Side - 16 - 43 - れいあさん いち -
今回「〜レイアさんはおかしな魔物に寄生されましたぁ!〜(魔法使いなのに魔物で双剣使い?)」で既出のお話を編集して投稿しています。
〜レイアさんはおかしな魔物に寄生されましたぁ!〜(魔法使いなのに魔物で双剣使い?)(R-18)
https://novel18.syosetu.com/n2479il
Side - 16 - 43 - れいあさん いち -
〜カリンさんが魔物に覚醒する約60日前〜
「あぐっ・・・嫌だ・・・シェムニさん・・・助けて」
「俺達じゃ倒すのは無理だ、この役立たずが食われてる間に逃げるぞ!」
「え、流石にそれはまずくない?」
「こいつはミスをして魔物に食われた、そういう事にすれば大丈夫だ、死にたくなきゃ走れ!」
私の名前はレイア・ルミナス・・・レオーネ王国北部に広がるサウスウッド大森林に近い街でハンターをしていて・・・今、肉食植物タイプの魔物に捕まって食べられようとしています。
「嘘、みんな・・・私を置いて行かないで、怖いよぉ・・・」
私はハンターになってまだ1年と少し、後衛の魔法使いとしてこのパーティに入れてもらいました・・・ごめんなさい、嘘をつきました、私のパーティには既に魔法使いさんが居ます。
私は使い走りの雑用係、生活魔法が使えたから魔法使いさんの魔力を温存する為に雑用兼荷物持ちとして半年前に雇われたのです。
この半年の間、私はパーティで休む暇も無いくらいこき使われました。
事務仕事から始まって依頼人からのクレーム対応、遠征中の食事の用意に武器の手入れ、お洗濯・・・、報酬はお世辞にも多くない、それでもこのパーティを抜けなかったのは・・・抜けられなかったからです。
ハンターになってからしばらくはソロで活動していました、と言っても駆け出しの見習いだから薬草集めや水路のお掃除がほとんどです。
でも私は早く遺跡に入りたかったのです、遺跡に入るには地道にランクを上げるか、すでに遺跡に入る能力があるパーティに入れてもらう・・・私は後者を選びました。
そのパーティは男女混成の4人組、男女ともに2人ずつ、ハンターギルドの人から男だけのパーティには入らない方がいいと言われていたのです、ちょうど雑用が欲しい彼らとパーティに入りたい私、話はすぐに決まりました。
ただ、そのパーティはあまり評判が良くなかったようなのです、ソロで活動する新米の私に誰もそんな事教えてくれませんでした。
パーティ加入の話がまとまり私は契約書にサインをしました、でもその契約は私に対して不当でしかもパーティの許可が無い限り勝手に抜けられない・・・そんな契約でした。
初対面の時はみんな親切だったし私も初めて仲間ができると浮かれていたから・・・いえ、そんなのは言い訳ですね・・・契約内容をよく見なかった私が悪いのです。
私の左手の甲には刻印があって・・・これは契約が終了するまで消えません、契約を破ると刻印が破裂して左手が吹き飛びます、何それ怖い・・・。
幸いパーティのメンバーは私に肉体関係を迫るような事はありませんでした、4人の男女は2組の恋人同士、私は15歳にしては貧相な身体と低い身長、男性2人は幼女に欲情する趣味はなかったようです。
代わりに仕事が遅くなったり、ミスをすると酷く殴られました。
私のお家は貴族です、だからお家に助けを求めて契約を何とかしてもらおう、そう考えた事もありました、でもこの契約は貴族でも破る事はできないし契約破棄してもらうには多額のお金を要求されます。
私はハンターになりたくて無理を言って許可してもらったから・・・僅か1年でお家に迷惑をかけたくなかったのです。
家族は私に優しかったけれど息苦しい貴族の生活から苦労して抜け出せたのに、また家に連れ戻されるのは絶対に嫌なの。
あぅ・・・呑気にそんな事を考えている場合じゃなかったのです・・・両手足は蔦に絡め取られて動けません、私を味わって食べようとしているのか肉食植物のお口が大きく開いてゆっくり近付いています・・・ワタシオイシクナイヨ・・・。
「いやぁ・・・お父様、お母様助けて・・・」
前にもこんな事がありました、狼型の魔物の群れに襲われてみんなで逃げていた時、リーダーのシェムニさんが私の足を引っ掛けて転ばせたっけ・・・あの時はたまたま銀級ハンターのおじさんに助けられて、シェムニさんは「何やってるんだ!」って怒られてた、その後で私はいっぱい殴られたけど・・・。
今回もそう・・・壁際に追い詰められて誰かが食べられちゃうって思った時、魔法使いのキャリーさんが私の肩をそっと押して魔物の前に・・・。
私は荷物持ち兼、雑用係、そしてパーティに危険が迫った時の囮なのです。
「あぅ・・・嫌だ・・・怖いよぉ」
恐怖でお漏らしをして涙と鼻水を垂れ流している私を魔物が・・・。
