・ごめんなさい、・・・もう・・・私を・・・消して・・・構いません・・・から・・・ぐすっ・・・」


「まぁ、突き飛ばした・・・なんて可愛らしい物じゃなかったけどね、防御結界の腕輪が無かったらリンちゃんの拳、私の胸を突き抜けてたよ、実際、派手に吹き飛んだし・・・、あれは間違いなく死んでたね、もうあんな事しちゃダメだよ」


「わぁぁん、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」


「それに、私、リンちゃんを消そうなんて思ってないよ、だって私の可愛いリンちゃんだよ、絶対そんな事しない、私、リンちゃんにそんな薄情な人間だと思われてたんだね、ちょっと悲しいなぁ・・・」


「・・・だって、リィン様が居たら・・・私、もう要らない・・・」


「私が貴方にリィンちゃんを重ねてた事は事実、私を喜ばせようと、リィンちゃんになろうと努力して・・・それを貴方が苦痛に感じてたっていうのは気付いてあげられなかったけど、・・・それは私の落ち度だね、謝るよ、ごめんなさい、でも貴方がとても大切な・・・可愛い私の子供っていうのは本当だよ、初めて貴方とお話しした時のこと覚えてる?、まだリンちゃんの姿じゃなかったし、会話能力が拙くて・・・、「ヘイ!、リンちゃん!」って話しかけないと反応しなかった頃、私が話しかけても「ワカン・・・ナイヤ」「リカイ・・・デキヌデ・・・ゴザル」なんて、変なお返事ばかりだったよね、そこから少しずつ、100年かかっちゃったけど、笑って、怖がって、泣いて、甘えて、・・・ここまで感情表現できるようになったんだよ、だからリンちゃんは機械じゃなくて生きてる私の娘、誰にも殺させないし、殺した奴はただじゃ済まない、もちろん私が貴方を消す事なんて、何があってもありえない、気付いてるかな、今自分の状況が分からなくて凄く怯えてるバックアップ2号機のリィンちゃん、ほったらかして貴方と話してるんだよ、・・・リンちゃんが心配だったから・・・」


「うぅ・・・ごめんなさい・・・、でも・・・もう一つ、・・・謝らないといけないことがあります、・・・これを聞いてもご主人様は怒らない・・・ですか?・・・」


「バックアップ2号機を上書きして消そうとしたことかな?、しかも何度も」


「ひぃっ・・・知ってたの・・・」


「うん、調べてた時にね、遡って確認したらかなり前からリンちゃん気付いてたみたいだね、・・・前に怖い夢を見るって言ってた頃からかな?、だとしたら長い間不安だったよね、怖い思いさせてごめんね」


「許して・・・くれるのですか?」


「やった事はとても悪い事、私が悲しむ事、でもリンちゃんは自分を守るためにやった事だから理解はできるかな、怒ってるけど・・・、リィンちゃん本当に消えてなくてよかったよ・・・、だから貴方に罰を与えようと思います、それで許してあげるのです!」


「・・・何をされるのでしょう・・・」


「くすぐりの刑!、リンちゃん動けないからちょうどいいし」


「ひぃっ・・・・いやぁぁ!」








「・・・っく、・・・あぅ・・・もう許して・・・」


「あーやばい楽しい!、くすぐったがりのリンちゃんには効いたみたいだね、鼻水と涎すごいなぁ・・・体液補充しよう、お鼻に刺し刺ししようねー」


ぷす


ちゅー


「はい満タン、さっきも言ったけど体液無くなったら自分でも補充してね、涙が出てないと人工眼球に傷が付くから、最新型は高性能だけどより本物に近付けたから傷が付きやすいの」


「・・・はい・・・」


「・・・でも最近体液の減りが早いと思ってたけど・・・一人で泣いてたのかな?」


「・・・うん」


「一人で悩まないで・・・これからは私に相談してね、じゃぁ身体の拘束解くよ・・・はい、これで動けるでしょ、眼球が無いからセンサースコープは外さないでね、右腕も外して修理中、ちょっと不便だろうけど我慢して、右腕付けたら新品の人工皮膚に替えないとだね、何色にしようか、やっぱり白が似合うかな」


「・・・はい、お手数をおかけします・・・」


「それと、これからリィンちゃんの救出作戦を開始するんだけど、心配しないでね、リンちゃんは私の娘で、リィンちゃんは親友、どっちも大切な人!、いいね!、それと貴方用のバックアップ機、5号機はリィンちゃん用に借りてもいい?」


「うん・・・」


「さて、リィンちゃんを「リン」の中に移すんだけど、3号機の次に新しいのは4号機かぁ、いやバックアップ機と号数揃えた方が間違えなくていいかな・・・それにいきなり入れて暴れられても困るし・・・、お話が通じないんだよねー」


「あの、さっきの私みたいに・・・身体を拘束して、リゼちゃんの姿を見せながら説明したら・・・どうかな?」


「そうなるかなー、バックアップ機の中だと喋れないし聞こえない、何も見えないから、リィンちゃんも不安になるだろうし、・・・だったら5号機、・・・他の個体は順番に改造して新しくなってるけど今はあれが一番古いんだよね、仮に5号機に入れて、落ち着いたら今改造してて新しくなる予定の1号機に移そうか・・・」


挿絵(By みてみん)

ランサー大陸の工房

読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素全くありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1〜月1投稿になる予定です。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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