第二話
良き晴天。
こんな日はー、
「50M走測定します」
とまぁ、前回の授業で連絡あったように体力測定。
■ ■ ■
出席番号順だから、早々に自分の測定が終わって体育館の外壁にもたれてた。
5月の日差しって、なんでこんなに暑いんだー?
日陰を目指して北側の壁に回りこむ。
「あー」
そこには先客がいた。
小田が座り込んでいた。
「小田も休憩ー?なんか今日暑いよねー」
・・・だんまりさん。
座り込んでいるもんだから、今日も健在なくしゃくしゃ頭が見下ろし放題。
「小田さぁー、この髪型どれくらい時間掛けてるのー?」
「ッ、触ってんじゃねーよっ!!」
怒られたけど、なんか触り心地が良いことに引き付けられる。
「ちょっ、触り心地超イイんですけど。何使ってんのー?」
うちの猫を撫でるみたいに、つい撫でてしまう。
・・・?
怒鳴らない???
さっきはあんなに怒ったのに、今は何にも言わないでいるのが不思議で、なんか俯き加減の顔を覗き込む。
「!!」
だって、顔真っ赤。
えー、何その反応!!
ちょっ、えーっ!!
思わず固まっていたら、小田がはっとして、俺の手を振り払って去ってしまった。
ちょっ、えーっ!!
あんなでかい奴が可愛いと思ってしまった。
わあ、新発見。
■ ■ ■
「やっぱ松本は速ぇよなあ」
「毎日練習してんもん。長距離の方が得意だけど」
「サッカーは持久力勝負だもんなー」
「てか、かがやん何処行ってたの?」
「んー・・・、日陰で休憩。それより林田は何処まで付いて来るのー?」
「更衣室だよ」
「あー、なんだー。ストーカーかと思ったー」
「加賀、お前って結構ひでーよなぁ・・・」
「折角の合同授業だもんねー?」
あははは、と他愛無い会話で笑いながらも、小田の真っ赤な顔が頭から離れなかった。