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Side - 16 - 73 - ぜふぃりすさんのたからもの -

Side - 16 - 73 - ぜふぃりすさんのたからもの -


「ますたぁ、あれは何なのだ?、とてもいい匂いがするぞ!」


「私がお昼によく食べてる肉串の屋台だよ(ぼそっ)」


とてとて・・・


「わぁぁ・・・美味しそうなのだぁ、じゅるり」


「はいはい、買ってあげるからそこのベンチに座って待っててね(ひそっ)」


ささっ・・・(こんにちは)


私は持っていた会話カードをおじさんに見せた。


「やぁ、カリンちゃんいらっしゃい!、いつものやつでいいのかい?」


こくっ・・・


かきかき・・・ささっ・・・(おじさん、いつもは2本だけど今日は4本お願いします)


「4本?・・・あっちに居る可愛いお嬢ちゃんは見ない顔だな、お友達かい?」


こくこく


「そうか、お友達か、それじゃぁ追加の2本はおじさんからのサービスだ」


ささっ・・・(ありがとうございます!)


「お礼なんていいよ、カリンちゃんはうちの常連さんだからね」



私の名前はカリーン・チッパイ、このマキシマの街で新米のハンターをしている。


今私と人間に化けたゼフィリスちゃんはマキシマの街の中を歩いている、もちろんゼフィリスちゃんの角は消しているし私の翼もローブで隠してるから街の人たちには人間に見えているだろう・・・2人とも魔物だけどね。




・・・話は谷底に落ちて死んでいる炎龍を見つけた夜に遡る、角が消せなくて街に入れないと小さな子供みたいに泣き出した彼を慰め、夜のうちに魔女様の屋敷に向かった。


夜が明けるのを待ってユッキィさんが庭に現れたところで声をかける、魔女様に会わせて貰ってゼフィリスちゃんの事を相談しようと思ったのだ。


まだ泣いている全裸のゼフィリスちゃんを紹介して角の事を相談したらユッキィさんがとても驚いていた、特に黒龍という言葉に激しく反応している。


「昔・・・黒龍のブレスで焼かれた事があったのだ・・・もしかして私の目の前に居る奴がそうじゃないかと思ってな、その黒龍の額には私が付けた大きな傷がある筈だからちょっと見せて貰えないかな?」


ごごごごご・・・


そう言ってゼフィリスちゃんを見つめるユッキィさんの目が怖い、殺気まで出てるし!。


「うりゅ・・・我は傷なんて無いしずっと巣に引き篭っていたから街の近くには殆ど降りないぞ」


ばぁっ!


ゼフィリスちゃんが龍の姿に戻ってユッキィさんの前に頭を垂れた・・・確かに傷なんて無い。


「それなら問題ない、人違い・・・いや龍違いだったようだ、そのクソ龍には恨みがあってな、次に会ったら必ず殺すと心に決めていたのだ(ニコッ)」


「ひぃ・・・こ・・・この人間怖いのだぁ!」


本当に今日のユッキィさんは目が笑ってないし怖い、もしゼフィリスちゃんがその当事者?だったらと思うと・・・背中に嫌な汗が流れた・・・。


「だが額に傷がある黒龍は知っているのだ、あいつはこの辺に住む四つの黒龍のうちの一つでな、一番若いのに生意気で性格が悪いから我は大嫌いなのだ!、もし目障りなら我が跡形も無く消してやるぞ」


