館への招待、そして始まり
ホラーになってないかもしれないけど、よかったら読んでね(-ω-;)
街灯もない暗い道を車の光だけを頼りに進み、一つの大きな家に着いた。
そして、その家の前に用意された駐車スペースに車を停め、俺は車から降りる。
手には自分宛てに届いた招待状らしき物を握り、家のチャイムを鳴らすと、中からスーツ姿の老人が姿を現し、丁寧なお辞儀と共に言う。
「ようこそ語りの館へ。
招待状はお持ちですね?
では中へ.....
今宵、貴方様はこの館の虜となりましょう..........」
言うと老人は館内のとある場所へと俺を案内した。
俺はこの家と老人に違和感を覚えながらも、大人しく付いて行く事にした。
すると案内された場所には他にも何十人かの老若男女とわず、そこに集まっていた。
皆なぜ自分が此処に招待されたのかわかっていないのか、不安な顔をしている。
いきなり届いた黒い招待状。
俺も初めは不審に思ったが、不審感よりも好奇心が勝ってしまい、こうしてこの館に来てしまったのだ。
ーだが、この時の彼らは知らなかった。
これから起こる事を......ー
暫くして現れた先程の老人が俺達皆を見回し言った。
「皆様方、大変長らくお待たせ致しております。
当館の主がもうすぐ来られますので、お席にご着席になり、もう少々お待ち下さい」
言われるがまま、俺達は部屋にある席へ座り、この館の主と言う人物を待った。
すると少しして扉が開き、一人の青年が入って来た。
その青年の顔を見た瞬間に俺は驚いた。
何故ならその青年は俺の幼馴染であり、同じ学校に通う友人でもあるからだ。
俺が驚きのあまり固まっていると、そいつは両腕を万歳をするかの様にあげ、皆に向け話しだす。
「ようこそ我が家、“語の館”へ。
今宵皆様をご招待したのは他でもありません。
皆様はこの館に選ばれたのです。
さぁ、今宵は共に語り明かしましょう」
言い終わるや否や、俺はそいつの腕を掴み皆から少し離れた場所へ連れて行く。
「お、お前!
これはどう言う事だよ!?
お前がこんな館を持つほど金持ちなんて聞いた事ねーぞ!?
それに選ばれたってどう言う事だ!!?」
まくし立てるように、俺は小声で言った。
するとそいつは俺を犬か何かの様に手で制し、
「落ち着けって、そんなに一度に質問されると答えられないだろ?
それにそれらの事は後だ。
まずはこの館についての説明を他の皆にしないとな」
そう言うと、そいつは俺にウインクをして、皆の元に戻って行った。
俺も溜息を付きつつ席へと戻る。
俺が席へ戻ると、そいつは説明を始めた。
「えぇでわ、順にお話しましょう。
まずは私の名は“縲精 黎”と言います。
そして、この館は私の知人から譲り受けました。
その際に、館の元主人からの遺言で貴方方を此処へ招待する様に言われ、招待したという訳です。
では何故自分達が前の主人に呼ばれるのかとお思いでしょうが、それは後々お分かりになります。
今言えるのは、貴方方はお話が大好きだと言う事。
それも普通の話ではなく、ホラーなお話が大好きだとか.....
それならばお話しようではありませんか。
皆様が作ったお話でも実体験でも何でも」
そう言い終えると黎は一息つく為に、いつの間にか用意されていた珈琲を飲んだ。
俺はと言うと、最後の説明を聞いて思わず声を上げかけたが、それは黎の目の合図によって上げることは出来ず呑み込んだ。
(こいつは.......一体何を考えてるんだ?
それに俺は別に話は好きじゃねーぞ...)
俺は黎に ‘ 後で絶対に説明しろよ!! ’ とジェスチャーで言った。
そうして、俺はまた溜息をつき椅子に座った。
すると招待客の一人が黎に言う。
「馬鹿馬鹿しい!
私は忙しんだ!
悪いが帰らせてもらう!!」
そう言って席を立ち、扉の方へ向かう。
だがそこにいつの間にか先程の老人が立ちはだかっており、その客を制す。
「お客様、どうぞお席にお戻り下さい」
丁寧にお辞儀をし、席に戻る様言う。
だがその客は
「うるさい!
