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Side - 16 - 40 - るみなすけのじじょう -

Side - 16 - 40 - るみなすけのじじょう -


〜カリンさんが魔物に覚醒する40日前、レオーネ王国某所〜


「レイアたんはまだ見つからないのか!」


「はい、申し訳ありません、エスティマの街でハンター登録を行った後、しばらくソロでやっていたようですが半年ほど前からとあるパーティに加入していたようです」


「パーティ・・・あの人見知りのレイアたんが・・・男か!、男のいるパーティなのか!」


「男女混成のパーティで男2女2だと聞いております、それぞれ2組の恋人同士のパーティです」


「そうか・・・それにしても何故北のエスティマなのだ!、あそこは大森林の近くだぞ、南の安全な森で薬草を採集している筈ではなかったのか!」


「お屋敷を出てからのお嬢様の足取りを調べたところ、ルミナスの領都駅で乗る列車を間違えたらしく、南行きを北行きの旅券に変更した記録がありました」


「・・・そこまで分かっているのになぜ見つからんのだ」


「その・・・お嬢様が加入したパーティはあまり評判が良くないようでして、契約で縛られ、奴隷のように扱われていたらしく・・・よく殴られているところを見たという女性ハンターの証言もあり・・・」


「なんだとぉ!、おのれ・・・私の大事なレイアたんになんという仕打ちを・・・やはりハンターになりたいと言った時諦めさせるべきだったかぁ!」


「落ち着いてください旦那様!」


「これが落ち着いていられるかぁ!、私ですら手を上げた事がないのに、殴られていただとぉ!、許さん、許さんぞ!、そのパーティを連れてくるのだ!、私が直々に成敗してくれるわぁ!」


「それが・・・、そのパーティはお嬢様を魔物の囮にして巣に置き去りにしたらしく、ハンター規約違反の罪で数日間ギルドに拘留されていました、その後保釈金を支払いエスティマの町を出たと・・・」


「・・・囮・・・だと・・・ふぅ・・・」


「旦那様!、お気を確かに!」


「私とした事が・・・すまん、気を失いそうになったぞ・・・そのパーティにまだレイアたんは同行していると言うのか!、囮にされたのだぞ!、殴られているのだぞ!、私の可愛いレイアたんを囮にするとはなんたる外道!」


「落ち着いてください旦那様」


「あぁ・・・レイアたん・・・あまりの忙しさに一人で旅立たせたまま監視していなかったお父様の落ち度だ・・・無事を知らせる手紙は魔法陣で数日おきに届いていたし、我が領内の治安は良かったから油断していた・・・許してくれレイアたん・・・」


「もう一つ報告があります、これはお嬢様かどうかは確認が取れていないのですが・・・そのパーティのリーダーの男と少女が契約で揉めていたとの目撃情報があり、精霊契約違反で少女の方は左手が吹き飛ばされたと・・・」


「うぉぉぉ!、状況から考えてそれはレイアたんではないかぁ!、ひ・・・左手が吹き飛んだだとぉ!・・・待っていろレイアたん!今お父様が助けに行くからね!、今すぐに旅支度をする、エスティマ行きの魔導列車を手配しろ!」


「落ち着いてください旦那様、午後から陛下に呼ばれているではないですか」


「そんな事は知らん!、陛下よりレイアたんだ!、おい離せ!、止めるな!、行かせてくれぇぇ!」






「落ち着きましたか旦那様」


「落ち着いたも何も・・・暴れる私をお前が絞め落としたのではないか・・・」


「ああでもしないと旦那様はエスティマの街に向かわれてしまうでしょう」


「当然だ、レイアたんが、あの泣き虫のレイアたんが左手を吹き飛ばされて泣いているのだぞ!、これが落ち着いていられるかぁ!」


「王都からエスティマの街までどれくらいかかると思っているのですか、それまで執務はどうするのです?、陛下に毎日のように呼び出されているのに」


「ぐぬぬ・・・」


「ルミナス家の騎士団を動かします、許可は頂けますね」


「もちろんだ、全員出動させても構わん、一刻も早く探し出すのだ!・・・そうだ、ギルドは!、ハンターギルドには聞いたのか?、あそこにはハンターの行動が記録されているだろう、聞いたのか!」


