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夏の水着ファッションショー

作者:

 華やかにステージを彩るライト、期待に満ちた顔でその時を待つ観客たち。

 ここはファッションショー、死して屍を拾うものなし。

「いよいよ始まりました、今年の夏の水着ファッションショー。実況は私山本、解説はおなじみの佐藤さんです」

「よろしく」

「ところで鈴木さん」

「佐藤です」


 ライトに照らされた人影が、ゆっくりと花道を歩く。

 ここはファッションショー、意思と意識と意味が火花を散らす。

「一人目が出てきました。おおっとこれはいきなりすごい。ピシッとしたスーツ姿で登場と言う、水着ファッションショーを根底から揺るがす姿に、私驚きを禁じ得ません」

「あれデザイナーですよ」


 観客のボルテージは上昇を続ける。限界はまだ遠い。

 ここはファッションショー、世に平穏のあらんことを。

「いよいよはじまりました、夏の水着ファッションショー。一人目は薄く透けた白の着物姿で登場です。長い髪が顔を覆ってよく見えませんが、これはこれでセクシーですね」

「まだ誰も来ていませんが」


 観客とステージは一体となり、より高みを目指す。

 ここはファッションショー、五感を超えて遥かなる地平へ。

「次の水着は高名なデザイナー、ケン・ヤマダの新作『鉄板』です。これは鉄板と言いつつ鉛を使用、容赦なく海底に引きずり込む事をコンセプトに、今まで三人のモデルが犠牲になっています」

「さっきのはひょっとしてそれですか」


 舞台は落ち着きを取り戻す。すべて世は事もなし。

「それではいよいよ最優秀賞の発表です」

「これ本当にファッションショーですか?」

「出ました。満場一致で最優秀賞は一番最初のモデルであるお菊さんに決定です」

「名簿に載っていませんが、誰ですか?」

「お菊さんには魔よけの札と清めの塩が送られます」

「これは本当にファッションショーですか?」

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