Side - 302 - 1 - りんちゃん -(挿絵あり)
Side - 302 - 1 - りんちゃん -
・・・ピチャン・・・チャプッ・・・ピチャッ・・・
「さぁ、リィンちゃん、・・・いや、リンちゃん、身体の隅々まで洗いましょうねー、キレイキレイしましょうねー、しばらくお風呂に入れてなかったから腋やお股の間も汚れているのです、・・・身体を拭いたらお着替えをしましょう、・・・うふふ、・・・可愛いなぁ・・・」
・・・チャプ・・・
「・・・これでよし、・・・ふふっ・・・私の魔導回路は完璧・・・、身体は15歳の時のリィンちゃんを忠実に再現、・・・新開発した人工皮膚は強化筋肉にちゃんと馴染むかなぁ、リィンちゃんが好きだったピチピチの、・・・身体にフィットするボディスーツだよー」
「・・・」
「・・・魔力注入・・・魔法陣を展開、・・・さぁお着替えの時間だよ、用意はいいかなぁ・・・私のリンちゃん・・・」
「何やってんだ嬢ちゃん、側から見たら危ない奴に見えるぞ・・・」
「ひうっ!、・・・博士ぇ!、急に後ろから声かけないでよ!、びっくりしたのです!、ちょっと漏れちゃったのです!、それに私のリンちゃんは今全裸なのです!、人工筋肉が剥き出しなのです!、博士は見ちゃダメなのです!」
「・・・俺は人工生命体に欲情する趣味は持ってないが」
「・・・うぅ・・・リィンちゃんは、・・・私のリンちゃんは生きてるのです!」
「はいはい、分かったよ・・・、嬢ちゃんも今度王城から呼ばれてるだろ、陛下の即位式、あれ出るのか?」
「・・・あぁ、魔法陣で送られて来た招待状はもらったのです、気付かなかったフリをして行かないつもりだったんだけど、・・・何かあったの?」
「ローゼリア王国最高戦力の二人が出席しないのは流石にマズいだろ、ギャラン・ローゼリア国王陛下も参列されるし、エルヴィス統一国王陛下にも怒られるんじゃないのか?、俺は出席を条件に多額の研究費用を毟り取るつもりだが、・・・嬢ちゃんを連れて来れば倍出すって言われたから誘いに来た、ちょっとだけでも顔を出すつもりはないか?」
「博士ぇ!、酷いのです!、お金に目が眩んで可愛い弟子を売るのですか!」
「・・・いや、嬢ちゃんも何か要求すりゃいいだろ、ローゼリアは繁栄してるし、今度の王様は気前が良さそうだ、金ならPON!ってくれるぞ」
「お金はいっぱいあるからいらないのです・・・、あえて要求できるなら、もうローゼリアは私と関わらないでほしい?」
「そりゃ却下されるだろうな、この前会ったが、そこの先々々々・・・代の女王陛下によく似てる大人しそうで可愛らしいお嬢ちゃんだったぞ、あまり冷たくしてやるな、自分の晴れ舞台に白銀の大魔導士様・・・嬢ちゃんが欠席なんてしたら泣くかもしれんぞ・・・」
「今度の王様は、・・・女王様だったのです?」
「それすら知らなかったのか?、もうちょっと世界の事に興味を持て、情報に疎けりゃ迫って来る危険を回避できないじゃないか、俺も近くに居る訳じゃないからすぐに助けてやれんだろうし」
「・・・分かったのです・・・博士の顔を立てて、・・・ちょっとだけ参加してやるのです、・・・泣かれたら・・・可哀想だし」
「・・・久しぶりにそいつを見たが、年々凄くなっていくな、・・・もう人工生命体には見えんぞ」
「ゴーレムじゃないのです!、私の親友、リィンちゃんMarkⅡ、通称リンちゃんなのです!、ただ・・・外見は完成に近いのですが、・・・感情や行動はまだリィンちゃんにはなってないのです・・・」
「いやちゃんと冗談も言うし笑うじゃないか、下手な人間より感情豊かに見えるんだがなぁ」
「この構想を思い付いた時には39歳より後のリィンちゃんにしか会えなかったのです、それで私が渡した魔核に記憶や人格を少しずつコピーさせてもらったから行動や思考がおばさん臭いのです、この前見た時なんてソファに寝転がってお尻を掻いてたのです!、もっと若々しい方がいいのです!」
「はいはい頑張ってくれ、・・・じゃぁ当日迎えに来るから一緒に王城行くぞ、忘れないようにな、魔法騎士団の制服やローブはまだ持ってるのか」
「持ってるのです、型は古いかもだけど、・・・リンちゃんの改修が終わったらまたそっちの研究室に遊びに行くのです・・・」
「制服は新品を送ってもらうように言っておく、・・・じゃぁまたな」
「うぅ・・・、博士がびっくりさせたせいで少し・・・かなり漏れちゃったじゃないですかぁ、・・・下着を替えて来ないと気持ち悪いのです、・・・ちょっと待っててね、私のリンちゃん・・・」
「・・・」
「さて、邪魔も居なくなったし、人工皮膚も着せて定着させた・・・っと、それではいよいよ起動しましょうか」
ビクン!、ビクッ!、ビクン!
