第2章 ゲス部長の破滅 政界編 プロローグ
ーーーージョン・ドゥ視点ーーーー
ゲス部長から指令を受け取ったジョン・ドゥは傘下に加わった政治家達の弱みを握るため、情報集めに奔走していた。
ゲス部長にとって傘下の政治家の大半は使い捨ての駒に過ぎず、主要な数人のメンバー以外は人脈や利権、政治資金を搾り取るだけの役割に過ぎない。
「ふぅ。これで10人目なのに、まだ1/5って、もう政党を作ったら良いんじゃないの?」
裏帳簿のコピーを盗み出したジョン・ドゥは11人目のターゲットの拠点に向かっていた。
「アイツは本当に日本を掌握するつもりなのかしら。」
ゲス部長の勢力は、既に与野党の半数を上回っていた。
しかし、自身が表に立つことは決してない。
元から、後世に日本を裏から操った謎の人物として名を残すつもりなのだ。
そして、日本の掌握を足掛かりに世界を手中に収める。
そのとき、ゲス部長の傘下に加わった使い捨てられる予定の政治家が生き残っているかは不明だが。
「まぁ、アイツの口車に乗った政治家連中が、どうなろうと知った事ではないしね。リーダーにも利用される予定だし、ご愁傷様だわ。」
ニシジマとセブンにも情報を流し、ゲス部長に使い捨てられる予定である事を密告し密かに協力関係を結び・・・同様に使い捨てる。
自身の欲望のために動く人間をリーダーが助けるつもりは無い。
「重要なのは、主要メンバーの3人よね。リーダーのためにも何とか弱みを握らないと。」
ゲス部長傘下の政治家で、主要なメンバーは3人。ゲス部長が日本を掌握したら代理として支配する役割を担っている。今回ゲス部長から指令のあったリストには含まれていない。彼らはゲス部長の信者であり本当の意味でヤツの傘下なのだ。
ジョン・ドゥのミッションは続く。
一方ニシジマセブンでは2度目のミッションに向けた会議が行われていた。
「ジョン・ドゥからの情報でヤツには大物政治家3名が傘下として協力していると判明しました。そして、多数の政治家の弱みを握り使い捨てようと計画しています。」
「じゃあ、ファースト。今度のミッションは傘下の3名の弱みを握る事で良いの?」
「フィフス、説明を続けますよ。答えはノーです。」
「ブーブー。」
ごねるフィフスにセカンドが手をワシャワシャしながら
「フィ・フ・ス・?」
と問いかける。暗にアイアンクローを食らわせると言っている。
「ヒィー!。ワカリマシタワカリマシタ。マジメニシマス!」
「セリフが全部カタカナなのは気になるけど分かったならいいわ。」
「ゴホン!お願いしますね、フィフス。セカンドも前科がある事を忘れないように。」
「分かってるわよ。」
「今回のターゲットはヤツが使い捨てようとしている政治家達です。」
「何故だ?」
珍しく、フォースが口を出す。
「何故なら、大物政治家3名はヤツの信者なのですよ。つまり、どのようなアプローチを取ってもヤツの足を引っ張らないよう、自身の破滅も覚悟の上で敵対的な行動をとると考えられます。」
「そうか、でも破滅させればヤツの進捗を遅らせる事は出来るだろう?」
「ニシジマセブンには、ヤツと対抗するために不足している要素があります。中でも致命的なものが何か分かりますか?」
「・・・金か?」
「そうです。資金調達はシックスが主で行っていますが、元手が無いため現状維持がやっとです。」
「政治家どもの裏金を頂こうという算段か・・・。」
「えぇ、ヤツに協力する勢力を減らしつつ、ニシジマセブンの活動資金を獲得する。それが、今回の目的です。」
「じゃあ、今回はフォースが動くという事かしら。私たちの出番は無いようね。」
部屋へ帰ろうとするセカンドに
「待って下さいセカンド。今回も2人には活動してもらいますよ。」
と声を掛けるファースト。
「私たちは何をすれば良いの?」
フィフスが問いかける。
「お二人には政治家達の救世主になって頂きます。」