Side - 16 - 72 - ゆっきぃ -
今後のお話の展開を大幅に変えた為、投稿が滞っていましたぁ!。
Side - 16 - 72 - ゆっきぃ -
「(ねぇユッキィ)」
「何だ?」
「(今日リーゼロッテさん?、に会って蛍・・・妹さんの事をお願いするんだよね)」
「できるかどうか分からないし引き受けてくれるかもまだ分からない、だが言うのはタダだからな、何もしないよりは良いだろう」
「(ユッキィも向こうに連れて行って貰うの?)」
「できればそうしたいな、自分の手で助け出したいし私に酷い事をした連中に復讐もしたい)」
「(お願い聞いて貰えるといいね)」
「そうだな・・・」
こんにちは、レイア・ルミナスです。
今私とユッキィは「刻を告げる砦」にあるお家を出てマキシマの街に向かっています。
魔物の大暴走による騒ぎは落ち着いたのだけど街に残っていたハンターさん達は素材拾いに忙しそうだし、マキシマとシーマの街を繋いでいる鉄道も明日には復旧するらしくてお祭り騒ぎはしばらく続きそうです。
今日の私達の目的は街に来ているリーゼロッテさんに会う事・・・彼女は時空転移魔法陣と空間転移魔法陣の開発者で、好きな場所や時間に転移できるのだとか?。
その力を借りてユッキィが生きていた頃の故郷に行き、妹さんを助け出す・・・。
本当にそんな事が出来るのかまだ分かりません、でもマキシマの領主様に協力してもらって面会の機会を得たのです。
「やぁレイアちゃん、街に行くのかい?」
途中、顔見知りになったハンターさんとすれ違い声を掛けられました、私の身体を動かしているユッキィが会話します。
普段この辺りの道は「魔女様」に配慮してあまり人が近付かないのですが今は魔物の死体がまだ沢山転がっていて、それを処理するために砦と街をつなぐこの道はハンターさん達が頻繁に行き来するようになりました。
「おじさんおはよう、これから領主様のところに行くんだぁ」
「そうかい、俺は砦の裏から森に入ろうと思ってるんだ、魔女様の家に近付くが大丈夫かな?」
「うん、素材拾いなら問題無いって魔女様が言ってたよ」
「道は険しいがあそこを通ると近道なんだよ」
「気をつけてね」
そんな言葉を交わしておじさんハンターと別れます、彼の前にも数人と同じ会話をしました、森にはまだまだ魔物の死体が残っています・・・って言っても全部ユッキィが倒したやつだけど。
「どうぞ・・・」
「ありがとうございます」
領主様の屋敷に着きました、メイドさんに案内されて客間に入ります・・・。
がちゃ・・・
客間の中には眼帯をした銀髪の女の子、黒と銀の髪をした赤目の少女、それから背の高い男性と領主様が居ました。
「無理を言って時間を頂き感謝します、私は魔女様の弟子でレイア・ルミナスといいます」
私と入れ替わったユッキィが挨拶をすると領主様以外の皆が不思議そうな表情をしました、魔女様が来ると思っていたら弟子が来たのだから当然の反応かな・・・。
「訳あって私が代理でお話しさせて貰います、それから・・・失礼を承知でお願いするのですが、これから話す内容は魔女様の秘密に関わる事ですので部外者は席を外して貰いたいのですが・・・」
背の高い男と赤目の少女を見ながらユッキィが話しているとそれを遮るように領主様が言いました。
「フレシュネス様、こちらの男性はオニャノコ・ハァードゲイ、陛下の側近で事情は把握しておられます、こちらの方はリーゼロッテ様の師匠的な立場の方でして、人見知りで初対面の人間と話すのが苦手なリーゼロッテ様に代わりお話を伺いますのでご安心下さい」
「そうですか・・・」
領主様に促されて私とユッキィはソファに座り、目の前の令嬢に向かって話し始めました。
「というわけで私は・・・死ぬ前まで暮らしていた場所、時間に戻り妹を助けたい、どうか力を貸して貰えないだろうか?」
ユッキィは自分が危険な魔物である事は伏せて百年以上前に一度死んで生まれ変わった事、他人の身体を借りて生きている事、だから自分にはユキとレイア、2人の人格がある事などを説明しました。
「驚いたな・・・私は日本刀を作っている鍛治職人のコーン氏が転生者だと思っていたのだ」
「うん・・・でも私は日本の今過ごしてる時代より昔には戻れないから美少女魔法騎士リベラちゃんにお願いしたほうがいいと思う・・・」
話をして分かったのはリーゼロッテさんはユッキィが生きていた時間?には戻れない、でもリベラさんと呼ばれている師匠?はできるみたい・・・。
「それで、フレシュネスさん・・・いやユキさんはいつ向こうの世界で死んだのかな」
「・・・私が捕まってから一度年が明けたから・・・おそらく宝永3年だったと思う」
「宝永って・・・いつだっけ?」
「江戸の初期、いや中期頃か?・・・今から300年ほど前だな」
「えぇ・・・そんな昔」
「ユキさんの生きていた時代に戻って妹さんを悪い奴等から助ける事はできるが、よく調べておかないと歴史が変わる可能性があって危険だな、数年ならともかく300年前となるとどこに影響が出るか分からない」
「私が屋敷から逃げ出した日の夜に火事があったのだ、妹はその時に逃げ遅れて死んだと聞いている」