「顔が近いです!、落ち着いてください旦那様、使いの者を出して問い合わせました、ですがハンターになる人間の中には実家が訳ありで素性を隠していたり、組織から逃げている者も居るそうで、個人の情報は教えられないと・・・」


「力ずくでも、金を掴ませてもいいから吐かせろ!」


「そんな事をしたらハンターギルトと揉めます、貴族とハンターギルドの信頼関係が崩れて大変なことになりますよ」


「だが・・・だが!、レイアたんがぁ・・・うぅ・・・うあぁぁぁ・・・」


「いい歳して泣かないでください旦那様、こちらとしても足取りを全力で追っています、数日のうちはに見つかるのではないかと」






恥ずかしい所を見せてしまったな、私の名前はドミニク・ルミナス、レオーネ王国の上級貴族、ルミナス家の当主だ。


私には息子2人と娘2人が居る、とても可愛い自慢の子供達だ、だが私の3番目の子供、レイアは幼い頃からハンターに憧れていた、淑女教育を真面目にこなしていたから特に注意しなかったが・・・ある日ハンターになりたいと言い出した。


もちろん私たち家族は反対した、親の私が言うのもアレだがレイアは気が弱く騙されやすい、そんな子がハンターになったら誰かに騙されて酷い目に遭う、そう考えて断固として認めなかった。


その日を境に明るく元気だった娘は部屋に引き篭もってしまった、私たちが何を言っても上の空・・・表情は暗く沈み、いつも泣いていた、見かねた私達は安全な所でなら・・・という条件でハンターになる許可を出したのだ。


それは、自由に好きな事が出来る時間は今だけかもしれないから短期間でも娘がやりたい事をさせよう・・・という親心でもあった。


というのも私達一族はこれからこの大陸で重要視されるからだ。


私の母親はこの大陸の人間ではない、密かにこの国に亡命したギャラン大陸にあるデボネア帝国皇族の血筋なのだ。


今までのようにデボネア帝国が健在なら我々一族が重要視される事は無かった。


だが2年前帝国が崩壊・・・皇族をはじめ上級貴族が何者かによって殺害された、その後デボネア帝国の貴族や平民が難民として大量にこの大陸沿岸部に逃げて来た。


大人しく移民として暮らしてくれるのなら問題は無かった、だがあの大陸は弱肉強食、弱い者は搾取され強い者が全てを得る・・・それが常識として存在する場所だったのだ、そのような価値観の違う人間が大量に押し寄せたらどうなるか・・・当然エテルナ大陸の住民と揉めた。


デボネア帝国の上級貴族は下級貴族の護衛を従え、略奪や暴行、徒党を組んで盗賊団のような事も平気で行った。


その惨状にエテルナ大陸の各国は頭を抱えた、ある国は送り返せと言い、ある国は優秀な者は引き抜いて利用しろと言う、捕まえて投獄しろと言う国もあれば人道上保護しろと言う国もあった、各国の考えがまとまらないまま2年が過ぎた・・・。


そうしているうちにも被害は拡大、住民から何度も国に対応要請が出た、決まらない方針、広がる被害・・・皆が頭を抱える中、レオーネ王国の国王は閃いた。


うちの国にデボネア皇帝の血筋の者が居る、その一族はデボネア帝国貴族の首に嵌められている首輪に魔力を流せるではないか、あの帝国貴族が恐れる皇帝の血筋、上手く使えばレオーネ王国に難民が寄り付かなくなるのでは?。


私の友人でもある国王陛下は私を城に呼び出し、捕まえたデボネア帝国貴族に嵌っている首輪に魔力を流せと言ってきた。


言われるまま魔力を流すとその貴族は苦しみ始め、更に強く流せと言われたので言う通りにしたら死んだ。


この時から我が一族の価値が跳ね上がった、元々上級貴族としては一目置かれる豊かな領地と潤沢な資産で国の中でも3本の指に入る名門だったが、デボネア帝国人の首輪に魔力を流せる血筋として注目を集め、私の子供達に婚約の話が殺到したのだ。


