第2章 ゲス部長の破滅 政界編 4話 踊る道化とマリオネット4
「イーア教の布教は順調のようだな。」
ニシジマは、イーア教のスレを確認しながら、セブンに尋ねた。
「はい、マイロードの計画通りです。資金源となる政治家達も必要数を確保済みです。」
セブンが、いつものように紅茶を入れながら答えた。
「まもなく、ヤツらの駄犬たちがエサに食いつくかと。」
「そうか。いよいよ本番だな。」
「えぇ、我らが待ち望んだ復讐劇がついに始まるという事ですね。」
「ふぇ~。信者の数、多すぎですよ~。」
「フィフス、文句言わないの。」
セカンドとフィフスは、ニシジマ扮する神の化身の直属である使徒として事実上イーア教のトップに君臨している。
そんなおり、ファーストの鶴の一声で、真の教徒にのみ、お面を外し真の姿を現すという企画を実施したところ大当たり。二人の素顔を一目目にしようと、爆発的に信者が増えた。つまるところ、イーア教のアイドル的なポジションに落ち着いた2人は、集金・・・もとい布教活動の一環としてファーストにこき使われていた。
「今回のコンサー・・説法は売上目標1000万円よ。惜しみなく媚びを売りなさい。」
「あ~ん。リーダーになら媚びどころか、体の隅々まで堪能してもらいたいのに。」
「ダーリンのお説教が必要かしら?」
「むしろご褒美です!。・・・あっ、ダメデス~、オセッキョウコワイデス~。」
「ファーストに依頼するわ・・・。」
「マジで止めてください。お願いします。」
こうして今日も2人は、集金・・・活動に精を出すのであった。そんな、彼女たちの正体を突き止めようとゲス部長の配下が、コンサートに潜入するも、あえなく彼女たちのファン・・・信者となり音信不通となる事例が多発しているとも知らずに。
「これは想定外だな。」
「えぇ、彼女達の正体を探りにヤツらの駄犬が潜り込んでいるのは分かっていたので、資金稼ぎを兼ねて顔を見せてやろうとうい魂胆でしたが、・・・。」
ニシジマとファーストの前にあるモニターには、ファングッズを買い込んで応援に精を出すゲス部長のスパイ達の姿が映し出されていた。
「とりあえず、ゲス部長が痺れを切らすまでは活動を続けましょう。」
「分かった。当初の方針からは、外れているが良しとしよう。引き続き監視を頼む。」
「了解しました。」
ーーーゲス部長視点ーーー
「*******!」
セリフにならない怒声を出しながら、ゲス部長は眼前のモニターを叩き割った。
「襲撃ですか!。」
モニターが破壊される音を聞き、別室で待機していた護衛が部屋に突入してきた。
「違う!。部屋に戻れ!。」
「失礼しました!。」
別室に戻る護衛達。
「片付けろ!。」
「はっ。」
秘書の男が、壊れたモニターを回収し、すぐさま新しいモニターを設置する。
「送り込んだネズミは全て戻ってきません。」
「問題無い!想定内だ!。」
ニシジマの決め台詞となる言葉を皮肉にも言わされたゲス部長。しかも作品を通して初登場である。
「うるさい!解説は黙っていろ!。」
「・・・誰に話しかけているのですか?少しお休みになられたほうが・・・。」
「・・・済まない、俺とした事が、取り乱していたようだ。イーア教にジョン・ドゥをけしかけろ。」
「よろしいのですか?。」
「あぁ、ニシジマ達とは協力関係に無いとジョン・ドゥが回答したんだ。互いに潰し合わせても問題は無いだろう。」
「分かりました。指示は直接?。」
「そうだな、俺が直々に伝えよう。その時の反応も確認したい。」
「畏まりました。ジョン・ドゥとコンタクトを取り、呼び出します。」
「明日の午後に予定しておけ。」
「はっ。」
秘書が部屋を後にした。
「ニシジマめ。もういい、早々にあの世へ送ってやる。」
ニシジマへの罵詈雑言を呟き続けるゲス部長であった。
ーーーニシジマ視点ーーー
「ヤツがイーア教にジョン・ドゥを嗾けるようです。我々を潰し合わせるようですね。」
「問題無い。想定内だ。」