Side - 16 - 37 - かりーん・ちっぱいさんのだいぼうけん はち -
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※注意!、汚いです!
「どうかな?、出そう?」
(マダ・・・デナイ・・・オ・・・オデハ・・・イツモミッカブンタメテダシテル)
「えー」
私の名前はカリーン・チッパイ、17歳、今私は大森林の中間地点、山脈の裾野にある開けた場所に座って地龍さんに話しかけている。
開けた場所・・・って他人事みたいに言ってるけれど、これは魔物に覚醒した時に周りの木々を薙ぎ倒して更地にしてしまった私のせい・・・。
「ギルドにはチャールズ坊やが報告してるだろうから急ぎはしないが・・・あまりのんびりしてると大暴走に巻き込まれるだろうね」
少し離れた場所で凶悪な形をした鎖鎌を振り回している幼女はペトラ・ヨウジョスキーさん、振り回している幼女・・・と他人事みたいに言ってるけれど初老のペトラさんが幼女になったのも私のせい・・・。
「だって、この姿じゃ街に帰れないよぅ」
今私は全裸で・・・背中には黒くて禍々しい羽根が生えている、これで街に戻ったら大騒ぎになるし討伐されてしまうだろう。
今まで私を封印していた足枷をもう一度付けたら元の姿に戻れるかも・・・そう考えた私は足枷が出て来るのを待ってる。
そう、私の下半身を丸齧りしてボリボリ食べた地龍のゴンちゃんのお尻から現物が出て来るのを待ってるのだ・・・。
(マスタ・・・デソウダ)
「頑張ってー」
ぷりっ・・・
「・・・」
(・・・)
「・・・」
(ダメダッタ・・・)
「うん、慌てなくて良いよー」
「今の体格と鎖鎌の間合いにも慣れてきたからある程度の魔物なら私が殺してやるよ、ただ・・幼くなっちまったこの身体は筋力が無いから数が多くなると不利かもしれないね」
ペトラさんは先程から自分の武器である鎖鎌を振り回し、木の枝を次々と斬り落としてる、身長が縮んだからズボンの裾を折り返し、上着は予備の鎖を巻いてずり落ちないようにしてる、見た目は幼女だけど結構強そうだ。
「首や腰も痛くなくなったし、体も自由に動く・・・本当に若返っちまったのかねぇ、だが・・・また10代からやり直せるのか、本来の寿命のままか・・・」
「ごめんなさい、その辺の事は全然分からないの」
「いいさ、街に帰ればギルドで調べる事もできるだろう、それに魔物に詳しい魔女様なら何か知ってる可能性もある」
(・・・マスタ・・・フンッ!)
「何?、ゴンちゃん」
ぷりっ・・・ぶりゅぶりゅっ!、ぼふぉっ!・・・ぼふぁっ!
びちゃっ!、ぼたぼたっ!
「わひゃぁぁぁ!」
ゴンちゃんのお尻からう⚪︎こが勢い良く飛び散った!、勢い余って近くに居た私の頭にも!。
「わぁぁぁん!、臭いよぉ!」
ぷーん・・・
「・・・あった・・・うぅ、臭い・・・これを付けるの嫌なんだけど」
(マスタァ・・・ワタシノツガイ・・・スキキライオオクテ・・・クダモノタベナイ、ニクシカタベナイカラ・・・ウンコトテモクサイ)
ドラちゃんの声が頭に響くのを聞きながら、強烈な悪臭に耐えて大量のう⚪︎この中からようやく見つけた足枷2つ・・・でも・・・。
「これはどうやって付けるんだい?」
腕で鼻を押さえながらペトラさんが私に聞いた。
「幼い頃にお父様に付けられたから分かんない、それに二度と外れないって言われたの」
私の目の前にはどうやっても足首に嵌るとは思えない枷が2つ。
「足首を切り落として・・・」
「ペトラさんなんて事言うの!」
ペトラさんが恐ろしい事を言い出した、この人顔に似合わず脳筋だ・・・。
「手首になら付くんじゃないか?」
ぷーん・・・
「確かに嵌まりそうだけど・・・臭くてやだなぁ、洗ってもこの臭い落ちなさそう」
「だがここで悩んでても仕方ないだろう」
ぷーん・・・
「・・・」
私は息を止めて手首に嵌めた・・・。
「嵌った、少し緩いけど腕を振り回しても大丈夫そう・・・でも超臭いし、川で洗いたいな・・・」
ぶぉん!
