M属性 ~嗚呼、あなたに踏まれたい~
作者:高谷正弘様
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
URL:https://ncode.syosetu.com/n0332ft/
気がついたら異世界に召喚され、頭ごなしに高圧的な態度で喋られていた、とくれば昨今の小説では召喚主はゲスく、主人公は反発を覚えて逃亡、というのがよくある流れですが、逆に主従認定し足の甲にキスをしようとして後頭部を踏まれしかもそれで悦ぶ、というのはあまりない展開かと思います。
第二話では転移に至るまでの現代での主人公が語られますがここで主人公の性癖紹介と言うか内面が綴られます。ここの行動や物事に対する主観的な評価により、主人公がどういうキャラであるかを読者に対して提示してきます。
その後舞台は異世界に戻り、主人公を踏みつけたのがこの国のヴィーラ皇太女であることを知らされ、そして謁見の間にて現状の説明とヴィーラ殿下が16歳になるまでの一年半でこの国を磨き上げろ、嫌ならここで死ねと言われます。
賞賛は与えぬ、帰る事も許さぬ、奴隷となり死ぬまで働け、そう言われた主人公はそれこそ本望である、と答え全力で国を磨き上げるのが序盤の流れとなります。
初手数話で結構きつめの性癖が語られますが、それ以降は性癖自体の出番はほぼほぼなく、内政パートがメインになります。
これは主人公がヴィーラ殿下の要望に応えることを第一とし、性癖を満足させることを二の次としたからと思われますが、殿下も無理難題に応えていく部下を必要以上に痛め付ける性格はしていないので描写の上では平和です。
タイトルにあるM属性はMind属性のことで主人公もMですが決してマゾではありません。尚ヴィーラ殿下はS属性です。こちらはサドではなくSelf属性になります。これだと分かりにくいですがつまるところ得意とするカルマ(平たく言えば魔法)が違うという感じでいいかと思います。
個人的な感想になりますがこの作品はカルマに関係する言葉が「炎生」、「偸金」、「風舌」など独特な言い回しがあり、それ以外の要素含めて他の作品とは違う雰囲気を持った小説だと思います。
また主に二話で語られていますが小さい頃は同級生の嫉妬による“なかのよいあそび“を助長させることで性癖を満足させていた主人公が環境の変化で遊ばれなくなったことで上の立場の相手に意見をぶつけて相手から返ってくる強い言葉を受けて悦んでいた、というような描写があるのですが、この描写がとても気に入っています。
というのも現代の日本の学校で継続的に他人から罵られるためにどうするか?ということをイケメンが真面目にやろうとした場合、まともな学校ならいじめは教師や回りの生徒に止められる。物を壊せば怒られるが繰り返せば退学となる、奇行に走れば距離をおかれて避けられて相手にされなくなると、意外と継続的にやるのは難しいと思えたからです。
ぶっちゃけ「僕は普通のどこにでもいる中学生。ちょっと人と違うところは虐められることが好きなことかな。そういう訳で異世界で踏まれているのであった。」とかで済ませれなくもないところをきちんと作っているところがよかったと感じました。
カルマは便利なようであり制限もあり、と細かな設定が潜んでそうですし、過去にも召喚が行われたがその後召喚の間が封印された、など伏線もかなりあります。
M属性の主人公がS属性のヴィーラ殿下とその配下である因果伯達と織り成すストーリーを読んでみたくなった方はぜひ一度読んでみてください。