ぱくり・・・
ぽちゃ・・・
「臭い・・・真っ暗で何も見えないよぉ、嫌だ・・・肌がヒリヒリする・・・魔物のお腹の中?」
魔力はもうあまり残ってないけど・・・。
「シャイニングレイ!」
ペかぁー
「お口はずっと上の方だ、登れない・・・やだぁ、死にたくないの・・・ひっく・・・ぐす・・・」
「・・・力が欲しいか」
「え?、誰か居るの・・・」
「お前の目の前だ、いやそこじゃないもっと下・・・」
「下?・・・いやぁぁぁ!何これ気持ち悪い!、化け物!」
そこには赤い肉の塊・・・のようなものが居ました、・・・シャベッテルヨ・・・。
「初対面で失礼な奴だ・・・いや今は時間が無い、このままだとお前は間も無く溶けて死ぬ・・・助かりたいか?」
「助けてくれるの?」
「私はこいつの中に・・・何年だったか・・・相当前から居る、前の主がこいつに喰われてな・・・そいつはとっくに溶かされたが私は消化液にも耐性があるから今まで生き延びた、だがもう何も食ってなくて魔力も尽きる、遂に私もおしまいか・・・そう思っていたらお前が落ちてきた、私は運が良いな」
「あぁぁぁ・・・全身が痛いの!、溶けてる?、私溶けてるの!、嫌だ助けて何でもするから!」
「ん?、今何でもって・・・話は後だ、私の指示に従えば私もお前もここから出られる・・・どうする?」
「従う!、従います!、お願い助けて、もう足を床?につけてられないの、靴も溶けてるの!痛いよぉ・・・わーん!」
「・・・分かった・・・それならまずは脱げ」
「・・・へ?」
「着ているものを脱いで全裸になれ」
「・・・恥ずかしいから嫌です」
「何でもするって言っただろうがぁ!」
「わーん怒ったぁ・・・あぅ・・・痛いの、背中も痛くなってきたの」
「お前アホだろ、主従関係を結ぶと疲れそうだ・・・もういい、溶けて死ぬがいい」
「いやぁ・・・死ぬのいやぁ・・・脱ぎます、今すぐ脱ぐから・・・あ、足が滑って・・・」
ごん!
「痛いの・・・うぅ・・・服が体液で貼り付いて上手く脱げないの・・・ヒリヒリが酷くなってきたの・・・」
「お前なぁ・・・」
「よいしょ・・・ほら全裸になったよ!、早く助けるの!」
「まだ毛も生えてないガキか・・・今から私が服の形になるからそれを着ろ、お前の身体を使ってこの草野郎の腹を切り裂く」
「痛いよぉ・・・溶けてる!、足の裏から血が!、血がぁぁ!」
「やかましい!、早く着ろ」
「やだ・・・ぬるぬるぐちょぐちょで気持ち悪い、あ、魔法で出してた光が魔力切れで暗くなってきたの・・・わぁぁん頭痛いよぉ!、気持ち悪い・・・吐きそう・・・」
おろろろろ・・・。
「いいから早く着ろ、本当に溶けて死ぬぞ!」
「あ・・・頭が痛い、クラクラする・・・魔力切れ苦しいの・・・着たけどすごく気持ち悪い・・・早く脱ぎたいから急いで助けて」
「・・・」
「あれ、これを着てると痛くない・・・」
「私がお前の傷を回復させてるからな、こっちも魔力が少ないんだ、世話をかけさせやがって・・・よし着たな、せいっ!」
「ひゃぁ・・・胸のところが閉じて継ぎ目がなくなった・・・身体にぴったりし過ぎてちょっときついの・・・」
「じゃぁここから出るぞ・・・ヒャッハー、久しぶりの外だぁ」
シャキーン
「ぎゃぁぁぁ!、手ぇ!、私の手から剣が生えた!、嫌だ怖い戻して!、うわぁぁぁん!」
「本当にやかましい奴だな!、やはりこいつと主従関係・・・考え直した方がいいか・・・」
どす!
ぷしゃぁぁ!
「やだ!、何で身体が勝手に動いてるの!、怖いの!、お父様助けて!」
「うるさい黙れ、気が散る!」
それから私は信じられないものを見たのです、身体が勝手に動いて肉食植物の魔物と戦っています。
「いーやーだー、逃げるの!、怖いの!、あれ金級か銀級のハンターがパーティ組んで討伐するようなめっちゃ強い奴だよ!、せっかく助かったのに死ぬのやだ!、死ーにーたーくーなーい!」
「私はあいつの腹に何年も閉じ込められてキレてるんだ!、殺さなきゃ気が済まん!」
どしゃぁぁ
「よし、倒したぞ、身体が使えたらこんな奴など敵では無いわ・・・フハハハハ!」
きゅぅ・・・
「何だ気絶したのか・・・こいつと主従関係になるのかよ、バカっぽいし話してると疲れそうだ・・・こんなガキでも私だけで勝手に決めたら可哀想か、起きるまで待ってやろう・・・」
読んでいただきありがとうございます。
初小説です。
諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。
趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。
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