第2章 ゲス部長の破滅 政界編 7話 踊る道化とマリオネット7
ニシジマが会合を終える頃、ニシジマの執務室に一人の人物が佇んでいた。
「もうすぐリーダーは会合を終える頃かしら。」
襲撃を決行しているはずのジョン・ドゥである。彼女は、ニシジマを襲撃するのでは無く
待ち構える作戦に出たのであった。当然のように、フォースの警戒網は潜り抜けている。
「呆気ないものね。これでリーダーが一人で部屋に戻ってこれば、グサリ・・・ね。」
「そんな事だろうと思ったわ。」
「嘘・・・。なんで居るのよ。」
執務室にセカンドが入ってきた。ジョン・ドゥが潜伏していると確信していたようだ。
「何で分かったの?」
「私なら、このタイミングでここに潜伏するからかしら・・・と言いたいけれど、単なる女のカンよ。何となく、今執務室に行かないとリーダーが危ないと思っただけ。」
「ふぅ、あなたのみみっちい予感に私の作戦は崩されたわけね・・・。組織の犬のくせに本当に信じられないわ。」
「全てはダーリンのためよ。」
「本当かしら。だったら何故・・・。まぁいいわ。あなたに何を言っても無駄だものね。」
「私のダーリンへの愛を疑うのかしら?残念ね。それより、逃げなくて良いのかしら?」
「問題無いわ。想定内よ。」
「そう。なら当初の予定通り、コンクリート詰めにさせてもらうわね。」
「出来るものならやってみなさい。」
ニシジマがアジトに帰ると、執務室が無残な状態となっており
「ジョン・ドゥが出待ちしてたから撃退したわよ。」
「1人で対峙したのか?」
「えぇ、どこかの銃器マニアさんは、やっぱり出し抜かれてたし。私しか気づいてなかったわ。」
「面目ない。諜報担当として恥ずかしい限りだ。」
ぬっと、ニシジマ達の背後に現れたフォースが、謝罪する。
「仕方が無い。相手は伝説のスパイだ。謝罪する時間があるなら事後処理に当たってくれ。」
「・・・・・」
ぬっと、フォースが姿を消す。
「自分の不甲斐なさに、怒り狂ってるわね。悪いクセが出なければ良いけど。」
「フォースなら大丈夫だ。問題無い。」
「分かったわ、ダーリン。それより今回一番の功労者に労いの言葉は無いの?」
「良くやってくれた。愛してるぞ。」
「・・・ベッドまで壊れているのが悔やまれるわね。」
ーーージョン・ドゥ視点ーーー
「くっ、何が女のカンよ!あれだけトラップやギミックを仕込んでおいて、たまたまなはずないでしょう。」
セカンド自身に大した戦闘能力は無いが、事前に執務室に仕込みに仕込んだトラップやギミックを活用して、ジョン・ドゥに深手を負わせた。
「あれほど、残虐で悪辣にトラップを運用出来るなんて・・・流石は、組織の犬ね。私が、この手の話で見習う点があったのは驚きだわ。」
最低限の止血を済ませ、イーア教の本部に向かうジョン・ドゥ。
「最終目的はイーア教を潰すことよね。何ら問題は無いわ。」
ジョン・ドゥの真の目的は、イーア教を解散に追い込む事。つまり、ニシジマセブンが抱き込んだ政治家や資産家の表に出せない情報を手に入れる事で、執務室に潜伏する事すら目くらましに過ぎなかった。
「これだけ、暗殺を匂わせたかいがあったわね。」
アジトの防衛や事後処理に追われているため、イーア教本部は手薄になっていた。そして、まんまとイーア教の重要資料の奪取に成功した。