1話
「俺も連れていってほしい。」
呼びかけに振り向くと同時に銃を向けた。
287 少年の首にそう彫られているのが見えた。
少年はまっすぐ俺を見ながら再び言った。
「俺も連れていってほしい。」
「何回言われても無理なの、見てわかるだろ。」
そう答えた瞬間、銃を向けられた。弾丸に魔力が込められていくのを感じた。魔力保持者となんかと殺り合いたくない。
「わかったからその殺気どうにかしろよ。」
迎えに来てくれた同僚に説明するのが本当に苦労した。
少年の名前は 瀬那。
瀬那を連れてアジトに帰った。
ボスに報告に行かなきゃ。
自分の心臓の音がうるさい。この瞬間は何度きても慣れない。緊張しながらノックする。
「入れ。」
「失礼します。第3班 零戻りました。遺体2体が外傷あり、1名少年保護外傷なし。以上です。」
体に魔力が移動してくるのを感じる。痛い,,,痛い,,,痛い,,,!
「何度言ったらわかる、どんな奴を連れてこようとも保護なんてできるわけないだろ。足手まといなんだよ。魔力に順応できずに死んでいく様子どんだけ見た。よく飽きないな。」
「零,,,!」
運転してくれていた同僚が駆け込んできた。こっちにくるな、いっつもすぐ帰るのに。
慕っている人が暴力をふるっている様子なんて見せたくなかった。咲斗さんのためにも。
気づいたらベッドの上にいた。
体がうまく動かない。
「咲斗さんに服とか買ってもらった。準備できたから今日からお前の家住むから。」
「は?」