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魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!  作者: 川井田ナツナ


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2:あてのない旅

 あてのない旅が始まって五日目の朝――。


 魔獣の住まう森でのモーニングコールは、結界を破壊しようとする魔獣の雄叫びである。


「ううう……」


 目をこすりながら起きると、サイクロプスが根の付いた抜き上げただろう木でドンドンドンと殴っていた。


「……リリィ、朝だぞ。起きるんだ」

「……もう少しだけ。もう少しだけなのです……」


 (よだれ)を垂らしながら夢見る少女は一体なんの夢を見ているのだろう……?

 そんなことを思いながらも、師匠と呼ばれる身として弟子を指導しなければならない。


「……朝飯はサイクロプスの足裏煮込みで良いのかな??」


 そう耳元で囁いた――――すると。

 バッと起き上がったリリィは寝ぼけながらも辺りを見渡した。


「はぁ……夢? お師匠、おはようございます。とても不吉な夢を見ていた気がします」

「おはようリリィ、そうかそうか不吉な夢か。起きて早々悪いのだが、朝の訓練だ」


 そう言ってサイクロプスを指さし、結界を解除した。


「えええええええええええ――――っ!?」


 リリィの叫び声は少し甲高いが耳障りのない――俺にとっては心地良いモーニングコールである。


 *


「はあ……はあ……はあ……」


 サイクロプスを倒し、肩で息を整えるリリィは一段と魔法筆の扱いに慣れてきたように思う。

 旅に出る前は洗濯や食器洗いなど日常生活用の魔法を教えていなかったが、国を出てからというもの――魔獣との戦闘を教え始めたが吞み込みが早い。


「せっかくだし、朝飯はサイクロプスにするか?」

「――――嫌です!!」

「そうか……煮込んだ時のあの臭みが俺は好きなんだがな」

「――――却下です!! お鍋についたあの臭いはなかなか取れないんですよ! そこに転がってるのはお師匠の亜空間に閉まってください」

「へいへい」

 

 そして、リリィは朝食の準備を始めた。


 冒険者たちは亜空間のことを『アイテムボックス』やら『スキル』やら言ったり、魔獣に対してランクを付けたりするが何の意味があるのか俺には不明だ。

 「そんなの見ればわかるだろ?」と言いたくなる。


 しかしながら、そんな俺の感性は番人受けせず――敵を作りがちだ。


 まあ、そんな奴らと群れる気がそもそも無いからどうでもいいことだが……。


「お師匠――――朝ごはん出来ましたよ」

「はーい」


 そうこう考えている内に朝食が出来上がったようだ――――しかしながら、あてもなく始まったこの旅がどうなっていくのか『……考えた所でどうにもならんか』そう思いながら、朝日に向かい大きく体を伸ばした。

 

 



 

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