表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/86

81.レイド練習《黒鬼》

 レイド練習が始まる。

 今回用意されたレイドモンスターは『黒鬼』と言う、最初の配置を決めるにはうってつけの最弱モンスターらしい。


 ただ、レイドモンスターなのでその実力はとても高く、弱いと言われている理由は攻撃が分かりますいかららしい。


 HPを二割削ると攻撃力が上がる、五割削ると地形変化の攻撃を行う、九割削ると全能力値が上がる。

 そんな感じである。


 「まずはアタッカーA班を戦闘に配置する。ブロッカーA班が攻撃のサポート、B班が攻撃を防いでくれ。デバフはAからC、バフはAが最初は担当。デバフは最初は防御力低下、攻撃力が上がったのと同時に攻撃力ダウンのデバフをしてくれ」


 後は戦闘中に調整するとの事。

 俺も準備をする。

 使用するモンスターをスマホから取り出して懐にセットしておくのだ。


 こうすることでスマホを操作すると言う手間と時間のロスを無くす事が出来る。

 まぁただ、場所を覚えておかないと大変な事になるけどね。


 「クソ。ここでも邪魔が⋯⋯」


 この胸⋯⋯邪魔だ。

 見る分なら良いんだけど、自分の体だと思うと興奮もしない、ただの邪魔な突起物だ。

 ちくしょう。絶対に感情抑制システムが働いている。


 「おっけ。準備完了」


 交代タイミングをライトは指示を出していた。

 俺達は一割を削った後に下がり、少しでも減った体力などを回復させる。

 次に五割削った後に再び戦いに入る。


 最初にスタートダッシュを切り、後半戦で全力で戦うスタンスらしい。

 これにはモンスターカードの温存も含まれているのだろう。

 俺達アタッカーA班が切り札と俺は思っている。

 最後まで使い切りたいなら、最初から無駄にするのではなく、後半戦で畳み掛ける方が良い。


 モンスターも当然、後半の方が強くなるからな。


 「それじゃ、動かすぞ」


 ライトがそう言った後に黒鬼は大きな金棒を片手で持ち上げ、臨戦態勢に入った。

 同時にA班である俺達と、ブロッカーの二つの班が同行する。

 俺達が最初にヘイトを稼ぐ横で背後などにマジックアタッカー班が動き出す。

 アタッカーB班も背後に動く。


 黒鬼は最初に見つけた俺達を標的にする。

 神楽がイフリートを呼び出して魔法の準備をし、俺達は加速する。

 神楽は魔法士なので、こっら先は同行しない。

 戦場を把握して俺達の近くで魔法を使うのが神楽の役目だ。


 『オオオオオオオ!』


 「〈パワーシャウト〉」


 「〈屈強な盾〉」


 B班の二人が振り下ろされる金棒を防いだ。

 その瞬間に様々な魔法が飛び交う。


 「行くか」


 「うん!」


 愛梨と主に俺達は金棒を駆け上がる。

 ちなみにメアは戦えないと言ったので、壁際で観戦している。

 何しに来たのか疑問に残るが、まぁ黙っていよう。


 「まずは一撃!」


 黒鬼の正面に来たので、拳を避けて反撃の刃を通す。

 掠った程度だけど、ダメージは与えた。

 レイドモンスターは特異であり、上にHPバー的なモノが用意されている。


 「〈逆鱗〉!」


 愛梨の攻撃によりHPが大幅に削られる。

 しかも、逆鱗は一定時間の効果があるので、まだまだ減らす事が可能だ。

 神楽の魔法も後押しする。


 このままだと、俺が何もしてない奴になる。

 それは忍びない。


 「モンカド、使うぜ」


 俺は『一級武闘メイド』を召喚した。

 メイドが黒鬼の膝をぶん殴ると、少しだけ体が傾いた様に見える。


 「今だ!」


 B班が攻撃をしかけてHPを減らしていく。


 「一割減った! アタッカーA班は下がってくれ!」


 俺達は後方部隊に向かって退却する。

 まだ俺達にヘイトが向いているようで、黒鬼は追いかけて来た。

 だけど、その進行を他の人達が止めて、ダメージを稼ぐ。


 俺はついでにメイドを二体召喚して向かわせた。

 回復班が下がった俺達に集まって来た。


 「回復します」


 「自分はダメージを受けないので、他の方に回ってください」


 「はい」


 愛梨は最前線でゴリゴリ削っていたが、少しばかりダメージを受けているようで、回復魔法を受けていた。


