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Side - 16 - 28 - まるこーさん きしになる -

Side - 16 - 28 - まるこーさん きしになる -



もっもっ・・・


「美味いな」


「あぁ、すげぇ美味い」


「今日はこの家の奥様のお誕生日会で、私達にもお裾分けなんだって」


「セシル嬢ちゃんは参加しなかったのかよ」


「うん、誘われたけど私は部外者だから丁寧にお断りしたの・・・っていうか上級貴族様のパーティに参加なんて私には無理だよぅ」


俺の名前はマルコー・ヨウジョスキー、長く下水路で暮らしていたが訳あってお貴族様の護衛として雇われている。


ここでの暮らしは快適だ、飯は美味いし騎士の独身者用宿舎だが部屋は個室が用意されている、それに俺の攻撃魔法はそこそこ強いから訓練は苦にならねぇ。


だから今はお貴族様に仕える礼儀作法を勉強中だ、これで給金が貰えるんだから笑いが止まらないぜ。


俺の隣で豪華な飯を貪っているのは同じく護衛として雇われたベニー・ショウガァ、こいつもやたらと喧嘩が強い、今は騎士達に混ざって格闘技術を鍛えている。


ちなみに俺達はこの屋敷で世話になっているが2人とも王国が雇い主でこのシェルダン家には出向という扱いらしい。


俺達の横でベッドに座って飯を食っているのは護衛対象のセシル・ミューラーだ、この嬢ちゃんは王都の路地裏で倒れてるところを俺が拾って保護していた。


あの時この嬢ちゃんを見捨てていたら俺は今も下水路で残飯を漁る生活をしていただろう、人生何が起きるか分からねぇな。


コンコン・・・


「あれ、誰か来た・・・はぁーい、どうぞー」


がちゃ・・・


「あ、ご当主様・・・」


いきなり当主が来るとは珍しいな、俺とベニーは食うのを止めて立ち上がり敬礼した。


「食事中にすまないね、そのままで聞いて欲しい、とある人物がセシルちゃんに謝罪したいって言ってるのだけど部屋に通しても良いかな」


「あ・・・はい、私は大丈夫です」


「じゃぁ俺達は・・・じゃなくて私達は席を外します」


誰かは知らねぇが謝罪する所を俺たちに見られるのは気まずいだろう、そう思って部屋から出て行こうとした。


「いや、君達は護衛だから立ち会ってもらっても大丈夫だ、というか後でその人物から話がある、ここに居てくれ」


居て良いのか?、俺とベニーは食い物の乗っているテーブルを持って部屋の隅に移動した。


がちゃ・・・


「おーい、入って来てくれ」


当主様の合図で部屋に入って来たのは貴族っぽい感じだが地味な服装の男が一人と女が二人、男はどこかで見た気がするんだが思い出せねぇ、それから女の方の一人はこの家の奥様だ。


「ひっ・・・」


セシル嬢ちゃんが慌てて立ち上がろうとした、ちょっと待てお前は足を怪我してるだろう!。


「あぅ・・・」


「危ねぇ!」


転びそうになった所を俺が駆け寄って助けた、もうちょっと遅れてたら顔から転けてたぞ・・・。


「驚かせて申し訳ない、そのままベッドに座って話を聞いて欲しい」


「・・・へ・・・陛下?」


フルフル・・・


嬢ちゃんが小刻みに震えている、それに陛下だと!・・・まさか俺の目の前に居る男は・・・見覚えがあると思ったらこいつは中央公園の真ん中で偉そうに建ってる馬鹿でかい像の男だぜ畜生!。


「今日はお忍びだからこんな格好なのは許してほしい、セシル嬢にどうしても謝罪したかったのだ」


「ひ・・・ひゃい・・・」


ダメっぽいな、緊張で頭がまともに回ってねぇ・・・。


「おい嬢ちゃん、聞こえてるかー、陛下が喋ってるぞー」


ペチペチ


俺は嬢ちゃんの頬を軽く叩いた。


「だ・・・大丈夫でしゅ」


全然大丈夫じゃなさそうだが!。


すっ・・・


陛下と名乗る男とその後ろの綺麗な女性がセシル嬢ちゃんの前に進み出て頭を下げた。


「国の都合に巻き込み、君に酷い怪我までさせてしまって申し訳ない!」


「ひぃぃぃ!、陛下・・・頭を上げてくだしゃい・・・そそそそそ・・・そんなことをされてはここここ困りましゅ!」


「君の今後の生活は王家が責任を持って保証させて貰う、それと何か我々にできる事があれば遠慮なく言って欲しい、可能な限り希望を叶えよう」


「ひゃい・・・」


続いて当主と奥様もセシル嬢ちゃんに頭を下げた、どうやら自分の娘を囮にする事を拒否した為に容姿が似たセシル嬢ちゃんに代役の話が行ったようだ。


俺は謝罪する奥様をぼんやりと眺めていた、この人は見た目こそ気が強くて冷酷そうなのだが中身はポンコツだ・・・と、この家の騎士達の間では有名な話らしい。


「おい・・・ちょっと待ってくれ・・・嘘だろ!」


俺はある物に気付き思わず声を上げちまった!。


奥様が今日首に付けているネックレス・・・動物の牙を使って作られているように見える、それに繊細な細工が施されて・・・。


いや待てそれどころじゃねぇ!、声に驚いたのか、この部屋の中に居る全員の視線が俺の方に集まってるぜ畜生!。


「も・・・申し訳ありません・・・つい声が出てしまいました、その・・・奥様の付けているネックレス・・・私の生き別れた母親が作ったものに似ているような気がして思わず声が・・・」