長男は後継としてすでに結婚していた、長女も政略的な婚約だったが同じ上級貴族である婚約者とは相思相愛、親の目も気にせずイチャイチャしていたから今更引き離す事は出来ない、となると残り2人の子供に皆の注目が集まった。


次女のレイアは同じ歳の王太子殿下が居るという理由で密かにこの国の王族との婚約が内定、次男は同じく被害が多発して頭を抱えている最友好国ラングレー王国の王女殿下と婚約が内定した。


子供2人の婚約が内定したのは一昨日だ、デボネア帝国が崩壊した時からこうなる予感がしていた私は覚悟はしていたが決まってしまったものは仕方ない、国王陛下は娘が南の街でハンターをしていると言ったら驚いていた、死んだらどうするのだすぐに呼び戻せと言って来た。


娘を呼び戻して王妃教育を始めなければ、・・・でも嫌がるだろうな・・・そう考えつつ居る筈の南の街に使いを送ったら居ないではないか!。






「左手を失ったかもしれないというのは陛下に報告しておかないといけないな」


「そうですね旦那様」


「今から城に行くか、お前は騎士を手配してレイアたんを探してくれ」


「かしこまりました」







「・・・で、君の娘、レイアちゃんは領地の南の街でハンターになっている筈だったが何故か北にある大森林の近くの街に居て悪いパーティに奴隷のように使われていた、住民の目撃情報から左手を失っているかもしれない・・・と」


「私が娘可愛さに隠してる訳では無いぞ・・・いや娘は可愛いのだが・・・」


「分かってる、君と何年付き合ってると思ってるのだ、目が真っ赤だ、娘が心配で泣いていたのだろう」


「・・・」


「となると困ったな、もしかしたら処女じゃないかもしれない・・・これはまぁいい、王族のしきたりでは王妃となる者は処女である事となっているがそんなもの言わなきゃ分からない、簡単に誤魔化せる、だが左手を失っているかもしれない・・・か、私は気にしないのだが見栄えを重んじる長老どもが何を言って来るか分からんな」


「あぁ、まだ分からんが目撃情報と状況から推測して娘の可能性が非常に高い」


「貴重なデボネア帝国貴族の首輪に魔力を流せる人間だ、胃が痛いが長老どもは私がなんとかして黙らせよう、だが死んでいた場合は困った事になる・・・いやすまん!、失言だ、泣くな!」


「ぐすっ・・・レイアたん・・・」


「まぁ、君が娘を溺愛してるのは知っている、だが王家としては君の一族の血筋はどうしても欲しい、王城の騎士団や影も使って探させよう、それから居場所を知っている可能性があるハンターギルド長を呼び出して話を聞く、非常事態だからなんとか協力してもらおう」


「頼む・・・」


「だが誤算だったな、こんな事になるならラングレー王国との婚約話、もう少し後にしておくべきだった、向こうは2つ返事で大喜びだったから今更白紙になるとは言えない」


「あぁ・・・すまん」


「君のせいじゃない、婚約が決まったのは一昨日だしレイアちゃんが家を出たのは1年前だからな、・・・彼女は貴族で居るのが嫌なのかな?」


「あぁ、おしゃれや社交界にも興味が無いようだった、淑女教育は真面目に受けていたがハンター関連の本を読み漁っていたし、働ける年齢になってからはハンターになると言って聞かなかった」


「そうか、まずは見つけないとな、他国で恋愛をして結婚されるとまずい」


「そうだな・・・」


「一応この婚約は王命だから拒否できない事になっているが・・・もしレイアちゃんがどうしても婚約を嫌がったらどうしようか・・・君がもう1回奥さんと頑張ってもらうしかないかな、いや1回と言わず3回でも4回でも・・・だがそれだと息子との年齢差が・・・」


「おい待て!、何の話だ!」

読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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