「え、同じ黒龍だよね、ゼフィリスちゃん大丈夫なの?、危ない事はして欲しくないなぁ」


「大丈夫だぞ!、奴は四黒龍の中で最弱なのだ!、簡単にプチってできるのだ!」


「・・・最弱の奴に私は瀕死の傷を負わされたのか、黒龍やばいな・・・戦い方を考えないと次は負けるかもしれない」





さわさわ・・・


「ふむ・・・人間の姿になる事で膨大な魔力を使っているからおそらく魔力が足りないのだろうな、眷属になったのだからカリンの魔力を分けてやればいいだろう」


再び人の姿になったゼフィリスちゃんの角を撫でながらユッキィさんが言った。


「魔力を分ける・・・ってどうすればいいのだろう?」


「吸血族なら血を分け与えてやればいいのでは?、私もそこまで詳しくないぞ」


「ゼフィリスちゃん、私に噛み付いて血を吸ってみる?」


フルフル・・・


「い・・・嫌なのだぁ!、ますたぁに噛み付いたら我が痛くなるのだ!」


あ・・・確かに私を傷付けたら・・・。


「じゃぁこうしよう、ちょっと待っててね」


かぷっ・・・


ちゅぅぅぅ・・・


私は袖を捲り自分の腕に牙を立てる、そして溢れる血を口に含んだ。


がしっ


「ますたぁ、何で我の顔を掴むのだ?」


戸惑うゼフィリスちゃんの艶やかな唇に私の唇を重ねた・・・凄く柔らかくてぷにぷにだ!。


ちゅぅぅぅ・・・


「むぐうぅぅぅ!」


じたばた・・・


ちゅぅぅぅ・・・


ぅぅぅ・・・


「ぷはぁ!・・・ますたぁいきなり何をするのだぁ!、息ができなくて死ぬかと思ったぞ!」


「私の血をゼフィリスちゃんの口から流し込んだけど、身体に変化は無いかな?」


「え・・・そういえば身体が熱いのだ!、ふぉぉぉぉぉぉっ!」


「ゼフィリスちゃん?」


ぱぁっ!


ふしゅぅぅ・・・


「力が漲ってきたのだぁ!」


全裸で庭を走り出したゼフィリスちゃんの身体から黒い魔力が煙みたいに溢れてる・・・本当に大丈夫なのか不安になってきた。


「はぁっ・・・はぁっ・・・角も楽に消せるようになったのだ!、ますたぁありがとうなのだぁ!」


走り回ったからなのか身体から魔力は出なくなったが目がキラッキラだ。


「黒龍、しかもアンデッド化した奴が森に住んでるのは大問題だ、カリンと・・・ゼフィリスだったか・・・そいつを連れて明日の昼に領主のところに来れないか?、経緯を話して相談に乗ってもらおう」


「え・・・でも大騒ぎになるんじゃ・・・」


吸血族になった私とアンデッド黒龍・・・ペトラさんの話だとどちらか片方が出て来ただけでこの大陸中に非常事態宣言が出される大厄災だって言ってたような・・・。


「大丈夫だぞ、マキシマの領主は私の友人だし心も広い、隠蔽工作も上手いしな」


「隠蔽するんだ・・・」


それからユッキィさんは全裸のゼフィリスちゃんに服を貸してくれると言って地下のお部屋に通された、もう外は明るいから間違って街の住民に目撃されたら大惨事だ。


「わぁぁ!、明るくて白いお部屋綺麗なのだぁ!、ますたぁここは何なのだ?」


キラッキラになった目を更に輝かせてゼフィリスちゃんが興味深そうに部屋の中を歩き回っている、確かに私もここに始めて来た時は驚いたし。


「これもミシェルの服だが大きさは問題ないだろう」


隣の部屋からユッキィさんが服を抱えて出てきた、可愛いワンピースと靴だ、もう使わないからしばらく好きに使っていいと言ってくれた・・・だが。


「また借金・・・いや、借りが増えたなぁ・・・」


「ますたぁ、しゃっきん?はダメなのだ、我と遊べなくなる」


ゼフィリスちゃんが心配そうに言った、思わず声に出ちゃってたよ。


「何度も言ってるが借金の事は気にするな、利子は取らないし返せる時に返してくれればいいぞ(ニコッ)」


「いや、炎龍の素材を売ればある程度は返せるし」


そう、今私は炎龍の素材が沢山詰まったバッグを背負っている、まだ残っているから今夜も取りに行くつもりだ。


「ますたぁ・・・龍の身体がしゃっきんをかえす?になるなら我の巣に沢山あるぞ!、我がまだ小さい頃から頑張って集めた宝物なのだ、我の宝物をますたぁのしゃっきんをかえす?の為にあげるのだ」


