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Side - 16 - 13 - てぃな・ぶれっと -

Side - 16 - 13 - てぃな・ぶれっと -



私の名前は騨志勝雄だしかつお50歳、この国の内閣総理大臣だ。


「総理、この建物から隣のビルまでおよそ100mほど歩いて下さい、おそらく犯人が動くと思います」


久露鬼猫介くろきねこすけくんが私に話しかけた、私は先の狙撃の後、数日休養をとり今日が公務再開という設定だ、経済団体との会合で都内某所に来ている。


「分かった・・・本当に大丈夫なのかな?」


今私は会合が終わり、公用車で首相公邸に戻るところだ、いつもなら会場の地下駐車場から目立たないように移動するのだが今日は囮だ、派手に動いた方が敵も狙いやすいだろうとアメリア様に言われて隣のビルまで歩いて移動している。


私の前には警視庁から来てくれたSPが数名、右隣には久露鬼猫介くろきねこすけくん、すぐ後ろには狗神天空いぬがみてんくうという人物が歩いている・・・それにしてもこの狗神という男は薄気味悪い、ずっとブツブツと何か呟いているし相変わらず顔色が悪い。


それから今日は星噛紗耶香ほしがみさやかは留守番だ、代わりに少し離れた場所で薄刃沙霧うすばさぎりさんが私を見守っている、犯人が動いたら彼女が現場に向かって捕まえるらしい。


「止まれ・・・我の左、ビルヂングの上にて殺気有り、あるじ殿、薄刃の姫を我が視線の先に転移させよ」


狗神天空の声がして振り返ると薄刃沙霧うすばさぎりさんの足元に魔法陣が現れ姿が消えた、その後、狗神天空いぬがみてんくうも地面に溶け込むように消えてしまった。


・・・誰にも見られてないだろうな・・・いや、転移の時はアメリア様が認識阻害の幻術を使うと言っていたから大丈夫か・・・私の前に居るSP達は気付いていないようだ。


「このビルの地下駐車場に車があります、あとは沙霧さん・・・薄刃警部補に任せて帰りましょう」


「そうだね・・・命を狙われるというのは恐ろしいな、ストレスで寿命が縮まりそうだよ・・・」












私の名前はティナ・ブレット、14歳の女の子です。


今私の脳内は英語で思考しているのだけど、謎の力が働いて皆さんには言葉が通じていると思います。


ボスから連絡があり、もうすぐ指定の場所を暗殺対象が通るのです、私は3時間前からここで待機していてとてもお腹が空きました、・・・私、このお仕事が終わったら迎えに来てくれた組織の人からお金を借りてお腹いっぱいモスバーガーを食べるんだ・・・。


「It's late・・・」


組織から私に貸し与えられたライフル、レミントンM2010ESRに付いているスコープで下の様子を何度も眺めます、早く来ないかなぁ・・・お手洗いにも行きたくなって来たし、集中力が途切れると標的を外してしまいそう・・・今日は絶対に失敗できないのに・・・。


更に1時間が経ちました、早く来てよ・・・。


そわそわ・・・もじもじ・・・


ビルの隙間から見える歩道に護衛らしい人物が数人現れて周りを警戒し始めました、でもここは目標から1000ヤードくらい離れてるの、まさかこの場所から狙撃するとは思わないでしょう、そう、私は狙撃が得意、このくらいの距離なら大丈夫・・・。


「The target has arrived・・・」


狙撃対象が現れました、今日はいつも私の邪魔をする背の高い女が居ない、私は運がいい・・・。



「ひっ!」


ターゲットの隣を警護している薄気味の悪い男が振り返り私の方をじっと見ています・・・嘘・・・バレちゃったの?、でも狙撃しなきゃ・・・失敗したら私は・・・。


チャッ・・・


スコープを覗き、銃の引き金に指を添え・・・ターゲットに狙いをつけようとした時・・・。


「見ぃーつけた」


後ろから女の声がしました、慌てて振り向くと東洋人・・・黒髪の女性が笑顔で立っています、彼女はカバンから何かを取り出し私に向かって・・・。


がおぉおん!


どごっ!


「ひやぁぁ!」


今の「がおぉぉん!」は銃声、「どごっ!」は私の頭のすぐ隣のコンクリートが砕け飛んだ音です、女性の手には超大型の拳銃、それを両手で構えて何か日本語で喋っています。


「逃げないで、動いたら当たらないじゃない!」


がおぉおん!


どごっ!


がおぉおん!


ぐわしゃっ!


がおぉおん!


ぱぁぁん!


私を狙って女が銃を撃ちます、組織で鍛えられた身体能力で間一髪で躱しますが私のすぐ横のコンクリート壁が砕かれ、排気ダクトや室外機のパネルが吹き飛びます、この人私を殺す気だ!。


ちゃっ・・・


女性が銃を撃つのをやめて私に話しかけます、もうちょっとで狙撃用ライフルに手が届く距離・・・。


「動かないでね、今あなたは考えているでしょう、私がもう6発撃ったか、まだ5発か・・・実を言うと私も夢中で忘れちゃったの、でもこの銃はS&W M29・・・弾は44マグナムで貴方の頭なんて1発で吹き飛ぶわ、でも運がよければ死なずに済むかもね」


「あ・・・」


震える声で私は女性に答えます・・・あぅ・・・怖くて涙と鼻水が出て来ましたぁ・・・。


「ワたし・・・に・・・ニホんご・・・ワかりマせーん!・・・」


ボスから警官に絡まれたらこう言えと教わった言葉を彼女に伝えます・・・あれ?、もしかして凄く怒ってる?。


「Do not move!・・・I know what you're thinking. Did she fire six or only five ?・・・・・・・・・」


ご丁寧に英語で言い直してくれました・・・とてつもなく怖い内容だけど!。


フルフル・・・


女性はまだ銃を私に向けて構えています、満面の笑みでジリ・・・ジリと私に近付き・・・引き金に添えた指に力を込めて・・・やだ!、死にたくない!。


「pray to god・・・」


「ひっ!」


かちっ!


