4:適正なし
ダンテはその日以来、俺とリリィの後を金魚の糞のように行動を共にするようになった。
「なあアイルさ~ん、魔法筆使えるようにしてくれよー」
「…………」
「なあアイル兄さ~ん、どこに向かってるんだよ~~?」
「…………」
「……お師匠、少しぐらい構ってあげても良いのでは……?」
「いや、ダメだ。ああいう奴は捨てられた子猫と同じで相手にしたら最後。どこまでもついてくるぞ」
「はあ……そういうものですか……」
特に行く当てはないものの、連日のように魔獣ばかり食べていると――町でのちゃんとした食事が食べたくなってくるものだ。ましてや、取り立て屋のようなバンダナ小僧が一緒にいると何か別のもので気を紛らわしたくもなる。
亜空間から薄汚れた熊のぬいぐるみを取り出し……
「案内人――――」
そう言い指をパチンと鳴らした。
熊のぬいぐるみは生きているようにお辞儀をし、ピョンピョン跳ねて目的地を指示されるのを待つ。
「ここから近い、町までの案内を頼む」
ぬいぐるみは再びお辞儀をして、二足歩行で歩き始めた。
「お師匠――――! 私もその魔法使えるようになりたいです!」
「ああ、今度な」
「――――魔法筆屋なんだから魔法筆使えよッ!!」
「……いや、俺には必要ないしな」
「…………」
それから町に着くまでの間、ダンテは静かだった。
*
着いたのは以前いた国とは違い、石畳などはなく家々も点在する所であった。
「とりあえずは宿屋の確保だな」
「そうですね。リリィはお風呂がある所がいいです」
「難しいとは思うが、聞いてみるか」
「なあアイルさんよ~。俺は魔法が本当に使いたいんだよ~」
「……そうだな、リリィの望む宿屋を見つけれたら考えなくもない」
「言ったな! 早速探してくらぁ――――」
ダンテはそういうと駆け出して行った。
「……お師匠、あの人……」
「ああ、これだけこの町にはマナが溢れているのに気づきもしない…………適正なしだ」
結局のところ、魔法が使えるか使えないかは――マナが見えるか見えないかがファーストステップとなる。
リリィと俺には空中に漂うマナが見える。だから、基本的には魔法が使えるわけだ。
リリィの場合、自身のマナがほとんどないために近くに漂うマナを魔法筆で取り込み魔法を使っているわけだが。
「まあ、何だ……。旅は道連れ世は情けっていうしな」
「それでこそお師匠です!」
「今のところ何一つ解決策は見つかってないがな」
「お師匠のマナを使わせてあげたら良いんじゃないですか?」
「それじゃあ、あの国でやったことと一緒だろ。別の方法を探すさ」
ダンテが宿屋を見つけ出すまでの間、俺たちは早めの夕食を済ませた。




