優雅なお一人様を目指します！ 〜転生巫女の慌ただしい日常〜
作者：小田 ヒロ様
ジャンル：異世界〔恋愛〕
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婚約者である王太子を見た瞬間に、日本人だった前世を思い出し、この世界が前世の恋愛小説とそっくりなことに気がついたマール伯爵令嬢。運命に抗い、自殺エンドは回避するものの、愛した王太子は巫女である姉に奪われて、姉の代わりに巫女として神殿に上がることを余儀なくされる。
小説シナリオから離脱し、失恋を引きずりつつも、巫女を務め上げたあとの優雅なお一人様生活を目指すマール。神殿の中から前世の経験を活かしてアパート経営に着手し、小金を貯めようと画策するが、神殿の日常は案外忙しく……(あらすじより転記)
こういうとなんですがこのタイトルとあらすじだけでブラバしてしまう人が一定数いるのではないでしょうか。
そして婚約者と姉の逢瀬が流れたあと、婚約者と初めて会ったときに自分が小説の当て馬として死ぬ登場人物であることを思い出し、小説の通りの流れになるから死なないように前世の知識をもとに一人で暮らしていけるように準備をする、という流れから婚約者を妹から奪う姉の酷さを見せつけつつ行き遅れとなる年齢まで巫女として神殿に上がらされる主人公というテンプレ悪役令嬢ものをこれでもかと詰め込んだ一話に目の肥えたなろう読者様はブラバを選択するでしょう。自分もこのお題で読むのでなければ多分読むことはなかったと思います。
ですがこれだけは言わせてほしい。この作品最後まで読まないと損をする、と。
テンプレ的な展開の前半からうって変わって後半シリアスな展開になるのですが、過去の出来事や人々の考えが少しずつ明らかになっていきます。
そして真実を知った主人公の行動によって巫女というものが明らかになるのですが後半の要素の回収が本当に上手く描写されています。
特に最終話ひとつ前の話のラスト二行が素晴らしい。
主人公に起こったこと、それによる主人公視点の世界の変化と主人公の今の心情がラスト二行に物語の要素を込めた素敵な言葉で端的に表現されています。
ここ本当素晴らしいのですが物語を初めから読まないと素晴らしさが伝わらないので興味がある方は是非初めから読んでほしいです。
テンプレ悪役令嬢ものと見せかけて丁寧に要素を回収するこの作品、非常にお薦めなので一度読んでみてはいかがでしょうか？