「え・・・これ?」


奥様が首を傾げてネックレスを外した。


「これは私達が結婚した時にインフィーから貰ったやつだな」


「うん」


「確か・・・フローリアン王国の雑貨店で買ったと言ってたぞ、詳しい事は忘れたが・・・」


当主様が難しい顔をしながら言った。


「じゃぁインフィー呼んで話を聞くか?、いつもの客間だよな」


そう言って陛下が部屋から出ていった、おい、仮にも陛下だぞ、使い走りさせるなよ。






「確かにこれは私がフローリアン王国にあるシルヴィアの街で買った子宝に恵まれるお守りね、懐かしいわぁ」


「こっ・・・子宝ぁぁぁ!」


陛下に連れられて部屋に入って来た女が奥様のネックレスを見て言った、燃えるような赤い髪、透き通った淡いグレーの瞳、薄い褐色の肌・・・やたらと威圧感がある、こいつも只者じゃねぇだろう。


子宝のお守りだと聞いて奥様が顔を真っ赤にしている、効果を知らずに付けてたのかよ!、ポンコツという話はどうやら本当のようだ。


「・・・貴方、お名前は?」


女が何故か俺の目を見て名前を尋ねた、この部屋にはベニーも居るのに話題の中心人物が俺だと確信しているようだ・・・それにしても貫禄があり過ぎて怖ぇ、声をかけられただけで震えそうになるって何だよ!。


「マルコー・ヨウジョスキーと申します」


「生き別れた?・・・お母様のお名前は?」


「ペトラです・・・ペトラ・ヨウジョスキー」


「うふふ、やぁっと見つけたわぁ・・・こんな所に居たのね」


「・・・それは・・・どういう意味で?」


「こいつ・・・いや彼女、今日はお忍びで来てるのだがラングレー王国の女王陛下だよ」


「なぁぁっ!」


当主様が目の前の女性の正体を明かした・・・ラングレー王国の女王陛下がなんで俺を探してやがるんだ!・・・って、身に覚えは確かにある、俺はラングレー王国の貴族を一人殺してるからな。


俺は捕まるのか・・・やっといい職を見つけて平和に暮らせると思ったのに・・・。


「このお守りを買ったのはペトラの雑貨店っていうお店でね、店主のペトラさんとは初対面で意気投合してお友達になったのよ、今でもお手紙をやり取りしてるし、新作のアクセサリーが出たら買ってるわ・・・ほら、これもペトラさんの作品、頭痛を和らげて安眠できるそうよ」


女王陛下が薄い胸元に手を入れてネックレスを取り出した、奥様のより更にでかい牙だ、まさかドラゴンの・・・それに細工の緻密さが増してるな。


「あの・・・母は今どこに・・・」


女王陛下に俺の方から直接話しかけて大丈夫なのかは分からねぇが思わず聞いてしまった、確かデボネア帝国の皇帝にやると不敬罪で首が飛ぶと教わったな。


「今はオースター帝国のマキシマっていう街でお店を開いてるわ、ペトラさんは私が女王だとは知らないから言っちゃダメよ、私はエイノ商会の代表、インフィー・ヴィラって事になってるから」


「マキシマ・・・そういえばリゼたんがその街に明後日行くって言ってたな、一緒に行って会って来るといい」


当主様が俺にそんな提案をした、話が急展開で思考が追いつかねぇがお袋に会えるのか?・・・今までどんなに探しても見つからなかったのに、こんな簡単に・・・。


「ペトラさんはずっと貴方を探していてね、各国を旅してる商人やハンター達に貴方の特徴を教えて伝言を頼んでたのよ、「死ぬ前に一度でいいから顔を見たい、マキシマの街の雑貨屋ペトラに居るから会いに来て」だそうよ」


「あぁぁぁ!、マルコー、良かったなぁぁ!」


ベニーの奴が泣きながら俺に抱きついてきた、汚ねぇな!、鼻水が垂れてるぞ!。


「では決まりだね、君には10日ほど休暇をあげよう、母君としばらく過ごして帰りはリゼちゃんに迎えに来てもらうといい」


陛下が俺に休暇をくれた・・・俺の雇い主は国だから国王が休んでいいと言うならお言葉に甘えようか。


「そういえば君たち2人に話があったのだ、略式で申し訳ないが騎士の任命がまだだったから今やろうと思う」


「へ?」


「2人は非常勤だが国に所属する騎士という事になる、だから今日から君たちの身分は騎士で、爵位も1代限りだが持つ事になるよ、これは騎士達の安全の為でもある、爵位を持つ者への暴力行為は罪が重くなるからね」


ちょっと待て、ついこの間まで下水路で生活してた男が爵位持ちになるって何の冗談だよ!。


「そこに跪いてね・・・すぐ終わるから(ニコッ)」


戸惑いながらも俺とベニーは陛下の前に跪いた。


「第31代ローゼリア王国国王、エルヴィス・ディアマンテ・ローゼリアの名においてマルコー・ヨウジョスキー、ベニー・ショウガァ両名を騎士に任命する、今後は騎士としての誇りを持ち、国の為に尽くせ」


「はっ、謹んで拝命します!」


こんな時、何を言えば良いのか分からねぇからとりあえずそれらしい事を言ってみた。


「別に騎士団本部に顔を出さなくていいし、紛争地に駆り出したりしないから安心して欲しい、君たちの任務はここに居るセシル・ミューラーの護衛、騎士団名簿に名前は入るけど他の仕事はしなくて良い、後日この屋敷に騎士の身分証を送るから受け取りなさい」


そうなのか、・・・まぁその方が気楽でいいか。

読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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