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Side - 184 - 7 - けんじゃのおじさんのたいざいにっき いち -(挿絵あり)

※2024年11月1日 内容を加筆修正しました。

Side - 184 - 7 - けんじゃのおじさんのたいざいにっき いち -



俺の名前はベネット・ブライアス 39歳独身だ。


あれから15日ほど経った、折れた足の調子もいい感じだな。


ようやく剣を杖にして歩き回れるようになったぞ、骨折にしては回復が早いような気がするが・・・どうやら奴が魔力を患部に流して治療してくれているようだ。


奴ってのはあのガキの事だ・・・・一つ屋根の下に住んでるのに相変わらず意思の疎通ができねぇ!、外見からきつい性格だと思ったがありゃとんでもねぇ人見知りだ、俺の顔がそんなに恐ろしいのかまだ酷く怯えられてる。


だが感謝してる、奴が居なけりゃ今頃俺は魔物の腹の中・・・いやもうクソになって出ちまってるだろう、今考えてもあの魔物どもはとんでもねぇ・・・。


それに飯もうめぇ、毎日3食、俺が最初に飯を食った部屋に行くと食事が用意されてやがる、まぁ奴はいつも扉の隙間から俺が飯食ってるところをじっと見てるんだが・・・・、流石にもう怖かねぇぜ。


夜になると毎日俺の傷の手当てをしてくれる、あんなにビビってんのに手が震えながら俺の布帯を替えて背中も拭いてくれるんだ、どこから持って来たのか男物の下着も用意してくれた。


なんだよ俺に気があんのかって最初は思ったがどうやら違うようだ、奴の考えてる事は本当に分からねぇぜ畜生!。


俺が蹴破った風呂の扉はそのままだ、怪我が治ったら修理してやろうと思って少し見てみたが、なんだこりゃ、見たこともねぇ材質だ、俺の手に負えるかどうか分かんねぇぞ、それに奴が時々風呂の前で壊れた扉を悲しそうに見てやがる、心が痛ぇ・・・。


意思の疎通はできねぇがいくつか分かった事はあった。


まずは奴の行動パターンだ、寝てる部屋の窓から見たり、家の外のベンチに座って眺めてたらなんとなく分かった。


俺が起きる頃にはもう起きてやがるから俺より早起きだ、朝飯の用意をして俺が飯を食ってんのを扉の隙間から見た後、外に出て畑の手入れや収穫、花の世話をしてから庭の奥の方に歩いて行ってる、散歩か?。


しばらくすると戻ってきて今度は庭の逆方向に歩いていく、何やってんだろうな。


ちょうど昼前に家に戻って来て俺の昼飯を作ってから自分の分を食って、俺が食ってるのを扉の隙間から見た後またどこかに出かける、今度はあのエロい・・・いや妙な服から着替えて黒のスカート、黒のブラウスに魔法使いのローブって格好でだ。


なんだ普通の服持ってたのかよ、って最初見た時思ったぞ、じゃぁあのエロい服は奴の趣味か?・・・。


夕方前になるとまた戻って来る、でかい荷物抱えてる時もあるし手ぶらの時もある、いつ帰って来たのか分かんねぇ時もあるな。


またあのエロい・・・いや変な服に着替えて夕食の用意だ、俺の分の晩飯ができたら扉の隙間から手招きする、朝飯も昼飯の時も同じ事するんだが絶対に俺と一緒に飯は食わねぇな、そんなに嫌われてんのかなって凹むぜ。


夜には俺の部屋・・・正確には奴の部屋だが・・・に治療用の薬や布帯、水に溶かした薬草なんかを抱えてやってくる、最初の頃は何しに来たのか分からなかったぜ、で、持ってるもの見て察した、・・・ここじゃあ察するっていうのは重要だ!、「治療してくれるのか?」って聞いたら頷いたから多分そうだろう。


俺の治療が終わったら飯を食う部屋で夕食の後片付けと明日の飯の準備をしてる、その後風呂に入って、いつも鍵がかかってる俺が寝てるところの正面の部屋で遅くまで何かゴソゴソやってやがる、何やってんだろうな、あそこはまだ俺は入ったことがねぇ。


この時間になると俺は寝てるから分からねぇな、治療の最後に飲まされる薬に眠くなるやつが入ってるようだ、あんな事があったってぇのによく眠れるし体調もすごく良い。


最初は警戒して、「その眠くなる奴ぁ何だ!」って聞いたんだが、俺が警戒してると分かったのか安心させるために先に自分で飲みやがった、どうやら医者としても優秀みてぇだ、患者の扱いが手慣れてやがる。


