第八話
2月14日。
女友達が義理チョコくれたりして、まぁ、なんとなく嬉しい鞄の中。
「あの、加賀君。ちょっといいかな」
今帰ろうと思ってたんだけどー。
でもまー、その子が何を考えてるか分かるから無下にはできなくて、下駄箱に外履きを戻す。
「んー、なにー?」
あえてすっとぼけてみたり。
・・・ひでーやつ。
■ ■ ■
あーいう緊張した空気、好きじゃないな・・・
屋上へ向かう階段の踊り場で告白された。
やんわりと、断った。
なんだかか弱く見えて、ちょっと罪悪感。
「断っちゃって、良かったのかよ」
「!!」
3階の入り口にもたれるように、小田がいた。
「吃驚したー・・・。あー、聞いてた?」
「いいや。通りかかったら泣いてる女子とすれ違ったから、どんなヤローが振ったのかと思ってさ。まさか、お前とはねー」
笑ってらー。
「初めて見るわ、小田の笑ったところ」
カァッ、と薄暗い中でも顔が真っ赤になったのがわかった。
「そんなのはどうでも良いんだよ!」
「あー、小田にはね。俺にはどーでも良くないんだけどー。ま、いっかー」
階段を下りて、小田の前に立つ。
小田もまだ成長中で、やっぱりまだ目線が合わない。
「なんだっけ?振って良かったかって?あー、可哀想とも思うんだけどー、今は欲しくないからー」
「ありえねーだろ」
「今はー、目下小田くん親密度アップ中だからー、ありえるの」
「なッ」
かーわいー。
なんで、可愛いって思っちゃうんだろ?