Side - 15 - 3 - おとうさんがおこった -
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こんにちは田中太郎と申します。
・・・拙者のうちの魔法陣から女の子が出て来たでござる!。
拙者が・・・いや私がアニメに夢中になった頃から夢見て憧れたシチュエーション、でも今は娘を失った悲しみが大きく喜べません。
「おーい?」
「もしもーし」
「あれ?聞こえてないのかな、いつものお父さんなら「拙者の夢が叶ったでござるよ!、理世たんも見るでござる!」って目をキラキラさせるのになぁ」
「お父さーん、私が誰かわかるー?」
女の子が何か言ってるでござる、でも何で私のことをお父さんと呼ぶのでござるかな?、何か答えた方がいいのかな?。
拙者・・・じゃなかった私は女の子に答えたでござる。
「・・・いえ、知らない子ですね」
女の子は悲しそうな顔をしました、え?拙者が悪いのでござるか?、知らないから知らないって正直に答えたのでござるよ。
すぐに悪戯っぽい笑顔になった女の子は魔法陣の上に立ったまま身体をくるりと一回転し、私に顔を近づけて言いました、近い!、近いでござる!。
「・・・では改めて自己紹介を、私の名前はリーゼロッテ・シェルダン15歳、あなたの娘、田中理世の生まれ変わりだよ、お父さん」
拙者・・・いや私の頭の中が怒りで真っ白になり、思わず怒鳴ってしまいました、こんなに大きな声を出したのはいつ以来でしょうか。
「っ・・・ふざけるな!、タチの悪い冗談はやめろ!」
女の子は魔法陣の上でぺたんと女の子座りをして、呆然としていました、しばらくすると片方しか出ていない目に涙が溢れ出して・・・。
「・・・あぁぁぁぁぁぁ、お父さんが怒ったぁー、うわぁぁぁぁん!」
えぐえぐと上を向いて鼻水と涙を垂れ流しながら号泣する女の子・・・汚い泣き方でござるな。
こらこら袖で拭いちゃだめだ、鼻水が糸を引いて・・・、まるで幼い頃の理世たんみたいでござる・・・いやあの子は大人になってもあんな泣き方してたっけ。
女の子に手を触れようとすると・・・あれ?、手が通り抜けた、よく見ると透けてるでござる!。
結局5分くらい女の子を眺めてたでござる、理世たんも泣き止むまでこれくらい長くかかったでござるよ、それでもう少ししたら「ひっくひっく」ってしゃくりあげて・・・。
「ひっくひっく」
・・・同じでござる。
その時、突然拙者・・・じゃなかった私の後ろの襖が開いて。
「娘を亡くした旦那が幼女を誘拐して泣かしてる件」
不穏な言葉を呟きながら妻が入って来たでござる。
妻は泣いている女の子をじっと見ながら。
「お嬢ちゃん、その眼帯の絵は?」
女の子が答えたでござる。
「えっぐ・・・ひっく・・・お母さんがぁ、頭振りながら聞いてた・・・も・・・モーターヘッドのCDのやつ、理世がぁ・・・これかっこいいねって・・・言ったらぁ、お母さんが・・・「こ・・・このかっこよさが分かったらぁ・・・理世もこっち側の人間、レミー最高」って、それで・・・私の今のお母様と・・・一緒に刺繍してつくったの・・・」
「お嬢ちゃん、うちの理世はいくつまで寝小便してた?」
「うぐぅ・・・ひっく・・・お母さんひどいのです、中学2年の冬に・・・し・・・したけど・・・・あれは・・・理世がやだって言ったのに・・・ぐすっ・・・お父さんが・・・「ちょっとだけ・・・ちょっとだけ」って・・・言ってぇ・・・無理やり最後まで「死霊のはらわた」見せられた・・・からぁ・・・あれ死ぬほど怖くて・・・おしっこ行けなくてぇ・・・」
「お嬢ちゃん、うちの旦那があたしに隠してること何か知ってるかい」
「・・・知ってるのです・・・お父さんの・・・・寝てるお部屋の・・・・絵の裏に・・・フィギュア買う・・・・ヘソクリだって言って・・・・に・・・20万くらい・・・お母さんには黙ってろって・・・私に2万円・・・くれたの・・・あと・・・・押入れのぉ・・・み・・・右にある・・・衣装箱が上げ底に・・・なっててぇ・・・・そこにぃ・・・ひっく・・・ちっちゃい女の子・・・ロリ専門誌の・・・え・・・えっちな本がいっぱい・・・ほ・・・他にわぁ・・・ベッドの・・・」
「待つでござる!、それ以上いけない!」
「・・・ダーリン、こいつうちの理世だわ、それと、ちょっと後でお話ししようか」
恐る恐る妻の顔を見ると、顔をぐしゃぐしゃにして涙と鼻水垂れ流してるでござる、その後ろには同じように涙と鼻水を垂れ流してる息子・・・まずいでござる、息子にも聞かれたでござるか?、父親の尊厳が・・・。
読んでいただきありがとうございます。
初小説です。
諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。
趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。
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