まぁ、怪我が治って動けるようになるまでの辛抱だ、って思ってされるがままになってたが意外と快適だ、3食昼寝付きって俺は何様だよって感じだな。


奴にも、「すまねぇ毎日よくしてくれて感謝する、今は何もなくて礼ができねぇがとりあえす怪我が治るまで世話になるがいいか?」って言ったら頷いてたしな・・・。


次は奴の素性だ。


俺の部屋・・・・いや奴の寝室だな・・・には奴の服が置いてあって、俺が寝てる時に・・・まぁ寝たフリだが・・・箪笥の中に入ってるやつを取りに来て逃げるように出ていきやがる、あの魔法使いみたいな服も入ってる。


別の部屋で着替え終わるとまたこっちの部屋に来て箪笥に入れる、俺がこの部屋に居候してるからそうやってるんだろう。


・・・それなら俺が初めて奴を失禁させた時、俺はベッドで爆睡してたが風呂から出た奴が全裸でこの部屋まで服を取りに来た可能性があるな・・・・いや考えるのはよそう。


ある日、奴の素性が何か分かるかと思って箪笥の中の服を漁った事がある、・・・べ!・・・別にいやらしい気持ちはこれっぽっちもねぇぞ!、俺の好みはガキじゃなくて巨乳熟女だ!、ちなみにその服は甘い柑橘系のすげぇいい匂いがしたぜ・・・。


話が逸れたな、漁ってたらローブのポケットの中にハンターの身分証を見つけた、あんな弱っちいガキがハンターなんて何の冗談だと思ったが・・・。


俺は驚愕したぜ!、あんなに驚いたのは転移装置でランサー大陸の基地に来た時、目の前にでかいオーガが居やがった時以来だ!。


なんて書いてたと思う?。


「リーゼロッテ・シェルダン、ローゼリア王国、王都東ハンターギルド所属、ハンターランク白金、白金ハンター名、幻影」


身分証はもう一枚あった。


「リゼ・フェルド、ローゼリア王国、王都東ハンターギルド所属、ハンターランク鉄」


1枚目は身分証の造りのヤバさから本物だと分かったが、2枚目は偽造くせぇ匂いがプンプンしたな、ギルドの職員くらいなら騙されそうだが俺の目は誤魔化せねぇぞ。


だが問題は書いてる内容だ!、なんだよハンターランク白金って、金級の俺でさえまだ会った事が無ぇ!、あいつらとんでもねぇ化け物揃いだって噂だ、しかも幻影って呼ばれてるハンターだと・・・。


噂だけは聞いた事がある、100年以上前にローゼリア王国で活動してたハンターだ、性別も素性も不明、誰も顔を知らねぇしギルドとのやり取りも仲介を介して絶対に姿を見せなかったらしい、正体を知った奴を片っ端から消していったって噂もある。


魔物専門のハンターで、討伐依頼対象はどれも綺麗に首が落とされてやがったから最初の頃は「首狩り」って異名で呼ばれてたらしいな。


そんなヤバい奴がここに居るのか?、だがもうとっくに寿命だよな、いや魔力量が多かったら生きてる可能性もあるのか・・・。


あのガキとの関係はなんだろうな・・・、おい!ちょっと待て!、幻影の名前、リーゼロッテ・シェルダンだと・・・リーゼロッテって名前はどこかで聞いた覚えはあるが・・・くそっ、思い出せねぇ・・・それよりも俺の街の領主の名前がシェルダンだ!、この間王都に護衛して連れてってやったガキもシェルダンのお嬢さんだぞ。


俺は想像力を働かせた、そう、想像力は大事だな、俺はこれでいくつもの修羅場を潜って生き抜いて来たんだ。


おそらくここは魔の森の中だろう、白金級のハンターならちょっと強い程度の魔物なんざ敵じゃねぇ、まぁ魔の森の中に家建てて住もうなんて狂った奴とは関わり合いになりたくねぇがな。


そんで、人目を避けるために魔の森に住んでたリーゼロッテとやらはある日、孤児を拾った、いや・・・人を見て怯えたり怪我してやがったから両親に虐待された可哀想な女の子かな・・・そう、奴の事だ!。


どこで拾ったかはわからねぇ、依頼中か、ローゼリアの街のどこかか・・・、とにかく拾ったんだ!、そのガキを哀れに思ったリーゼロッテは保護して育てる、まだこの家は新しいからガキを保護してから奴のために建てたんだろう・・・泣けるぜ!。


リーゼロッテは貴族のくせにハンターをやってる、何故だ?、そうだ!、家族に冷たくされた、義母や義妹に嫌がらせされたり、政略結婚で豚みてぇなエロ貴族に嫁がされそうになったりした!、それで家を出て自分の力だけで白金級のハンターにまで成り上がったんだろ!、そうに違げぇねえ!。


で、自分と同じような可哀想な境遇だったあのガキに同情した!、リーゼロッテが公に姿を見せねぇのは素性がバレて家に連れ戻されるから・・・全部説明がついたな完璧だぜ畜生!、姪が読んでる小説にもよく出てくるような話だ、こう見えて俺は詳しいんだ!。


