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Side - 16 - 38 - かりーん・ちっぱいさんのだいぼうけん きゅう -

Side - 16 - 38 - かりーん・ちっぱいさんのだいぼうけん きゅう -



俺の名前はチャールズ・マンダム、今俺は再び森に行き姉御と一緒に厳戒態勢の街に戻ってきたところだ。


ギルドに戻ってカーマの奴を探していると街を囲んでる外壁の上に居ると言われた、俺は石造りの長い階段を登り、森が見渡せる見張り塔のところまで行くと帝国騎士団のローブを着たカーマが部下のギルド職員と話していた。


「あらチャールズちゃん・・・その娘は?」


俺が小脇に抱えている幼女を見たカーマが尋ねてきた。


「何言ってんだカーマ、姉御に決まってるだろ」


「・・・」


にこやかに俺を迎えたカーマが真顔になった、こんな時に冗談はやめろって顔だな、普段から鋭い目つきの奴だが今は眉間の皺も深くなり凄ぇ迫力だ、子供が見たら泣くだろう。


「・・・」


いや何か言えよ!。


「・・・信じられないだろうが私はペトラだよ、疑うなら酒場で酔っ払ったあんたが私に聞かせてくれた愚痴や性癖をこの場で言ってあげようか?」


俺に抱えられてる姉御が顔を上げてカーマに言った。


「・・・本当に・・・ペトラさんなの?」


「事情があって姉御は幼女になっちまったんだよ、そんな事より魔物の暴走・・・」


まだ信じられないって顔のカーマに俺が言った、どうでもいいが魔導士の正装をしたカーマは顔が整ってる事もあってかっこいい・・・鋭いながらも憂いのある青い瞳に見つめられたら男の俺でも変な気になりそうだぜ。


「そんな事で片付けられる訳ないでしょぉ!、何でペトラさんが幼女になってるのよぉ!」


「少し長い話になるから先に魔物の大暴走を片付けようぜ」


カーマが頭を抱えた、そうだよな、俺も森で姉御と会った時には驚いた・・・。







話は昨日まで遡る・・・ギルドで報告を終えた俺は姉御を迎えに再び森に入った。


いつもなら駆け出しのハンターが薬草を採取している林を抜けて・・・どれくらい走っただろうか、森が深くなってきた所で首を落とされた魔物の死体から魔石を取り出している幼女と出会った。


「何でこんなとこにガキが居るんだよ!、危ねぇだろうが!」


思わず俺は叫んだ、ここは中堅ハンターでも油断すると危険な場所だ、しかも大暴走の影響でいつもより強い奴がうろついてやがる、今まで無事だったのが奇跡だぞ。


「おや、坊やじゃないか、ギルドへの報告は済んだのかい?」


幼女が訳の分からねぇことを言った、俺は幼女に坊やと呼ばれる筋合いは無ぇ!、そう思ってるとでかいリュックを背負った幼女が立ち上がり俺の側に近付いて来た。


両手は血まみれで、片方の手にはナイフ、もう片方は今魔猿から取り出したばかりの魔石を持って・・・不覚にも俺は恐怖を覚えた、この幼女只者じゃねぇ・・・。


「止まれ!」


そうだ、こんな場所に幼女が居るわけ無いだろ、こいつは魔物か何かで俺を油断させる為に人間の姿になってる可能性がある・・・長いハンター生活でそんな魔物なんて聞いた事無ぇが世の中にはまだ知られてない魔物も居るだろう・・・。


「何だい怖い顔して、あぁ、この姿のせいか・・・もしかして坊や、私の事が分からないのかい?」


歳を取ったとはいえ俺は銀級のハンターだ、魔物の言葉に耳を傾けるようなお人好しじゃない、ってか喋る魔物なんて厄災級の超ヤバい奴くらいだし実際に見たのはこれが初めてだ。


・・・だがこの幼女の口調には聞き覚えがあった、俺の人生の大半を共に過ごした人物・・・恩人であり尊敬する師・・・。


「ちょっと前に見た事もない魔物と戦ってね、不覚にも仕留め損なったんだが・・・その時に幼女化の呪いを受けちまったらしい」


「は?」


「どうすれば信じてもらえるかねぇ・・・そうだ、15年くらい前にローゼリア側のサウスウッド大森林で野宿した事あっただろ、その時食ったキノコの中にやばいのが入ってて朝まで2人で笑い転げてた事があったねぇ・・・」


