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生心活劇!  作者: sawa
1/1

No.0 プロローグ

「それじゃあまずは自己紹介から」

「この俺、神谷ユキ 普通の学校に通う高校1年の16歳」

「家族構成は父、母、に妹が1人どこにでもいる一般な学生」

「そして普通の学生ならもちろんあるであろうこと」

「俺、好きな子がいます。」

とまぁ、自己紹介をした上で現在彼が陥っている状況を説明しよう。

真っ暗な世界にいた

いやはや詳しく説明しようにも只々暗くどこを見渡しても黒一色の世界が眼前に広がっていた。

肝心の本人はというとたぶん横たわっていた、たぶんと言うのは黒一色、まるで宇宙にいるような感覚だった。

そんな真っ暗な世界で唯一確認できた物が自分の体と背に伝わる床のような感覚、そして…

「…っ……」

これだ

「……っ…て」

さっきからずっとこのノイズのような音が聞こえてくる。

「…っき……て」

なぁ…神様

「…い…っ…て」

俺が何したんだよ…

「…い…きて…」

「生きて!」


数日前…

1月、新年をむかえて数日後のこと

学生にとっては冬休み最中、外では子供の笑い声が聞こえてくる。おおかた降り積もった雪にはしゃぎ遊んでいるのだろう。

そんな声が聞こえくる部屋の片隅、パソコンに向き合っている男がいた。

部屋は綺麗に整えられているが、テレビがついているにも関わらず音量はほとんど聞こえてこない程小さい。

更に極めつけは昼間だというのにカーテンは閉めきっていて部屋が真っ暗だということだ。

唯一灯される灯りはさっき説明したテレビと男が使っているパソコンだけ、これだと怪しさしか伝わってこない。

そのパソコンとにらめっこしている怪しい男が口を開く。

「ふぅ、これで一通りの編集は終わったな」

「とりあえず少し寝たらまた収録して…いや打ち合わせが先かな…」

とにかくと言った感じで我ながらだらしない欠伸をしながらそのいかにも入って無さそうな軽い頭をかきソファーへと身を投げ出した。

因みにすぐそこにはベッドが置いてある、にも関わらず彼はソファーを選択した。

只単に近かったからそこにしたというのがこの場合いや、この男にとっての正しい解答だろう。

相変わらず暗闇の部屋を照らすつけっぱなしのテレビとパソコンの光。

冬休みに入ってもうずっとこの生活が続いていた。

それから数時間後、目を覚ました彼はそのほとんど開いていない目をこすり、部屋から出る。

部屋の戸を押し出すと何かにぶつかる感触がした。

「痛っ!」

その瞬間全身が羽上がる感覚があった、半分、それ以下にしか開いていなかった目も全開、フルオープンである。

「あっ、ヤバい…」と言葉を発しそれと同時に冷や汗が流れ始める。

しかしおこったことはもう戻せまいと振り払うかのように頭振り恐る恐る押し出した扉を戻し、扉の先にいる声の主を覗きこむ。

「あっあの~、お大丈夫でごさいましょうか?」

「はぁ?」

「ひっ!」体が飛び上がる。我ながら情けない。

「あんた…」

「はいっ!」

「何してくれてんの?」

主に頭にヒットしたのであろう、頭にてを当てて涙目になりながらもこちらをにらめつける少女。

そう我が唯一の兄妹である。

「悪い…アキ、わざとじゃないんだ」

「わざとだったらあんたはもうここには存在しないかしら」

「ひっ!」またしても体が羽上がる。

「そういうことを聞いてるんじゃなくて、私の仕事知ってるでしょ?」

「あっ」

そう、我が妹が現在している仕事、それは

「確か…モデルだったよな?」

「そう、その通り、正解、大正解、完璧な解答だったわ全く我が兄ながら褒めてやりたいところなのだけれど」

やれやれと言わんばかりのしぐさをするアキ、だが少しの間をおきその表情に変化が訪れる。

ギッと鋭い目がこちらに向けられ体が硬直してしまう、蛇に睨まれた蛙と言うのはまさに今この光景のことだろう。

「すっ…」声が震えてしまう

「うん?」首をかしげる、依然としてその表情は変わらないが

「すみませんでした」

自分の妹相手に深々と頭を下げる光景はあまりに情けないと思うがアキが言いたいことはわからないでもない。

言い方は悪いが自分の商売道具を傷つけられたんだ、この場合モデルの仕事に対して自分の体な。

俺だってパソコンとかに何かされたらたまったもんじゃない

「はぁー、あんた…」

ため息混じりで妹が言う

「情けないと思わないの?」

「えっ?」

素直に驚いた、予想していた返答との違いに。

てっきり追い討ちをかける為罵詈雑言を浴びせられるもんだと思っていたからだ。

「えっ?じゃなくて、妹にこんだけ言われて何か言い返したりしないの?あげく頭まで下げて、本当に情けない!」

「いや、だって悪いのは俺だし…」

「もういい!」

