8.Truth or lie?
『兄さんへ』
紙の文頭にはそう書いてあった。
その紙は妹が書き、そして僕に対してのものであるとここで分かった。
まったく、どういうつもりなんだ?
紙には続いてこう書いてある。
『何であたしが朝食に和食を出したかお分かりですか?』
「は?」
僕は紙に書かれてる内容に愕然とする……
いやいやいや、まったく意味分かんねえ。
なんでいきなりそれ? 意味深にも程があるだろ……
『そうですか、分かりませんか……』
「まるで今の僕を見ているかのような物言いだな、おい」
『原因はズバリ、兄さんにあるんですよ!』
「は?」
僕に? 全く意味が分からない。
何かしたかな……つか、なんかしたなら、その時に怒るはずだろ……
『昨日、あたしのプリン食べたでしょ?』
「は?」
食べてないぞ! 食べてないよ。食べてない。
いくら僕が日々の生活に無関心だからって、自分の食べてる物くらい……あれ?
「…………」
急に不安になってきた……
『そうですか……やはり食べたんですね?』
「い、いや! 思い出せないだけなんだ! 僕はそんなに食い意地は張ってない!」はずだ……
『でも、食べてないって意地も張れないんですね……』
「う……」
それは、……そうかもしれないけど……
つか、なんでこんなに会話が続くんだよ! これ紙だろうが!
『ともかく、あたしのプリンちゃんはなくなりました。そこでハンムラビ法典です』
「えぇえええ!? そんな……プリン如きに朝食を和食にされたって言うのか……」
『えぇ、そうです。プリンを甘く見るものはプリンに泣くんですよ!』
くそ! あんまりだ! 朝食を食べないで学校に行くことになるなんて……
しかも、遅刻確定。
泣けてくるな……
そこから僕は仕方なく家を出る。
誰もいない家を出る。何もない胃袋とともに……
そして、学校に着くまで考えていたことは二つ。
一つ目、僕はプリン食べたっけ?
二つ目、帰りにプリン買って帰ろう。
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