「ほぅ・・・上位の龍は魔石や光って綺麗なものを巣に溜め込む習性があると聞いていたが本当だったか・・・上位龍の巣に入るのは命懸けだから試した事は無かったのだが」


ユッキィさんが興味を持ったようだ。


「そうだぞ!、ピカピカ光って綺麗なやつが沢山あるぞ!、大事な宝物とお別れするのは辛いけどますたぁのしゃっきんをかえす?の為にあげるのだ!」


フルフル・・・


宝物を手放すのが惜しいのか唇を噛んで泣きそうになってるし!。


「ゼフィリスちゃんの宝物なんでしょ、そんなの貰えないよ、借金は時間がかかっても私が頑張って返すから!」


「でも・・・しゃっきん?があると我と遊んでくれないのだ・・・」


「遊ぶから泣かないで」


「ふふっ・・・こうして見ていると仲の良い姉妹に見えるな、本当に借金は気にしなくてもいいぞ」


ユッキィさんが生暖かい目で私たちを見ながら言った。








その日の夜、再び炎龍の死体から素材を集め、翌朝直接マキシマの街に帰ってきた、ゼフィリスちゃんはもちろん服を着ている、初めての街並みに目を輝かせていた彼は屋台の肉串屋を見つけ・・・今に至る。


「美味しかったのだぁ・・・ますたぁ、明日も買って欲しいのだ!」


ゼフィリスちゃんは明日もこの街に滞在する気満々のようだ・・・。


お昼の鐘が鳴り約束の時間が近付いてきた、領主様のお屋敷に向かおうかな・・・そう思ってベンチを立つと突然声を掛けられた。


「嘘・・・姉さん・・・」


振り返ると30歳半ばくらいだろうか・・・女性が目を見開いて立っていた。


よろっ・・・


女性はゼフィリスちゃんをしばらく見つめた後、ふらついて膝をついた。


かきかき・・・


私は持っていた紙に「大丈夫ですか?」と書いて女性に見せる、私は喋れない設定になっているのだ。


「はい・・・驚いてしまって・・・そちらの方が私の姉にとてもよく似ていたので」


日頃の勉強の成果でこれくらいの会話は理解できるようになっている、女性の言葉を聞いた私の頭の中では以前ゼフィリスちゃんが言った言葉が再現される。


(この姿は昔、一人で我を倒そうとした人間がいてな!、そいつの姿を真似ているのだ)


(知りたいのか?、なら教えてあげるのだ、我が頭から美味しく・・・)


だらだら・・・


「あら・・・大丈夫?、顔色が悪いわ」


かきかき・・・ささっ・・・(ありがとうございます、大丈夫です)


筆談を交えながら女性の話を聞いたところ、女性の名前はフィリアさんと言ってこの街の地下2層で食堂を経営しているそうだ。


「当時、鉄級のハンターだった姉は希少な薬草探しの依頼を受けたの、魔法が得意で・・・この勢いなら最年少で銀級に昇格できるだろうと言われていたわ」


「・・・」


「周りから天才だと持て囃されて慢心したのでしょうね、仲間が危険だからと止めるのも聞かず龍の巣の下に生えるという薬草を採りに森の奥へ入って・・・そのままジュリア姉さんは戻って来なかった・・・」


「・・・思い出したのだ、あいつは巣の裏に生えている薬草がどうとか言って・・・むぐぅ!」


じたばた・・・


私は慌ててゼフィリスちゃんの口を押さえた。


「え?」


かきかきっ!・・・ささっ・・・(なんでもありません!、では私たちは用事があるので失礼します)


私はゼフィリスちゃんを引き摺って女性と別れ、領主様のお屋敷へ向かった。

読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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