「わ・・・羽根が縮んだ」
枷から鈍い音がして両腕を広げたより大きかった背中の羽根が半分くらいに縮んだよ!。
「まぁ、背中に生えてるから消えはしないと思ってたよ、だがこれくらいならリュックを背負うかローブを着れば分からないんじゃないか?」
「うん・・・でも服が無いの!」
「確か2つ目の橋がある川の側にでかい木の葉が・・・」
「木の葉で隠すなんてやだよ!」
(マスタァ!・・・アブナイ!、ウエ!)
ペトラさんと話していると突然ドラちゃんの声が頭に響いた・・・。
「え、上?」
ばさっ!ばさっ!ばさっ!
くえぇぇぇ!
空を見上げると巨大な紅い鳥?・・・いや違う・・・あれは。
「やばい!、炎龍だ!、カリンちゃん!」
がしっ!
つかみっ!
「わひゃぁぁぁ!」
くえぇぇぇぇ!
「あぁぁぁぁ!」
くえぇぇぇぇ!
「ぁぁぁ・・・」
くぇぇぇぇぇ!
「ぁぁ・・・・」
ぇぇぇ・・・
「ぁ・・・」
ばさっ!、ばさっ!
くぇぇぇぇぇ!
「わぁぁぁん!、怖いよぉ!」
しょわわわぁぁ・・・
ぽたぽたぁ・・・
紅い龍に両肩を掴まれて今私は空を飛んでいる!、全裸でおしっこを撒き散らしながら!。
急上昇しているのか一瞬で森の木が小さくなって、あんなに広いマキシマ川や巨大な円形の外壁を持つマキシマの街が手のひらくらいの大きさに見える・・・。
それに寒い!、超寒い!。
ここはおそらく大深林の真ん中を通ってる山脈の中腹、高ランクのハンターでもまず来る事が出来ない超危険地帯・・・周りは雪が積もって真っ白だ。
くぇぇぇぇぇ!
ばさっ!、ばさっ!
どさっ!
「あぅ!」
乱暴に降ろされた場所は雪に覆われた洞窟・・・考えたくないけど龍の巣だ、捕まえた獲物を持ち帰って巣の中で食べようとしてる?、もちろん獲物っていうのは私だけど!。
フルフル・・・
「ワタシオイシクナイヨ・・・」
がぶっ!
どすどす・・・
・・・
・・・
「はぁ・・・私にどうしろってんだい・・・」
私の名前はペトラ・ヨウジョスキー。
ギルド長のからの指名依頼で大森林の異常を調査する為に現場に来た、でかい音と揺れは最近仲良くなったカリンちゃんが魔物に覚醒した時の魔力暴走が原因だった。
カリンちゃんは人間から魔物に覚醒した吸血族・・・これは報告するとまずい、吸血族の出現は大厄災だ、帝国の騎士団が動いてカリンちゃんを討伐するだろう。
騒動の張本人、カリンちゃんは今私の目の前で炎龍に連れ去られた、魔物の大暴走ならこの辺りまで龍族が出ても不思議じゃない、おそらく餌として巣に連れ帰って食うんだろう・・・まぁこれに関してはあまり心配していない。
「よかったねカリンちゃん、また眷属が増えるよ・・・」
私の予想では半日もすれば炎龍の背に乗って帰ってくるだろう・・・。
先に眷属にした地龍2頭はカリンちゃんを追って連れ去られた方向に歩いて行った、まぁ、あれもカリンちゃんが大人しくしてろと命令していたから大暴走の時には出て来ないだろう。
有事の際は街の北東・・・刻を告げる砦の周辺は魔女様が魔物を迎え撃つ事になっている、私は魔女様に直接会った事はないし実力も知らないが古くから街に住んでる奴等が絶対に大丈夫だって言うのだからそうなんだろう。
問題は街の西側だ、マキシマ川を超えて来た魔物は今街に残ってるハンターで対処しないといけない、だが・・・それもカーマの奴がなんとかするだろうさ。
指名依頼も果たしたし、一人でこんな場所に居ても仕方ないか・・・。
「さて・・・大暴走に巻き込まれたら面倒だ、魔石を拾いながら街に帰るかねぇ」
私はここに来た時よりも重くなった鎖鎌を腰に付け、街に向かって歩き出した。
「ギルド長、マキシマ橋周辺と街の周囲にハンター及び衛兵の配置、終わりました、半日おきに交代で警備を行います」
「そう、ありがと・・・領主様の騎士団は北西・・・大森林寄りに配備されているわ、何かあれば協力して戦ってね」
