第2章 ゲス部長の破滅 政界編 2話 踊る道化とマリオネット2
ニシジマセブンが「イーア教」を立ち上げてから半年後、いよいよゲス部長サイドの動きが活発になった。
ーーーゲス部長視点ーーー
「ジョン・ドゥよ。私が依頼していた件は、これで完了したと。間違いではないな。」
「はい。指示のあった50名のうち47名分の裏帳簿や横領の証拠を確保しました。すでに資金源として稼働しています。3名に関しては、そういった事実が存在しませんでしたので、対象外としました。」
「分かった。ところで、ジョン・ドゥよ。俺に報告していない事は無いか?」
「いえ、ありません。」
「そうか。では最近巷で噂のイーア教について、お前が把握している事を教えろ。」
「はい。イーア教は、半年ほど前に発足した新興宗教団体です。教祖を含め重要関係者は全てイーア教を象徴するお面を付けており顔や名前は分かりません。」
「お前が報告した47名のうち、イーア教との結びつきが強くなっているのは何名だ?」
「・・・35名です。」
「都合が良すぎるとは思わないか?」
「そうでしょうか?」
「イーア教は、ほぼ確実にニシジマが立ち上げた団体だ。俺の資金源を潰すためにな。」
「その根拠は?」
「今のところは無い。だが、もうすぐ教祖や使徒2名の正体は判明する。」
「私以外にも優秀なエージェントを抱えているのですね。」
「当然だ。お前一人で全てを熟せるとは思っていない。」
「では、これで失礼します。」
そっけない態度で、部屋を後にしたジョン・ドゥ。
「くそがっ!」
手元にあったコップを壁に投げつけるゲス部長。
「ニシジマめ!俺の計画では、ジョン・ドゥはとっくに俺の女になっていたはずだった!」
予想外の横やりで、ゲス部長はいまだジョン・ドゥを手籠めに出来ておらず、協力的な態度も得られていない。
「お前が、その気ならこちらにも考えがある。覚悟しておけジョン・ドゥ。」
ジョン・ドゥとニシジマセブンの協力関係が終わったのはブラフの可能性を疑っている
ゲス部長は、ジョン・ドゥを見限る方向でプランの変更を余儀なくされていた。
「もう遊びは終わりだニシジマ。次は全力で潰してやる。」
そしてゲス部長は、忌々しい表情をしながらイーア教の噂について詳細が記されたスレを見始めた。