Side - 16 - 69 - ちっちゃいこすきーさんのさいなん! -
リーゼロッテさん250話記念で新作小説を投稿しています。
(全12話完結済み)
理衣さんは異世界に召喚されましたぁ!。〜病弱な僕だけが魔王を倒せるらしい〜
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Side - 16 - 69 - ちっちゃいこすきーさんのさいなん! -
「ふぅ・・・今日も1日よく働いたから疲れましたぁ!」
こんにちは、私の名前はアリスティア・チッチャイコスキー、18歳。
私はお家の事情で14歳から上級貴族シェルダン家のお屋敷で働いていて、お嬢様・・・リーゼロッテ様の専属メイドをさせてもらっています。
リーゼロッテ様はあまり手のかからない・・・メイドを必要とされないお嬢様で自分の身の回りの事は全部一人でやってしまうのです。
だから私はあまりやる事がありません、お嬢様が久しぶりにこのお屋敷に泊まった昨日の朝だって執事長のセバスチャンさんと一緒にただ着替えているのをじっと眺めていただけ、お手伝いさせてくださいと言っても・・・。
「・・・いい」
・・・と冷たい目で断られます・・・最初は嫌われているのではと思って泣いた事もありましたが旦那様のお話だと嫌いな人間は拒絶して自分の周りに近寄らせないのだとか、だから私は嫌われてないだろうと言われました。
では普段は何をしているのかというと、弟のコナンザ様のお世話も担当しています、でもコナンザ様は現在ニホン?というお嬢様の前世で住んでいた国に長期留学中・・・お屋敷にもほとんど戻って来られません。
同僚のメイド達からは「楽でいいなぁ」って言われるのですが小心者の私はお給料分は働かないと落ち着きません、自分のお仕事が終わって暇になると下働きのお手伝いさんや庭師のおじさん、料理人さん達のところを巡回して雑用を引き受けています。
庭師のおじさんからは「アリスちゃん偉いねー」と言って飴玉を貰ったり、料理長さんからは「アリスちゃん新作のお菓子ができたから味見して感想聞かせて」と頼まれたり・・・。
年齢の割に小柄でお胸も小さい私は後輩のメイド達からも子供扱いされているような気がしますが・・・お屋敷の皆はとても優しく、私を可愛がってくれているのです。
そんな私に新しいお仕事が出来たのが20日ほど前の事、お嬢様がお屋敷に連れてきた怪我をしている女の子・・・セシル・ミューラー様のお世話を任されました。
彼女の実家はチッチャイコスキー家よりかなり格下の貴族家、何か訳有りらしく護衛の男性二人も頻繁にお部屋に出入りしています。
「は・・・初めまして・・・セシル・ミューラーと申します」
「リーゼロッテお嬢様のお客様なのですから私に敬語は必要ありません、アリスティア・チッチャイコスキーと申します、アリスと呼んで下さいませ、よろしくお願いいたしますセシルお嬢様!」
「えぇぇ!・・・あの名門貴族、チッチャイコスキー家の・・・そんな・・・畏れ多くて、私・・・」
「今は破産しかけた貧乏貴族ですのでお気になさらず!」
「あ・・・はい、よろしく・・・お願いします」
セシルお嬢様のお世話は後輩メイドのリーガン・メリンちゃんと午前中に1回、午後に1回交代しながらお食事を持って行ったり入浴の補助をするのが主なお仕事です。
それから・・・客室のお隣で待機していて呼ばれたらお部屋に向かう夜番もあって、これもリーガンちゃんと一日おきの交代制でやっています。
コンコン・・・
がちゃ・・・
「あれ、リーガンちゃんどうしたの?」
お屋敷内にある住み込みメイド用のお部屋に戻り、もう寝ようかなと思っていた時にリーガンちゃんがやって来ました。
「アリス先輩・・・すみません、今日の夜番・・・こっ・・・交代してもらえないでしょうか?」
「どうしたの・・・顔色悪いけど」
きゅぅ・・・ごろごろっ・・・
「夕方頃からお腹の調子が悪くて・・・あぅ・・・」