確かに・・・あれは酷い思い出だ、俺がヤバそうだから捨てろって言ったのに姉御は大丈夫だ食える問題無いって鍋に入れやがった・・・これは俺と姉御しか知らない話・・・。


「まだ信じてないようだね・・・それなら初めて坊やに会った時の話をしてやるよ、スタンザ帝国の森の中で狼型の魔物に囲まれて小便漏らして泣いてたねぇ・・・」


「泣いてたかもしれねぇが漏らしてなんかねぇぞ!」


「ふふっ・・・そうだったかねぇ・・・歳を取ると物忘れが増えて嫌になる」


もうとっくに俺の目の前の幼女が姉御だってのは察してる、今の、歳を取ると・・・ってのも最近の姐御がよく口にしてる言葉だ、俺はその度にこう返してた。


「まだボケるには早いぜ姉御・・・」


それに・・・もう一つ出会ってすぐにこいつが姉御だって確信した理由がある。


「なぁ姉御よ、まだ俺に何か隠してねぇか?、今まで黙ってたが・・・姉御が嘘をつく時には右の目を少し細める癖があるんだぜ」


「・・・」


「・・・」


「はぁ・・・顔に似合わず細かいとこまでよく見てるねぇ、本当に気持ちの悪い坊やだ・・・仕方ない、あんたは信用できるから本当の事を話しておこうか、実はね・・・」






「・・・カリン嬢ちゃんは封印されてた半魔物で、地龍に食われて覚醒、成り行きで地龍2体をアンデッド化して眷属に・・・その後炎龍に捕まって連れて行かれた?」


「あぁ、そうだよ、そのうち戻って来ると思うけど服が無くて全裸だったから街には来れないだろうね、暴走がおさまったら頃合いを見て迎えに行こうと思ってる」


「本当に大丈夫なのかよ?、吸血族なんだろ、そんなヤバいのが街で暴れたら魔女様でも対処できねぇだろ、カーマの奴には話すのか?」


「カリンちゃんの正体を知る奴は少ない方がいい、カーマは・・・まぁ喋っても大丈夫だろう、それから魔女様にも相談しようと思ってる・・・私の身体の事についても知りたいからね」











ごごごごご・・・


「来たわね」


「あぁ、そうだな・・・共食いしながら川に向かって来てる、本当に大丈夫なのかよ」


あれから街で待機して1日が経った、俺は朝飯を食った後カーマと一緒にマキシマ川の西側に広がる森を見ている、もちろん姉御も一緒だ。


「できるだけの事はやるわ、不測の事態に備えて2人は他のハンター達といつでも出られるようにしておいて頂戴」


「あぁ、分かった」


今俺達の居る外壁の上にはハンターが集まってる、こいつらは外を警護している連中と半日おきに交代する人員だが今はギルド長・・・カーマの攻撃魔法を見ようと仮眠から起きて来た。


街の連中も噂に名高い元近衛騎士団長様の魔法を一目見ようと高い建物に登ってる奴が大勢居る。



シャリン・・・


シャリン・・・


「ふふっ・・・こんなに大勢の人たちに見られてると緊張するわぁ」


シャリン・・・


・・・


カーマが豪華な装飾付きの杖を高く掲げて魔法を放った。


「・・・パラダイスロスト」


ぱぁっ!


そして俺は信じられない物を見た・・・。


マキシマの街はおろか、川の向こう・・・大森林の浅い場所まで真紅の巨大な魔法陣が幾つも空に広がり街を覆っていた雨雲が晴れた、下にいる町の住民からは大歓声が起きている。


「・・・こんなに晴れた空が見えるのは何年ぶりかねぇ」


隣で姉御が空を見上げて呟いた、昨日服屋で買ったばかりのスカートとブラウス、子供用のフード付きローブがよく似合ってるぜ。


チュン・・・


しゅぱっ!


チュン・・・


しゅぱっ!


チュンチュン・・・


しゅぱぱぱっ!


魔法陣から放たれた幾筋もの紅い光が空を飛んで街にやって来る翼龍を撃ち落とし、川を渡ろうとする大型の魔物の頭を撃ち抜いた。


「すげぇな・・・これが元近衛騎士団長様の殲滅魔法か・・・」


俺は今まで騎士団長って奴の実力を舐めてたようだ、金級のハンターか、それよりちょっと強いくらいの認識で居たがこれはそんな生易しいものじゃ無ぇ!。


「この魔法も万能じゃないの、落とせるのは目に見えているものだけよ、それに私の魔力はお昼までに尽きるわ・・・その間に暴走が収まって魔物達が森に引き返せばいいのだけど・・・まだ続くようならチャールズちゃん達の出番ね」


魔法陣を維持するのがきついのか、杖を水平に構え額に汗を浮かべたカーマの奴が俺に話しかけて来た。


今までの大暴走はハンターが総出で外壁の上や川の対岸で魔物を倒して街への被害を食い止めていたらしい、今回俺達が呑気に見物できてるのは幸運にもハンターギルド長が化け物じみて強いおかげだ。


「顔色悪いぜ、喋って大丈夫なのかよ」


「本来これは雨のように光を降らせて相手を皆殺しにする魔法なの、でも今は魔力を小出しにしてるからお昼頃までは大丈夫、それでも暴走が終わりそうに無いなら最後に残りの魔力を使って「脅す」から中級程度の魔物なら尻尾を巻いて森に逃げ帰ると思うわ」


カーマの奴がとてつもなく不穏な事を言いやがった!、こいつが敵じゃなくてよかったぜ、こんな化け物とは絶対戦いたくねぇ!。

読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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