「はい・・・あの、必要ないと言っていた魔女様の屋敷の警備は・・・」
「しなくていいわ、魔女様は姿を見られるのを嫌うの、砦の周辺にも行っちゃダメよ」
私の名前はカルマ・カメレオーン、マキシマの街にあるハンターギルドの長よ・・・カーマって呼んでね。
今私は街の緊急事態マニュアルに従い領主を通じで帝国に魔物暴走の発生を伝達、駅と外壁にある4つの門を閉鎖して戦力を集めたわ。
数人の部下と共に街の外壁に登り川の向こう・・・大暴走の前兆がある森を監視しているの。
領主様と作戦は打ち合わせ済み、森に出ている最後のハンター、ペトラさんとチャールズちゃんが帰還したら後は魔物が湧き出て来るのを待つだけ・・・。
「うふふ・・・久しぶりに全力を出して戦えそうね・・・」
がやがや・・・
わいわい・・・
「魔物の大暴走だってさ」
「駅は閉鎖かぁ・・・仕事終わったからシーマの祭りに行こうと思ってたのによぉ、後5日、フィナーレに間に合うかな」
「街の連中はみんな落ち着いてるが本当に大丈夫なのかよ?」
「お前はこの街に来て4年くらいか・・・なら不安だろうな、だが魔女様が守って下さるから大丈夫だぜ」
「そうじゃぞ・・・儂は32年前の大暴走をこの目で見ておった・・・僅か数日で森から出て来た魔物が全部死体になっておったわ」
「マジかよ爺さん!」
「・・・魔女様長い間留守だったし、居ない間に暴走が起こらなくてよかったぜ」
「それな!、8年も留守にする事は今まで無かったから、もう帰って来ないんじゃないかって噂になってたな」
がやがや・・・
ざわざわ・・・
「街に残ってるハンター全員で大暴走の警備かぁ・・・俺もシーマに遊びに行けばよかったぜ」
「いいじゃねぇかよ、魔女様の倒した魔物の死体、回収すれば利益の半分くれるってよ」
「そうなのか?」
「ギルドの受付嬢が言ってたぜ」
「そうか・・・なら遠慮なく儲けさせてもらおうか」
シャリン・・・
シャリン・・・
「あ・・・ギルド長だ」
「あぁ・・・すげぇ杖だな、完全臨戦体制ってやつだ」
「羽織ってるローブも高そうなやつだな・・・畜生!、男の俺から見てもかっこいいぜ!」
「あの杖、オースター帝国の皇帝陛下から貰ったって聞いたぜ」
「マジかよ、ギルド長って何者だよ?」
「知らないのかよ新入り、元オースター帝国、近衛騎士団長様だぜ」
「嘘だろ!、近衛騎士団長って騎士のトップだぜ!」
「本当だ、若くして帝国魔術師の頂点に上り詰め、将来は大魔導師の称号を得る筈だった」
「そんなヤベェ奴が何でこんな辺境でギルド長なんてやってんだよ!」
「知らん・・・噂では問題を起こしてクビになったらしい」
「あぁ・・・俺知ってるぜ、ギルド長って顔が良いのに中身アレだろ、言い寄って来る女を全員振って恨み買ったんだと、それで、やってもない罪を着せられて・・・って感じ」
「・・・」
「確かに理不尽だけどよ、今は毎日が楽しそうだしイキイキしてるよな、マッチョな男が沢山居て良い街だわぁ・・・って」
「あぁ、俺もそれ言ってるの聞いた、可愛い男児は目の保養よ、でも手を出しちゃダメ、眺めて楽しむの・・・って」
「・・・ヤベェな」
「あぁ」
「あ、ギルド長がこっち見たぞ」
「手を振ってみろよ」
ふりふり・・・
「振り返してきたぜ!、それに投げキッスされたぞ畜生!」
読んでいただきありがとうございます。
初小説です。
諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。
趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。
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