私のお部屋の前でお腹とお尻を押さえて涙目のリーガンちゃん・・・本当に具合が悪そうです。
「分かったわ、着替えるからちょっと待ってね」
私は寝着からメイド服に着替え、死にそうな顔をしているリーガンちゃんをお屋敷の医務室まで連れて行きます、そう、このお屋敷は大勢の人が働いているからお医者様が常駐している医務室もあるのです。
「先生はいつもこれくらいの時間に帰り支度をしてるからまだ居る筈」
ごろごろごろ・・・きゅるるっ・・・
「あぁぁっ”・・・」
「お手洗い先に行く?」
「いえ・・・んくっ・・・大丈夫です」
派手にお腹が鳴っています、本当に大丈夫でしょうか?。
「原因に何か心当たりある?」
こくり・・・
頷きました、心当たりがあるようです。
「聞いてもいい?」
「料理長から捨てておくように言われてたハムが美味しそうだったから・・・匂いも大丈夫そうだったし、ちょっと酸っぱい味がしたけど・・・私お腹強いから大丈夫かなって」
「ダメじゃん!」
「あぅ・・・お願いです、この事は秘密に・・・」
「お医者様に原因聞かれたらすぐバレるでしょ、諦めてメイド長に怒られなさい!」
「わーん!」
・・・
ごろごろっ・・・
「んぁぁ・・・」
「本当に大丈夫?」
こくり・・・
コンコン・・・
がちゃっ・・・
「夜遅くにごめんなさい、レクタァ先生・・・」
私は医務室に入り椅子に座って書類を書いていたお医者様に声を掛けます。
「ん?・・・アリスくんか・・・どうした?」
とてもお顔が怖いこの男性はシェルダン家の専属医でレクタァ・ホプキン先生・・・声も低くて威圧的だからお屋敷のメイド達から恐れられているのですが過去の功績を認められて陛下から勲章を貰っていたり、医者としての腕前は凄い人なのです。
「食いしん坊のリーガンちゃんが廃棄予定のハムを食べてお腹を壊しましたぁ!」
「あ?」
レクタァ先生のお顔が険しくなります、メイドの皆はお顔が怖い、気味が悪いなどと言っているのだけど、私は時々お手伝いをしているので先生とは仲良しなのです。
「アリス先輩ひどい!」
ごろごろごろ・・・
「本当の事でしょ!」
「わぁぁん!・・・うぷっ!」
おろろろろっ・・・
「おっと!」
しゅぱぱっ!
わぁ!、リーガンちゃんが吐いちゃった、でも先生が桶を差し出してギリギリで受け止めます。
今日の夕食はお豆と野菜のスープだったから嘔吐物が緑色だ、私はハンカチを出してリーガンちゃんのお鼻と口に付いている汚れを拭き取ります。
「ありがとう・・・ございましゅ・・・アリス先輩・・・ぐすっ・・・」
「先生、私は夜番があるのでリーガンちゃんをよろしくお願いします」
「・・・分かった(ニタァ)」
猟奇的な笑顔で返事をするレクタァ先生にリーガンちゃんを預けて私はセシルお嬢様のお部屋に向かいました。
とてとて・・・
がちゃっ・・・
私は手のひらに魔法で小さな灯りを点けてセシルお嬢様のお部屋に入ります、ベッドの中でよく眠っていますね・・・私はお隣の控室で待機してお手洗いなどで呼ばれたら対応するのです。
メイド控え室は真っ暗、さっきまでリーガンちゃんが使っていた机の上には大量のお菓子や飲み物が散らばっています、本当によく食べる娘だなぁ・・・。
ギィ・・・
私は魔導灯を点けて持って来ていた本を読み始めます、そう、夜番はとても暇なのです。
「・・・っ・・・ぁ・・・の・・・」
お隣の寝室から微かな人の囁き声が聞こえます、セシルお嬢様は独り言や寝言が多いのです、気味が悪くて怖かったのですが今はようやく慣れました。
最初の頃は夜番の時に声がしたのでそっとお部屋を覗くと奥様が量産しているリーゼロッテお嬢様の人形「リゼぐるみ」に向かって何か呟いていました、月明かりに照らされて人形と会話するセシルお嬢様・・・叫ばなかった自分を褒めてあげたいです。
ぶるっ・・・
今はもう真夜中、持って来ていた本の2冊目を読み始めた所です、リーガンちゃんの残していった飲み物をたくさん飲んだからおしっこがしたくなりました・・・。