で、何故リーゼロッテは今居ねぇんだ?、老衰で死んだことにしてやろう!、一人になった奴は森の中で魔物に怯え・・・てはねぇな・・・結界でも張ってあるのか?、そうだ、リーゼロッテが死んだことでもうすぐ結界が壊れる、そしたら魔物が襲って来やがるからそれに怯えて、だが怯えても無駄だからやがて終わりが来るその時まで今を精一杯生きるために健気に毎日を暮らしてた!、マジかよ!、なんて可哀想な奴なんだ!。


奴の服を漁ってカードを見つけた日の夜、俺の治療をしてる奴に向かって聞いた。


「リーゼロッテ・シェルダンはどこに居る?」


奴はすげぇ驚いた顔をした後、自分のぺったんこな胸を指差した。


・・・くそう!、そういうことかよ!、大事に育ててくれたリーゼロッテは死んだが今でも自分の心の中に居るってんだな!、くっ!、涙が出て来たぜ畜生!。


さて、奴の素性について熱く語っちまったが、次はこの場所が何処かだ。


太陽の位置から察して方角はなんとなく分かった、星の位置はランサー大陸に着いてから確認しようと思ってたんだが魔物に襲われたからまだ調べてねぇ、だがここがエテルナ大陸と違うって事は分かった、多分ランサー大陸で間違い無ぇようだ。


庭に出て、まだ遠くまで歩けねぇがその辺を歩いてみた、よく手入れされた庭の向こう、森があるっぽいが奥は霧みたいなやつが漂っててよく分からねぇな、もうちっと歩けるようになったら向こうの端まで歩いて見るつもりだ。


だがおそらく結界の魔道具があるんじゃないかと俺は見てる、毎日奴が庭の向こうまで行ってるのはいつ壊れるか分からねぇ結界が心配なんだろうな・・・。


俺の兄貴の家族や親父は心配・・・はまだしてねぇか・・・何日も依頼で家を空けるのは珍しくねぇからな、それにしても俺はどうやって王国に戻りゃぁいいんだ・・・。


結界を出て森や海を渡ってエテルナ大陸に戻るのは骨だ、ほとんど不可能だろう、あの魔物どもを避けながら船作るのかよ!、冗談じゃねぇぜ、だとしたらリーゼロッテ・・・「幻影」が他の大陸に行くのに移動に使ってた移動装置か何かがあるかもしれねぇな、もうそれに賭けるしかねぇ、しかも結界が壊れるまでになんとかしねぇと・・・ダメだ、やる事が・・・やる事が多いぞ!。


ベッドに寝転がってそんなことを考えてると、隣の風呂に奴が入ったようだ、だが待て、何か苦しんでないか?、泣き声がするな・・・もしかしてリーゼロッテのことを思い出して泣いてるのか?。


「うっく・・・・うぅ・・・・んっ・・・」


俺が行っても怖がらせるだけだし、どうすりゃいいんだよ!。


「・・・やあぁぁ!」


奴にしては珍しくデカい声だ!、只事じゃねぇ、行くか!。


「おい!、どうした!、大丈夫か?」


部屋の外に出て風呂の中に踏み込んだ、ちなみに俺が蹴破ったドアはまだ壊れて廊下に転がってる、今俺の目の前には奴が居る。


・・・奴は浴槽を背にして床に全裸で座ってた・・・両足を広げ、右手の指2本を口に咥えてるな、左手は股間の割れ目、蕩けたみたいな表情で涙と鼻水と涎を流してやがる、ヤバいぞすげぇ色っぽいな!、銀髪が少しだけ顔にかかってんのもめっちゃエロい!。


どうやら一人で致してる最中だったようだ、ガキのくせして盛るなよエロすぎるだろう!、あのエロい服といい俺の中で奴はもうド変態の痴女確定だ!。


「・・・んっ・・・・うぁ・・・・・?」


俺は断じて幼女に欲情する趣味はないが思わずガン見してたようだ・・・・。


「ひぃ・・・・・」


奴は身体を隠して蹲った、プルプル震えてやがる、そりゃ恥ずかしいよな耳が真っ赤だ、いや俺も確かに悪かった、・・・おっと、左腕と左足、背中にもすげぇ傷があるのな・・・・可哀想に。


「すまねぇ・・・、邪魔したようだ、俺は何も見てねぇ、もう寝るから気にしないで続けてくれ」


俺は軽く挨拶をして部屋に戻って寝る事にした、風呂ではまだ奴が、「えぐえぐ」泣いてやがったが無視して寝た。


・・・さっきまで悩んでたのがバカみてぇだな・・・。


窓の外・・・庭に置いてある魔導灯が幻想的な景色を作ってるのを横目で見ながら俺は呟いた。


「さぁて、俺はいつ王国に帰れるんだろうなぁ・・・・」



挿絵(By みてみん)

森のログハウス

読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素全くありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1〜月1投稿になる予定です。

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