しょわしょわぁぁ・・・


ほかほかぁ・・・


弾は撃ち尽くしていたようです・・・でも限界まで我慢していたおしっこを漏らしてしまいましたぁ・・・。


「あぅ・・・うぅ・・・ぐすっ・・・ひっく・・・わぁぁ・・・」


恐怖と羞恥で涙や鼻水が止まりません・・・でも逃げないと・・・銃の弾は切れているから今がチャンス、でも腰が抜けて立てません、震えながら女性の方を見ると・・・彼女の足元の影が盛り上がって人の形に・・・。


ずずっ・・・ずずずっ・・・


「・・・ひっ」


「気持ち悪いので私の影から出て来ないでください、狗神様・・・」


「・・・我を崇めよ」


「Worship me・・・, he says」


また通訳してくれました、何で影から人が出てくるの?、それに崇めるって・・・いえ、そんな事考えてる場合じゃないの、早く逃げなきゃ!。


ピンッ


コロコロ・・・


支給品の手榴弾を2人に向かって投げました、大事な銃は・・・持って逃げる暇はないです!、ボスに怒られるけどとにかく逃げるの!。


ずずずず・・・


男が手を翳すと黒い霧のようなものが出て手榴弾を包み込みました・・・。


ぷす・・・


不発でしたぁ!。


「ひゃぁぁぁぁ!」


私は後ろも振り返らないでビルの屋上から逃げ出しました・・・階段の踊り場で転けたり何度も身体をぶつけながら・・・。


「・・・薄刃の姫君・・・あとは我に任せよ・・・」


「でも狗神様・・・あの子逃げちゃいますよ、追わなくてもいいのですか?」


「呪印といぬを付けた・・・ククク・・・我からは逃げられぬぞ・・・」






バタン・・・


はぁ・・・はぁ・・・


私は屋上に居たビルから出て都心を・・・できるだけ人気のない路地裏を選んで逃げました、お漏らしをしているから電車に乗るのは恥ずかしい、それにお金がもう無いの!。


・・・でもお家・・・フロナシヨジョウハンノクソボロアパートに歩いて帰るのは遠過ぎるの・・・。


「ぐすっ・・・うぅ・・・」


身体中が痛い、あの女性の撃った弾が少し掠っただけなのに皮膚が裂けて肩から血が出てる、あんな銃で人を撃つなんて反則なの・・・あぅ・・・何度も転んだから膝もボロボロだ・・・。


私の後ろを何かの気配・・・背筋が寒くなるような邪悪なものが憑いて来ている気がするけど・・・振り返っても誰も居ない・・・怖いよぉ・・・。






はぁ・・・はぁ・・・


ぽろん・・・


ボスからのメッセージが来たけど見るのが怖い・・・失敗したから怒ってると思う、もう私を始末する刺客が送り込まれてるかも?。


私は右手首につけられたリングを見ます、これにはGPSが仕込まれていて組織に現在位置が分かるようになっているの、溶接されているから外れないし、無理に外すと組織を裏切ったと見做されて処刑される・・・これがある限りどこに逃げても私は・・・。


狙撃の現場に居たのがお昼過ぎ・・・歩いてフロナシヨジョウハンノクソボロアパートに着いたのは・・・もう夜明け前だ・・・お腹空いたの・・・。


がちゃ・・・


どたっ・・・


私は扉を閉めて畳の上に倒れ込みました、刺客に備えなきゃいけないのに身体が動かない。


「・・・」


目も開けられないくらい疲れたの、倒れた私の横に擦り寄って来るもふもふが居る・・・多分野良猫のゴルゴだね・・・。


ゴルゴ・・・私もう疲れたよ・・・とても眠いの・・・。


もふ・・・


さわさわ・・・


あれ、ゴルゴ・・・こんなに大きかったっけ?、・・・それに私、入り口の戸を閉めたよね・・・。


フルフル・・・


「ぐるるるる・・・」


ま・・・待って!、これは・・・何?・・・。


勇気を出して目を開けると・・・巨大な黒い犬が牙を剥き出して私の目の前に居ました・・・。


しょわわわぁ・・・


ほかほかぁ・・・


「あぅ・・・ど・・・どぅ・・・どぅ ゆう いぃと ・・・ちゅーる?」


「がう!」


「・・・きゅぅ」


そこで私は意識を失いました・・・。

読んでいただきありがとうございます。


初小説です。


諸事情により恋愛要素はほとんどありません、女性は平たい胸の人しか出てきません、男性は筋肉モリモリマッチョマン多いです、パロディ要素あり、苦手な人は注意してくださいね。


趣味で空いた時間に書いている小説につき不定期投稿です、ストックがあるうちは頻繁に更新しますが、無くなれば週1投稿になる予定です。


面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。

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