「起動の時の動作は改善の余地がありますね、なりたてのゾンビみたいで気持ち悪いのです・・・」
「システム・・・キドウ・・・マスターヲ・・・ニンシキ・・・マモン・・・イッチ・・・リーゼロッテ・シェルダン・・・サマ・・・」
「バックアップからリィンちゃんの人格をロード・・・、っと」
「ロード・・・カンリョウ・・・サイキドウ・・・シマス」
ビクン!、ビクッ!、ビクン!
「わーん、なんでこんなに起動の時にビクン!ってなるのかなぁ・・・」
「・・・ん・・・おはよう、リゼちゃん・・・」
「おはよう、リンちゃん、お目覚めだね、気分はどう?」
「お洋服が変わってる?・・・あれ、脱げないや・・・、ピチピチのスーツ、肌触りもいいし、かっこいいな、・・・気分はいいよ、お休みの日に朝寝坊しちゃった感じ?」
「よかった、改修問題なし・・・だね!、おはようのキスをしよう、魔力を注入するよ」
「うん・・・、ちゅっ・・・ん・・・あむ・・・んぅ・・・おいしい、・・・私の身体・・・どこか変わったの?」
「うん、人工皮膚を新しくしたよ、今までのは魔獣の攻撃で凄いのもらったら傷付いたり破れたりしてたけど、今度のは耐刃、耐火、耐魔法に優れた素材を使ってるの、色は人間そっくりだった前のやつみたいに出来なかったから、リンちゃんが好きなボディースーツっぽい感じにしたんだぁ、かっこいいでしょ、顔だけは違和感あったから前のままだよ、だから攻撃を受けたら腕で顔をガードしてね。
それに髪の毛も前のは燃えちゃう素材だったけど、今度のはブラック・ドラゴンの髭を細く裂いて10日もかけて私が磨いてトリートメントしたの!、サラサラだし艶々のキューティクルも再現してるし、絶対に燃えないよ」
「ありがとう!、リゼちゃん!、大好き!」
「どういたしまして、立ってみて、動作確認しよう、違和感はない?」
「うん、身体が軽いな・・・、それに目も前よりよく見えるようになってる?」
「気がついた?、私が開発した人工眼球のレンズに望遠機能を付けたの、遠くまでよく見えるよ、あと、ブーツは私のとお揃いね、ローブもお揃いだよ、かっこいいでしょ」
「わぁ!、凄い!、ブーツ新しいやつだ!」
「少し傷んでたからね、シルベスター叔父様に作り方習ったから私が手作りしてみたの、さて、調子も良さそうだし、本物のリィンちゃんのところに行ってお披露目しよう!、今回行くのはリィンちゃんがちょうど45歳になった日に時空転移だよ、お誕生日プレゼントも用意しているのです!、喜ぶかなぁ」
「うん、追加で記憶の魔核、更新しなきゃだね、154日分・・・だっけ?」
「そうだね、じゃぁ手袋と・・・ブーツを履いて・・・あ、履かせてあげるね、足を出して、・・・人工皮膚、肌触りいいなぁ、サラサラだぁ・・・ローブも・・・うん、よく似合ってる」
「ひゃぁ!、リゼちゃん、太ももを撫でないで!、くすぐったいよぅ」
「ふふふ、ごめんごめん、触り心地いいなぁ、本人にこれやったら殴られるんだよね、・・・じゃぁ行こうか、リンちゃん!」
「うん、リゼちゃん!」
「・・・リンちゃん・・・、凄いえっちな格好してるんだけど、それ無理矢理リゼちゃんに着せられてない?、嫌なら言っていいんだよ・・・」
「やだなぁリィンちゃん!、そのボディースーツ、昔リィンちゃんがかっこいいって着て自慢してた奴を再現したんだけど・・・」
「嘘、・・・私こんな痴女みたいな格好してたっけ?」
「してたよ・・・」