どけ!!!」
と言って老人を押し退けようとした。
が、老人は微動だにせず繰り返す。
「お客様、どうかお席にお戻り下さい」
と。
その姿に俺は薄気味悪ささえ覚えたが、それよりも先に、周りに漂う感じた事のある気配に神経を集中させた。
が、それは悪い物では無い様で特に何もして来ないようだ。
先程まで喚いて帰ろうとしていた客も、その老人の佇まいに何かを感じたのか、少し恐怖し、そして大人しく席に戻って行った。
その客が戻って来たのを確認して、黎は再び話し出した。
「さて皆様、話の時間まではまだ間があります。
それまで皆様に御食事を御用意させて頂きました」
そう言うと、数人のメイドらしき女性が現れ、それぞれの場所に食事が置かれ並べられて行く。
此処に来る時、何も食わずに来ていたのでちょうどよかった。
俺が並べられた料理に手を付けようとした時、黎が手招きをしてるのが見え、嫌々ながらも黎の元へ行った。
「んだよ.....」
俺は不機嫌さを隠しもせずに言った。
「まぁまぁ、そう不機嫌になるなって。
お前には別に料理を用意してるんだよ。
あれは特殊な料理でな...
とにかく、お前のはあっちの部屋にあるから、それを食え」
と指さした先の扉には立入禁止の札が貼られている。
とにかく俺は早く飯を食いたかったので、何も思わずその扉へ向かった。
そして扉を開いて一歩中へ踏み込んだ途端、俺は固まった。
何故ならそこには、この中には絶対にいない奴がいたからだ。
「何をそんな所で立ち止まってるんだ?
サッサと入れよ。
ほら、お前用の料理もあるんだし」
扉をすぐ開けた場所で固まってる俺にそいつは言った。
その言葉に俺は我に返り、扉を乱暴に締め、そしてそいつの元へズカズカと歩み寄り言った。
「な・ん・で!!?
お前がここに居るんだ黎!!!
さっきそっちに居たじゃねぇか!!
なのに何でここに居るんだ!?」
声を荒らげながら捲し立てる。
そうここに居るのは紛れもなく黎なのだ。
「だから落ち着けって...
お前も知ってるだろ、俺の事情。
あれは式だよ式。
まぁ、あの式は力作だからな、お前でも見抜けなかったのは仕方が無いさ」
にやっと笑い、自慢する黎。
あの時感じていた違和感はこれも含まれていたのか......
「................はぁ」
俺は大きな溜息をつき、席に着き目の前の料理を、無言で食べ始めた。
それを見ながら黎は真剣な顔で語り出した。
「俺がお前を呼んだのは他でもない...
力を貸して欲しい。
今回は少し危険があるから、お前のその力も必要なんだ」
それを聞いて、食事の手を止め俺も真剣に言った。
「......お前は何をするつもりなんだ?」
と。
俺達二人には生まれ持った力があった。
その力は直人には恐怖するモノでしかなく、両親もまたこの力を怖がり、決して近付こうとはしなかった。
だから最初この力は俺....いや、俺達にとって邪魔でしかなかった。
だが、俺達のこの力を怖がらず、必要としてくれる人がいる事を知ってからは、俺達はこの力を邪魔とは思わず、その人達の為に使う様にしているのだ。
それは友であるこいつとて例外では無い。
相手が困っていて、力が必要な時は手を貸すと約束したのだ。
ただし、その理由にもよるが...
「黎話せ。
一体お前は何をしようとしている」
黎はどう話したらいいか迷っているようだ。
俺はもう一度黎に問うた。
「約束した筈だ。
この力は必要とする人に使うと...
ただしそれは理由次第だとも......」
そう言うと黎は決心し話し出した.........
皆がいる部屋に戻った俺は席に着く。
それを見た黎は言った。
「皆様お時間となりました。
それではお話を始めると致しましょう」
すると部屋は暗くなり、その代わりにそれぞれ座っている席の前の燭台に火が灯った。
「話す内容は初めに言わせて頂いた様に、各々方の実体験・作り話・御友人もしくは他の方が体験した話等々、怖い話なら何でも構いません。
では、一番 端に座られている方から順にお話下さい」
そうして此処に集められた人達の話は始まった.......