 「癒されます。ありがとうございます」


 「「い、いえ! 滅相もございません! リイア様!」」


 「え? うん? あ、はい?」


 同志が回復魔法を使っているようだ。


 戦闘を確認する。


 現在は順調に足を狙って攻撃しているようだ。


 「ふむ。問題はなさそうだな」


 「まぁ、黒鬼だからね。本番はもうすぐだよ」


 HPが減っていくと共に黒鬼の動きが良くなっている。

 レイドモンスターの特徴の一つなんだろう。


 ダメージも受ける人が多くなっている。

 HPと言う概念がないから、体の痛みや感覚で回復魔法を受けている。


 「そろそろか」


 俺は立ち上がり、モンスターカードの準備をする。

 黒鬼のHPが半分になったタイミングで俺は地を蹴った。


 『オオオオオオオ!』


 「来るよ!」


 「おっけい!」


 地面から剣のような断崖が伸びる。

 それを跳躍して避けながら、さらに進む。


 これが一番最弱のレイドモンスターか。

 地形操作の範囲がかなり広いぞ。

 ダメージを受けたらどんだけ受けるのか、分からないけど受けない方が良いな。


 巨大だから攻撃を受け流す事も出来ないだろう。

 メイド達もやられているので、新たなモンスターを追加する必要がある。


 「メイはダメだよな。魔法系もすぐやられちゃうか。『一級剣士メイド』召喚!」


 愛梨と共に動き黒鬼の上部を攻撃しだす。

 俺はモンスターへの指示に集中する事にした。


 「おっと」


 まさか俺の方を狙って来るとは思わないって!

 愛梨の方が超絶ダメージ与えてるんだからさ、そっちを狙いなよ!


 「まさか、自分の事弱いって見抜かれた?」


 弱いから先に倒そうとしているのか?

 メイドモンスターの事も考えているとしているなら、かなり知能が高いと言えよう。


 相手の攻撃を避けながらモンスターに指示を出す、それが俺の役目だ。

 俺自身が攻撃してもあまり意味ないからな。


 「衝撃波が来るぞ! ブロッカー班は近くの魔法士と日陰を守るんだ! 前線のアタッカーも守れる余裕がある人は守ってくれ!」


 俺の目の前に大盾を持った男が入る。


 「後ろに居てください!」


 「助かる!」


 俺は男の影に入る。

 メイドは⋯⋯避けれそうだな。


 金棒が大振りで振るわれて、衝撃波が全体に広がって行く。


 うっ、腹に響くな。

 でも、なんとか耐えてくれている。


 「⋯⋯そろそろ終わりますよ」


 「分かった」


 カードを取り出して、召喚しながら攻めた。

 そして三時間後、黒鬼をようやく倒せた。


 「最後の本気は凄かったな」


 し、死ぬかと思った。

 俺だけ死んだら流石に恥ずかしすぎる。


 「おつかれなのだ」


 「へいへい」


 メアが背中に抱きつきながら言って来る。

 愛梨や神楽も集まって来た。


 「おつかれ。日にちを見て、各々練習したりするよ。他のレイドモンスターとも経験した方が良いからね」


 「そうですね、僕達は三人でなるべくやれないですかね?」


 確かに、同じ班で動くならその方が効率的だろうな。

 問題ないと愛梨に目線で言うと、愛梨も問題ないって言う風に顔を前に倒した。


 「そうだね。相談して動きを確認しよう。神楽の位置や私の動きも練習したい」


 モンスター指示だけに集中した事って実際にないから、結構難しかった。

 なので、練習してくれるならありがたい。


 今日はこれだけで解散となった。


 「ん〜だいぶ疲れた」


 「日向くんの場合、他の人達の動きを見ながらモンスターに指揮をしないといけないからね」


 「まぁでも、ライトさんよりかは難しくないよ。結局見るのは動く範囲だけだし、指示を出すのも最大四体だ」


 そう考えると、リーダー経験って本当に重要なんだなって事だな。

 下手なリーダーが率いいる部隊ほど弱いモノは無い。


 「明日は時間あるよな。愛梨はどうする?」


 「同じだよ」


 「なら、明日もう一回練習だな」

お読み下さりありがとうございます!

総評が2100を越えました! やりました! ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