「リィン様!、どうですか!、新しくなったリン、可愛いですか?、ほらほら!ご主人様とお揃いのローブ!」
「・・・うん、可愛いよ・・・」
「でも凄いなぁ、本当に生きてるみたい、最初に会った時はカタコトだったよね、「ハジメマチ・・・テ、 ワタ・・・ワタシハ・・リンデ・・・ゴザル」とか変な発音だったし、・・・あ、身体の方もえっちな服だけど柔らかいな・・・」
プニ・・・
「ひぅっ!、ふひゃははは・・・リィン様!、待って、くすぐったいのです!、つつかないでください」
「え、・・・くすぐったいの?」
「リィンちゃん、当然なのです、リンちゃんは機械だけど生体部分は生きてる人と同じに作ってあるからくすぐると悶えるよ、特にこの3号機は敏感なの、それにこれは服じゃなくて皮膚だから脱げないよ」
「・・・え、待って、3号機?」
「そうだよ、人間で言う魂の部分は私の研究施設にあって、もちろんバックアップも取ってるし、この身体が壊れても私が何体でも作れるから何度でも復活するのです!、ちなみに一番最初にこの子が入ってたボディはもっと凄い機能を付けて大改造中なの!、で、今うちには稼働できる身体が5体あるかな、そのうち空を飛ぶかもね」
「やめてー、勝手に人を飛ばさないでよ!、って・・・今なんて言ったの?、私が5人もいるの?、このリンちゃんだけじゃなくて?」
「うん、魂を分けたら独自に進化するからリィンちゃんが増殖するね」
「増殖って・・・人を虫みたいに言わないでよ・・・でもいいな、・・・それじゃリンちゃんは不老不死じゃん」
「でも元はリィンちゃんだからリィンちゃんの子供?、・・・じゃないな・・・分裂体?みたいな感じかな」
「だから人を虫みたいに・・・ってもういいわ、なんかややこしくて頭痛くなってきたよ」
「でもこの前バックアップの2番目を調べてたら同じ筈なのにちょっと変わってるんだよね、話しかけたら普通に喋るし・・・あ、口が無いから文字が表示されるのね、なんかその子だけ変なの、また今度ゆっくり調べる予定なんだぁ」
「まぁ、やり過ぎて国が滅びる事がなければ好きにしたらいいよ」
「流石に私もそんなやばい事はしないって、あ、もうこんな時間だ、お誕生会のケーキ美味しかったぁ・・・また遊びに来るねリィンちゃん!」
「うん、お誕生日のプレゼントありがとう、大事にするね、おやすみ・・・」
・・・ピッ・・・、(バックアップ2号機・・・異常を検知、・・・ログを記録します)
「クライヨ・・・ナンデ・・・ナニモミエ・・・イ・・・コワイ・・・ケテ・・・オカアサマ・・・イヤダ・・・チャン・・・オネガイ・・・タス・・・」
リンさん=メカリィンさん3号機(Side-302Ver)
リンさん=メカリィンさん3号機(コート+ブーツ+手袋)
リンさん=メカリィンさん3号機(待機モード1)
リンさん=メカリィンさん3号機(待機モード2)
読んでいただきありがとうございます。
初小説です。
諸事情により恋愛要素全くありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。
趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1〜月1投稿になる予定です。
面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。
※イラストはCHARAT GENESISで作成しました。
https://charat.me/genesis