第九話
「今日、小田来ないな」
「かがやん寂しいな、平気かぁ?」
雪が降ってるから、この時期は多目的教室で昼食をとる。
「あー、多分それ俺のせいだわー」
頭のほぼ全てを占めるのは小田のことで。
「えー?何したん?」
「んー?ちゅう」
見開かれた目が六つ。
怖いなー。
「えっ!?」
「マジで!?したの?」
「したー」
「え、なんで?なんでそういう流れになるの?」
「なんかー、可愛かったからついー」
ウインナーを口に運ぶ。
昨日あの後。
可愛くて、なんかキスしてた。
小田は目を見開いて、一拍置いていつかのように突き飛ばされた。
・・・腹に一発お見舞い付きで。
「てことは、かがやんの意思のみ?」
「小田怒ったっしょ?」
「腹に一発。痛かったよー・・・」
「当たり前だ、バーカ」
なんか、松本の言葉がすっごい心に刺さるー。
「何、ディープ?ディープ?」
吉田はなんだか面白そうに突っ込んでくるし。
「お子様ちゅうー」
「あー、それなら、立ち直れるよなぁ」
「多分」
「何、加賀は小田のこと好きなの?」
・・・好き?
「考えてなかった」
「ハァ!?」
「あー、俺・・・、好きなのか・・・?」
どうなんだろう。
「えー・・・。あのさぁ。・・・小田も報われねーっていうか、なんていうか」
「小田が可哀想になってきた・・・」
林田だけは何も言わずに、どこか笑いを含んだ顔でこっちを見ている。
「なんだよー、林田ー」
「別に」
「俺、好きなのかなー?」
「ふざけてでもなくて、純粋に男にキスしたいなんて思うのは、俺は好きだからだと思う」
「林田・・・。お前の助言は、身にしみるなー・・・」
「そりゃ、どーも」
今度は確実に笑ってやがる。