隣の客間にあるお手洗いを使うわけにはいかないので私はお部屋を出て長い廊下を歩き、階段を降りた所にあるメイド用のお手洗いに向かいます。
とてとて・・・
ぎしっ・・・
「え?」
私の後ろで人の気配がしました、見回りの衛兵さんかなぁ・・・そう思って振り向いても誰も居ません、廊下や階段は魔導灯が所々に点いているので真っ暗じゃないけれど薄暗く人が全然居ないので不気味です。
ふるふる・・・
怖くなって来ましたぁ・・・早くお手洗いを済ませて部屋に戻ろう。
古いけれど豪華な装飾が施された階段を降ります、また後ろに人の気配がしましたぁ!・・・私はもう振り向く事も出来ず早足に・・・。
こけっ・・・
「あぅ!」
ごろん!、ごろっ・・・
あと三段というところで階段を踏み外して転けてしまいました、痛いです・・・涙目になって膝を擦りむいてないか確認していると・・・。
ぎしっ・・・ぎしっ・・・
「ひぃ・・・」
階段を誰かが降りて来ています、奥様や旦那様はお部屋のある3階に居るので夜中に1階まで降りる事はありません、メイドや執事で住み込みの人達の寝室もここから離れた東棟の隅にあるので普通ならこの場所に人が居る筈がないのです。
階段の影に隠れて様子を伺います、怖くて涙と鼻水が出て来ましたぁ・・・少しだけ顔を出して階段を見上げると人影・・・でも頭が無いの・・・。
「うっく・・・ぐすっ・・・怖いよぉ」
しょわしょわぁぁ・・・
ほかほかぁ・・・
怖くてお漏らしをしてしまいましたぁ・・・
階段をゆっくりと降りて私に近付いて来る人影をよく見ると・・・。
「セシルお嬢様・・・」
逆立ちをして寝着が捲れた・・・パンツ丸出しのセシルお嬢様が階段を降りて来ます。
ぎしっ・・・
ぺたっ・・・
ぎしっ・・・
ぺたっ・・・ぺたっ・・・
あ・・・目が合った・・・白目を剥いてる・・・。
きゅぅ・・・
どさっ・・・
・・・
私はその場で気を失い、おしっこまみれの床に倒れました、次に目が覚めたのは私のお部屋のベッドの上でした。
私を発見したのは早起きしてお屋敷を見回っていた執事長のセバスチャンさん、おしっこまみれの私を抱えて身体を拭き、お部屋に運んで着替えさせてくれたそうです。
メイド長からは年頃の女の子を裸に剥くなんて!、次からは寝ていてもいいからメイドの誰かを叩き起こしてください!、と怒られていましたが・・・あぅ・・・セバスチャンさんに裸を見られてしまいましたぁ!。
「アリスちゃんはよく働いてくれるからありがたいのだが・・・どうやら疲れが溜まっているようだね、お漏らししちゃった事は気にしないでいいから今日はゆっくり休みなさい」
朝、報告を受けた旦那様が私のお部屋に尋ねて来てくれて・・・夜中に見たセシルお嬢様の事を説明する私を生暖かい笑顔で慰めてくれました・・・。
「くぅ・・・すぴー」
(ふふっ・・・昨日は上手く身体を操作できたから明日はもう少し行動範囲を広げようかなぁ・・・)
「んぅ・・・朝?」
ぴょこぴょこ!
「あ・・・おはよう、クマァちゃん」
かきかき・・・
(おはようセシルちゃん!)
「あれ?・・・手のひらが汚れてる・・・」
かきかき・・・さらさら・・・
(ごめんね、前に話してた身体の操作を昨日の夜セシルちゃんが寝てる時にやってみたの、逆立ちして少し歩いたから汚しちゃった)
「逆立ちかぁ・・・それならクマァちゃんが私の身体に入っても動けるね」
(この前の夜は普通に歩いたから傷が開いちゃって・・・痛かったよね、ごめんなさい)
「大丈夫だよ、リゼ様やお医者様にも診てもらったし・・・朝起きてお布団が血だらけになってたから叫んじゃったけどね」
読んでいただきありがとうございます。
初小説です。
諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。
趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。
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