第七話
メリークリスマース
とか言って、皆愛する人とイヴを過ごしたいらしいから、皆で集まったのは23日。
イヴイヴだー!!とか騒ぎながらカラオケになだれ込む。
途中、戸田の同中の女子が三人乱入してきて、彼女欲しがってた委員長はやけに紳士っぽい。
流行歌から懐かしアニソンまでゲラゲラ笑いながら歌いまくった。
「加賀くんおっきいねー!!良いなぁ、いくつ?」
「んとねー、77」
「うっそ、かがやんいつの間に伸びたん!?」
「先週測ったらなってたー」
小田との目線が近付いてきた。
■ ■ ■
「わー、やっぱ寒いねー」
イルミネーションが華やかな駅までの道を歩く。
突然、酷い喧騒が聞こえた。
「何?ケンカ?」
「うわー、あそこじゃない?ほら」
ヤジ馬根性で背伸びする。
「・・・え、ちょっと、あれって小田じゃね?」
「ええ?まさかぁ。って、加賀!?」
身体は勝手に飛び出していた。
■ ■ ■
見間違えるはずも無く、喧嘩していたのはやっぱり小田で。
何があったのか3人も相手にしていて。
殴られて尻餅をついた。
ギャラリーが沸く。
囲まれて、なにやってんだ小田!!
「ッ!!」
「・・・んだぁ、お前!!」
「いやー、3対1はちょっと酷いかなーっていうか、今日はこの辺でお開きーってことで」
相手の拳を受け止めた手のひらが熱い。
「ふざけてんじゃねーぞッ!」
後ろからケリ入れられる気配がしてかわして足を払った。
「行くぞ!!」
呆けていた小田の襟を掴んで引っ張る。
逃がすか!とか聞こえたけど、警察も来たからなんとか逃げ切れると踏んで、もう一人転ばして走りまくった。
■ ■ ■
「はぁ、はぁ、・・・ちょっ、あれ、何?」
公園に入って、芝生の上に寝転んだ。
あー、久々に走ったら肺いてー。
「知らねー・・・、いきなり、つっかかってきやがって、くそ」
「でも、まぁ、怪我無さそうで、良かったー」
変に笑いがこみ上げてくる。
「余計なこと、してんじゃねー、よ」
「気にすんなってー。俺の自己満足だからさー。ッッ!?」
笑いながら起き上がったら、いきなり押し倒された。
「ふざけんのも大概にしろよ!俺のせいでお前になんかあったら、俺の寝覚めが悪いだろうがッ!!」
えー、それって、その、つまり
「心配してくれたの?」
ばっと顔が真っ赤になって、飛び起きた。
「んなっ、んなワケねーだろ!!ただ俺の寝覚めの問題で・・・ッ!!」
「うわー、うれしー」
「だからッ!!」
小田が怒鳴りかけたところでケータイが鳴った。
「うお、ちょっとごめんねー」
開くと吉田から着信だった。
「はーい、もしもしー?」
『かがやん!?無事!?』
声が凄い焦ってて、随分心配かけたんだなーと思う。
「無事でーす。ごめんねー、心配かけてー」
『ほんッッッッとだよ、このバカ!!すぐ警察が来てだなぁ、結構騒がしかったんだぞ!』
後ろから、他の奴らの声も聞こえる。
『まぁ、お前なら無事だろうとは思ってたけど!・・・はぁー。良かったー・・・。で?やっぱり小田だったんだろ?小田も無事?』
「うん、無事無事。本当にごめん」
『無事ならいーよ、もう。小田も無事で良かったって伝えといて。こっちはこっちで解散するからな』
「うん、わかった。ありがとー。ほんじゃあね」
ケータイを閉じてから実感する。俺、結構無茶したんだなー。
最近は平凡な生活送ってたしなー・・・。
「すげーな、心配されてて」
どこか鼻白んだ様子で、小田が言う。
「遊んで帰る途中だったからさー。吉田が、小田も無事で良かったって」
それを聞いて、小田の顔が赤くなった。
あれ?
なんか、嫌っていうか、なんて言うか。
あれ?