「一度私がその時代に行って探りを入れてみようか、火事に紛れて連れ出せるかもしれない、詳しくその時の状況を教えて貰えるかな」
どうやらリベラさんがユッキィのお願いを聞いてくれそうです、ユッキィは自分が逃げ出した時の状況や死んだ場所を説明しました。
「毛利雪・・・ユキさんってまさか人斬りお雪?」
眼帯の女の子が驚いています、ユッキィってそんなに有名人だったの?。
「確かに私はそう呼ばれていた、復讐の為に連中と少しでも関わりのある人間は全員斬り殺していたから・・・」
「私の親戚の家に・・・お雪が愛用していた日本刀「黒萩」が残ってるよ・・・年老いた旅の剣客さんからお世話になったお礼だって渡されたらしいのです」
「え・・・その剣客の名前は分かるかな!」
ユッキィが身を乗り出して眼帯の女の子・・・リーゼロッテさんに尋ねます、リーゼロッテさんはとても人見知りで声が小さく聞き取りにくいし言葉が途切れがち、でもリベラさんが上手く補足説明してくれました。
「えと・・・確か伯父さんの話だと斬彦っていう名前・・・だったかな?」
「それは私の父だ、生きてたのか・・・」
「5年くらい山奥にある瀬良の家に住んでて・・・農作業を手伝ってたみたい、それから病気になって亡くなったって・・・「黒萩」と対になる「赤萩」を探して旅をしていたらしいのです、お墓もあるよ」
「彼女達は午後からコーンの鍛冶屋で剣を買うのかな?」
「はい、そう聞いています」
「お願いを聞いてくれたお礼に剣の代金は私が払おう、あの店にある最高級のものを用意して欲しい」
「ではうちの執事を店に同行させましょう」
「欲しいだけ買っていいからね、お金はうちに全額請求してもらって構わないよ」
私の名前はダニー・オルネン、ここマキシマの街で領主の地位をバーガー家から受け継いだオルネン家の現当主だ。
面会が終わり客人が部屋を出て行った後、私と魔女様は2人で話をしている、この後ペトラさんが身体の事で魔女様に相談がある為、約束の時間になるまでお茶を飲みながら待っているのだ。
「それにしてもダニーさんにリーゼロッテさんの事を伝えておいてよかったよ、教えてくれてありがとう・・・向こうから来てくれるなんて私は運がいいね」
「はい、以前お会いした時にリーゼロッテ・シェルダンに会いたいと言っておられましたので・・・」
私は魔女様と呼ばれているフレシュネス・バーガーの秘密を知っている数少ない人間の一人だ、この事は私が当主になる為の教育を受けていた時に父親から聞いた。
最初そんな馬鹿な話はとても信じられなかったのだがとある事件で考えを改める事になる。
私がまだ10代の少年だった頃、視察で訪れたマキシマ川の上流で狼型の魔物の群れに襲われた事があった、護衛の半数が負傷してもはやこれまでと思われたその時、魔女様の弟子に助けられたのだ。
両手に剣を持ち舞い踊るように魔物を斬り伏せる姿は今でもこの目に焼き付いている、腰を抜かして立てない私にミシェルと名乗る茶色い髪の少女は優しく手を差し伸べてくれた。
「大丈夫ですか?」
それが私の初恋だった・・・彼女について知りたくて父親の言い付けを破り魔女様の家まで押しかけた事もあった、だがある日突然大森林から現れた黒龍との戦いで重傷を負いミシェルさんはシシリィという名の少女に姿を変えた。
ミシェルさんが居なくなり、部屋に引き篭もる私を見かねて魔女様の秘密を父親が話してくれた、そんな話は信じられない・・・そう言って魔女様の屋敷に向かった私はシシリィさんによって残酷な現実を見せられたのだ。
私の初恋はそこで終わってしまったが魔女様への感謝の気持ちは忘れていない。
8年ぶりに魔女様がこの街に帰って来た時、私の目の前にはシシリィさんではなくレイアという名の少女が立っていた、彼女はフレシュネスでありミシェルでもある・・・そしてシシリィの面影も残す「魔女様」だ。
今日私が初めて聞く事実もあった、魔女様が300年前にこの土地で生まれた事・・・バーガー夫妻の前に幼い彼女が現れたのは200年程前だ、100年間何をしていたのだろう。
私がその事を尋ねると彼女は「大森林の中で魔物として生きていた」と笑いながら言った、まだ私は魔女様の全てを知らないようだ・・・まぁ知る必要もないのだが・・・。
私は側に控えていた執事にリーゼロッテ様達と一緒にコーンの店に行き剣の代金を支払うよう命じた。
「ローゼリア王国の大貴族、シェルダン家のご令嬢とその師匠殿が快く依頼を引き受けてくれて良かったですね・・・」
「私も驚いてるよ、上手くいけば妹とこの街で楽しく暮らせそうだ」
「では、妹君の為にこの街の市民権を用意しておきましょう」
「うん、そうしてくれると助かる」
読んでいただきありがとうございます。
初小説です。
諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。
趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。
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