第八章 記憶
臨の幼い頃の記憶。
そして人ではないほかの何かとしての記憶。
記憶が入り混じる臨の心は冷たく冷めていたが、
琥珀との出会いで、最後の記憶を思い出し、
心が温められるのか。
琥珀と臨の関係は?
-臨-
目が覚めたときは暗い暗い、穴の中に私は居た。
そこは、今の義母の腹の中だった。
今、私は義母義父と暮らしている。
昔の記憶はその時はまだ思い出せなかった。
ただ、ただ私はこの世に居てはいけない存在なんじゃないのか、とそれだけは幼い私でも感じていた。
人としての毎日。人としての生活。
たくさんの人に囲まれて私は新しい人生を今歩んでいる。
でも、私は昔、この世には住んでいなかった。
けれど、存在はしていた。
妖界という今となっては異世界に。
人として成長していく中で、私はだんだんと昔の記憶を思い出した。
『私は、昔人ではなかったことを。』
人の成長はこんなにも早いことに少々驚いた。
私は昔何百もの年月を生きた。
でも、何故そこからの記憶はないのだろうか。
何故私は人の世に来ているのか。
ある日、私は不思議な女の子を見かけた。
何か不思議な力を感じた。
それは、私とあの子が5歳だった頃か。
私はその頃からもう考えが大人であった。
あの子の瞳は、緑がかった澄んだ黒。
それと同じ様な色の髪。まるで、私の昔の友達のよう...。
私は、10歳であの子が9歳の時、私はあの子の小学校に通い始めた。
緑がかった澄んだ黒の瞳、それと同じ様な色の髪。
あの子は前よりもしっかりとしているところ以外は
ほとんど何も変わっていなかった。
やはり、あの子は昔私の.......