Side - 15 - 4 - おねがいがあるの -
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こんにちは田中太郎と申します。
父親の尊厳が損なわれたでござるが、拙者・・・いや私達家族は娘と思われる女の子と向き合ったでござる。
ようやく泣き止んで、目は真っ赤だし鼻水が垂れて酷い状態でござるが、ローブの袖で顔をゴシゴシ拭いて・・・、その行動も理世たんにそっくりでござるな、汚いからやめようね。
「改めまして、お父さん、お母さん、龍之介、みんな久しぶり!、恥ずかしながら、一度は死んでしまいましたけれど、田中理世、帰ってまいりました!」
一度は死んだけど帰って来たって一生に一度は言いたいセリフでござるな、言えるのはゾンビくらいでござろうが。
「みんなに会ってすぐにこんな事をお願いするのもアレなんだけど、先にどうしても急ぎでお願いしたいことが一つあるの!」
なんでござろう、どうやって生まれ変わったのか、どんな事をしてここに帰って来たのか、その姿は何だとか、色々と聞きたい事もあるのでござるが、可愛い娘の頼み、聞くでござるよ。
「いいでござるよ、言ってみるでござる」
娘は心からほっとした表情になったでござる。
「私のスマホはある?」
「いや、まだ警察に預かってもらってあるでござるよ、葬式も終わったしマスコミも落ち着いたからもうちょっとしたら遺品として荷物を全部取りに行く予定になってるでござる。
娘の表情に焦りが見えたでござる、早く引き取っておいた方がよかったでござるか?。
「お葬式とか色々バタバタしてるだろうからって遠慮してギリギリにしたの失敗したぁ!、一度戻った過去の時間より前には行けないんだよなぁ、スマホあると思って今日に設定したのに・・・、じゃぁ私のノートパソコンある?、お願い持って来て、私は触れないから操作して!、パスワードは「otomodatchigahosii」ね、スペルは・・・」
「あ、パスワードは知ってるでござるよ、理世たんが死んじゃった後、机の引き出しを見たら色んなパスワードを書いた紙が入ってたからそれで開いた事があるでござる」
拙者、何かまずい事を言ったのでござるか?、娘から表情が抜け落ちたでござる、首を右にコテンと傾けて・・・可愛いけどちょっと怖いでござるよ。
「お父さん私のパソコンの中を見たの?」
「いや、武士の情け、ダウンロードフォルダと写真フォルダは見ていないでござるよ」
葬式のお供えをもしゃもしゃ食べていた妻が口を挟んだでござる。
「あー、私見たわ、娘が腐ってなくて安心したけど、あの趣味はどうかと思うよ」
そして息子も・・・。
「お姉ちゃんごめん、僕も見た・・・」
妻と息子は鬼でござったか。
娘が頭を抱えて悶えながら「あーもう死にたい!」って叫んでるでござる、理世たんもう死んでるではござらんか、そんなデリケートな画像があのフォルダに入ってたのでござるか?、ちょっと興味が出て来たでござるよ。
「それどころじゃなかった、お父さん!、パソコン開いたら原○っていうショートカットあるから、ゲームを開いて!、パスワードはパソコンと同じ!、そこでピックアップガチャやってるからナ○ーダちゃん引いて!、そう、私の新しい嫁になる子!、お父さんも一緒にやってたから分かるよね!、ほらその草元素の・・・緑色のちっちゃい子!、ピックアップ始まる前に死んじゃったから引けてないの!、楽しみにしてたの!、石はその子の為にすっごい頑張って溜めてたからお迎えするまで回して!、これだけ石があったらすり抜けても絶対お迎えできる筈なの!、凸もいくつかできるの!、私日頃の行いが良いから武器もいけるかもしれないの!、もう明日には終わっちゃうの!」
拙者の娘は○神のナヒー○ちゃんの為に生まれ変わって戻って来たのでごさるか?、でも・・・もう二度とできないと思っていた娘と一緒にゲーム、楽しいでござるな・・・。
葬式の時に余った酒を瓶から直で飲んでいた息子が言ったでござる。
「お姉ちゃんすごいね、僕には言ってる事が何一つ分からないよ」
読んでいただきありがとうございます。
初小説です。
諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。
趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。
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