第六話
「やっべーよ!かがやんカッコイイ!!」
「女の子キャーキャー言ってたぞ!!」
松本と吉田がすっごいテンション高い。俺も人のこと言えないけど。
「えー、ボーカルにでしょー?」
「なんだよー、素直に喜べよー!」
ヤバい。ちょーうれしー。
体育館の隅に小田が居た。
気のせいかもしれんけど、こっち見てた。
と思う。
なんかもー、成功したハイテンションのせいで神経が昂ぶってる。
「俺達これからカキ氷食いに行くけど、かがやんも行く?」
「あー、俺ちょっといいわー。適当に回ってくるねー」
「わかったー」
■ ■ ■
「あー、いたいた」
階段を上ると、屋上の入り口に小田がひとり座っていた。
一般入場者は3階以上は立ち入り禁止だし、殆どの生徒は祭りを楽しんでるしで大分静かだった。
「見に来てくれたでしょー、ステージ。ありがとねー」
「・・・なんで隣に座るんだよ」
「いーじゃん。大体屋上出たら暑いってー。小田はもう色々食べたー?」
顔を覗き込んで言ったら、少しうろたえて口を開いてくれた。
「・・・食ってない」
「じゃあさ、じゃあさ、俺と一緒に回ろうよー。俺もステージの準備でまだ回ってないんだよねー」
「・・・一人で行ってこいよ」
「やだー。一人は寂しいもん」
「もんとか、きめー。大体オトモダチくらいいっぱいいんだろうよ。そっちを誘え」
「小田もオトモダチでしょー?」
「はァ!?」
「だってほら、こんなにいっぱい喋ってるじゃん。俺こんなに喋ってる小田、見たことねー」
言ったら顔が真っ赤になった。
自覚無かったのかなー?
「ねー?オトモダチだよねー?」
「・・・ちがう」
体育座りして顔を埋める。なんかその仕草可愛い。
「違わないー。俺がオトモダチと言ったらオトモダチ」
どうしても顔を上げてくれないから、後ろに回って覆いかぶさった。
「!?」
「オトモダチって言うまで離さないぞー」
「お前、マジウゼェ・・・ッ!!」
結構本気で暴れられた。
「わわわ、危ないって」
から、胸のあたりで腕回して抱き寄せた。
「あははー、抱っこみたいだねー」
横顔を見たら、耳まで真っ赤になってて。
「あはは、真っ赤だー」
「ッッ!!ふざけんなよ、てめー!!なんだよ前からいっつもいっつも!!席替えする度にお前が隣だし!頭とか撫でるし!話しかけてくるし!抱きつくし!!」
「だってー。小田と仲良くなりたいんだもーん」
「俺はなりたくねぇ!!」
「オトモダチにならないと、ちゅーするぞー」
「マジでキモい!てか、痛ぇ!!」
小田の首を捻って後ろ向かせようとした。
「実力行使」
「うわー!やめ、やめろ!!」
そこまで抵抗されると傷つくというか。
「じゃー、オトモダチね」
「脅しだろそれ!!」
「ちゅーか一緒にポップコーン買いに行くか!さぁどっち!!」
「ココにいる!!」
「それはちゅーってことですねー」
「ふッ・ざッ・けッ・んッ・なッ!!」