一言いい放ち、自分の隣を通りすぎて言った。すれ違い際に悲しげな顔をしていたのを見て、更に謎が深まった。

「何なんだよあいつ…」


それから少し自室で時間潰しをしていた。

何に対して時間潰しをしていたかというと、

「行ってきます!」

このタイミングを待っていたからである。さっきのことがあって妹と顔を会わせづらかったからだ。

「まぁ、何とも情けない…」

そう呟いて自室を出て居間に向かう、

居間に入ると父と母がいた、母は妹が食べ終わった食器を洗っている、で父は片手にコーヒーを持ちながら新聞に見いっている。

何とも定番な朝の風景だろう。

「遅刻…しないようにね、アキはもう行ったわよ」

と母が洗い物をしながら後ろ姿で言う。

「はい…」

そう答えてテーブルに座る、今度は父が新聞ごしに喋った。

「また遅くまで起きていたのか?ここのところ変なことばかりやっているようだがくれぐれも問題は起こさないように」

「はい…」

それだけ言葉を交わし、ご飯を食べて家を出る。

これが俺が過ごしているいつもの朝だ。

別に不満はない、むしろ会話が苦手な俺にとってはありがたいことである。だから勘違いとかするなよ?


しばらく歩いていると1人の女性が遠くに表れた、髪の色は茶髪で肩位の長さの髪にサイドテール。

こんな遠目でも視界に入っただけで俺の心は癒されてしまう。

何せ彼女は俺にとっての生きる希望でもある、その理由としては幼い頃にした約束にある。

「僕は、みんなを幸せに笑顔にしてあげる男になるよ!」

「私も、そんな女性になれるように頑張るから」

「じゃあどっちもその夢が叶ったら…」

「うん!」


「「×××しよう!」」


とまぁ、幼い頃のおぼろげな記憶の中でその約束だけは鮮明に覚えている、そんな俺が行き着いたものが動画投稿者という訳でそれが間違いだなんてこれっぽっちも思っていない。

形はどうあれ結果的には人を笑顔にできるんだ、じゃあどの条件でその約束がこの選んだ解答で達成されるかというと、

動画投稿者の中で1位になること、それでようやく俺の方は約束を成し遂げられる。

いくら何でも簡単じゃ無いって?そりゃ簡単な道でないこともわかっている、

俺が初めて動画を投稿したのは、その約束を交わしてすぐだ。

つまり幼い頃から今までで10年位は動画投稿をしている。

今現状はというと、フフ…2位!とここまで来ていた。

俺の方は、もう目前という訳だ。


私の名前は港 愛理。いたって普通の女子校生で特別なところなど何一つ無い、その特別になろうとしてた時もあった。

高校に入って後3ヶ月もしない内に1年が経とうとしている。

それまでは新しい人間関係などに一生懸命だった、この先はいろんな事に挑戦していきたいと軽い決意をした。

「?」

ふと、何かの視線を感じたが…

「愛理ー!」

女の子の声がした。

「くるみ!」

中学からの親友、園田くるみ、小柄で髪はツインテール男女問わず気兼ねに接する彼女の評判は高い。

いつもこの場所で待ち合わせて登校しているのだが。

「ごめん、遅れちゃって‼」

「もう、ちょっとだけ心配しちゃったよ。だから携帯買おうって言ってるのに」

「だからごめんってば、それに…わたし、機械の類って苦手なの知ってるでしょ?」

そうくるみは機械に対して少し…というかかなりの音痴である。

いや、音痴というのは間違いか、私は見抜いている。

私以外にも彼女にすすめようとする人もいたし、学校でもパソコンをあつかった授業もある。

それらに対してさも私は機械音痴ですと演技に近い嘘臭さを感じていた。

だがそれについては長年の間ながら一度たりとも言った事がない、誰しも苦手な物があるだろうから。

「愛理?」

「えっ!な何?」

「いや、心ここにあらずって感じだったけど…はっ!もしかして私が待たせ過ぎたせいで風邪ひいちゃったとか?」

「あっ、全然ただ考え事してて」

「考え事?」

「そうそう」

「ふーん」とじと目である方向を見ていた。

そうさっき視線を感じた方向だ。

見ると、やはり誰もいない、だが愛理には何とも言えぬ懐かしさを感じていた。

「おーい、遅刻しちゃうよ」

「あっ、待って」

女の子二人は足早にその場をさっていった。


一方その視線の主は

かまくらの中にいた。

「誰が作ったかしれないが助かったぜ」

いや何が助かったのかというと、もちろん彼女に…

港愛理に会わずにすんだからである。

「まぁ何とも情けない…好きな子相手に会うことすら出来ないんだからな」

彼女とは恐らく中学からろくに話してすらいない、その頃は動画投稿に一層熱になっていて

気がついたらこのありさま著しくコミュ能力が低い人間の出来上がり。

が、それもこれまで約束を果たした暁には彼女に告白しようと

そう心に決めていた。


そして…

視界が真っ暗だった。


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