第1章 4話 ジョン・ドゥ3世を追え1
翌日、再度指令室に全員集合し
「では、セブンの情報を起点にジョン・ドゥ3世の追跡を開始します。リーダーとセブンは、引き続きジョン・ドゥの捕捉をお願いします。」
とファーストは告げた。
「セブン、いったいどうやってジョン・ドゥの存在を嗅ぎつけたんだ?」
フォースは興味津々に聞くが
「主の役に立つよう働くのが執事の役目、出来て当然の嗜みですよ。」
と当たり前のように答えるセブン。
「そんな事を嗜んでる執事はいねーよ。マジの所どうなんだ?」
「独自の情報網を持っているとだけお答えしましょうか。」
「そりゃ、そうだよな。」
フォースは納得しつつも
「その情報網はニシジマセブンに引き込めないのか?」
「出来ていれば、とっくに引き込んでいますよ。今のところ、私とリーダーしか協力を求めることは出来ないでしょうね。」
残念そうにセブンが答える。
「分かった。これ以上探りを入れるのはやめておこう。そういった事にも敏感だろうしな」
「ご理解頂きありがとうございます。」
そう言い、2人は指令室を後にした。
「リーダー、セカンドとフィフスに現在掴めているジョン・ドゥ3世の詳細を説明頂けますか。」
「分かった。」
ニシジマは立ち上がり説明を始める。
「現在のジョン・ドゥは3代目、つまり3世だな。性別は女性。身内は母親1人だ。父親は死別している。」
「リーダー!リーダー!そこまで調べがついているなんて軽くストーカーみたいで怖いです。でも私の事は、それ以上に知って欲しいです。」
「フィフス???とりあえず、後で締めるわね。」
すぐに話が脱線しかかるが
「ごほんっ!話を続けるぞ。母親は現在難病に掛かっていて、寝たきりの状態らしい。そこに目を付けたゲス部長が治療の手伝いをする代わりにクライアントの座に就いたというわけだ。」
「なら、ゲス部長の信者になっている訳では無いのね。」
セカンドが聞くが
「だが、このままでは時間の問題だろうな。気づけばヤツの信者になっている。精神的に依存しきった状態にされる。そうやって何人もヤツの犠牲になっている。」
「じゃあ、母親の病気にアプローチ出来れば味方に引き込める可能性もあるんですね。」
「そうだ。追跡と同時に味方もしくは最低でも協力関係になれば、今後ゲス部長との闘いでも有利に事を運べるだろう。」
ニシジマがそう言うと
「分かりました、リーダー。だが断る!。」
「何を言っているのフィフス?」
「・・・」
発言の意味不明さにセカンドのお目目が渦巻きになっている。
ニシジマは何かを悟ったような表情だ。
「リーダー!ちなみにジョン・ドゥ3世は美人ですか?」
「まぁ、一般的に見ても美麗な容姿をしていたな。」
「じゃあ、やっぱり駄目です!味方じゃなくて抹殺する方向で行きましょう。」
フィフスはフンスっ!と言わんばかりに発言するが
「ハァ、ダーリン。私も何となく分かったわ。」
セカンドも理解したようだ。
「ちなみに、フィフス?何で抹殺するの?」
「だって、リーダーが母親を助けちゃったりしたら、ジョン・ドゥ3世は絶対メロメロになっちゃうじゃないですか!。ただでさえ、セカンドがいるのに私が入り込む余地が余計減っちゃいますよ!。」
フィフスは当然とばかりに答える。
「セカンド、俺の分まで締めといてくれ。」
「分かったわ、ダーリン。それよりも、ジョン・ドゥ3世の今の状況を教えてくれるかしら。」
フィフスを無視して話が再開される。
「現在、ジョン・ドゥ3世は、ある製薬会社に潜り込んでいる。目的は当然、母親の治療薬だろうな。」
「そうね、でも治療出来るあてはないんでしょう?」
「当てが無くても母親を助けるために可能性を求めるのは、ある意味当然だと思うがな。」
「私が、そうなっても助けてくれる?。」
「当然だ。」
2人の世界が出来つつあったが
「ちょっと、セカンド!リーダー!隙あらばイチャイチャしない!。早く説明して下さい!。」
フィフスはプンプン怒っている。
「セカンド、締める時に呼んでくれ。」
「分かったわ。」
2人はフィフスに制裁を加えるようだ。
「つまり、こちらとしても治療薬を完成させてジョン・ドゥ3世を味方に引き込むのがベストって事ね。」
「ああ、だから2人には同様に製薬会社に潜り込んでもらう。」
「「了解しました!。」」