表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/86

23.正真正銘のチート切り札

 ダンジョンでは一人四つのモンスターカードを使用出来ると言うルールがあり、それは常識でもある。

 そしてこのイベントではそれが一つとなっている。種類の変更も出来ないルールが存在する。


 しかし、このシークレットメイドはそれをぶっ壊す性能をしている。

 言うなれば、ルールブレイカー。


 「逆鱗」


 愛梨の刀に蒼いオーラがまとわりつき、横薙ぎに一閃する。

 白龍は空に向かって逃げていたが、かなり深手を負っていた。


 「空に逃げるなんて、恥ずかしくないのか! このチータ!」


 「単騎で一瞬で一級モンスターに深手を負わせるお前に言われたくないわ!」


 二人の喧嘩を聴きながら俺は一枚のカードを取り出す。

 正真正銘の切り札。

 最強かつ最弱のメイド。


 「戻って来い! そして来い、『特級軍神メイド:メイ』解放(リベレーション)!」


 一人のメイドをキューブに鎖で繋いだ物体が俺の背後に出現した魔法陣から出て来る。

 ジリリと音を鳴らしながら鎖は解けて、メイが墜落する。


 「メイ、召喚だ!」


 「御意。軍メイ召喚、全軍出撃!」


 メイは戦闘メイドを最大百体まで召喚出来、スキルを付け加える事が出来る。

 付け加えた分だけ、身体能力が落ちてしまう仕様が存在する。

 今回は魔法を使うメイドや空を飛ぶメイドで分けている。


 召喚ってよりも生成に近い。

 しかし、このメイド達では白龍に太刀打ちできない。


 「白龍!」


 白龍のブレスで一瞬で消滅する。

 何故かって?

 メイで召喚されるメイドのステータスはこの俺が参照されるからだ。

 つまり、このイベントでは、メイド一人がプレイヤーと同じ身体能力をしており、スキルを与えた事により少し弱体化している。

 当然、現状の俺でも耐えられないだろう白龍の攻撃をメイドは耐えられない。


 「これが切り札か! このような雑魚軍団では意味が無い!」


 「いーや、それは登録の時間稼ぎだ」


 メイドが命を使って稼いでくれた時間で俺はスマホを操作していた。

 一級を超える特級がこの程度の力な訳がない。


 『特級軍神メイド:メイ』の真骨頂は⋯⋯ここからだ。

 これがルールブレイカーと俺が勝手に呼ぶに至る、最大の力。


 「メイ、代理召喚!」


 「御意、マスターカードの使用、代理召喚、開始します」


 機械的に述べられた文章。

 俺のスマホから複数枚のカードが出て行く。

 金色と銀色。


 その数は簡単に七十を超える。

 金色は一級、銀色は二級。

 一級と二級ではかなりの差がある。白龍のような一級でも上位クラスのモンスターなら尚更だ。

 だが、五十程の数があればどうだろうか?


 しかも一級は二十以上だ。

 どれだけ階級内に格差があろうとも、これなら白龍を貫ける。


 メイの真骨頂、それが『代理召喚』。

 その名の通り、俺の代わりにモンカドを使ってモンスターを召喚してくれる。

 条件としてメイドの名前を関するモンスターだけだけど。

 その代わり、数が存在しない。


 モンカドで召喚されたモンスターのステータスなど諸々は下がらない。

 つまり、なんのデメリットもなく、一つしか召喚出来ないと言うルールを覆すのだ。

 しかも、メイは軍に対してバフを与える事が出来る。

 ステータスは下がるどころか上がるのだ。


 「これが正真正銘の切り札の力だよ一級モンスター二十体以上の力、受けてみろよ」


 「ッ!」


 愛梨はメイの事を知っている。

 だからもう、愛梨は戦えない。

 何故なら、メイは戦闘の衝撃波だけで死ぬから。


 本来は数の決まったモンスター召喚を制限なく出来る代わりに、メイのステータスは最底辺だ。

 スキルに〈紙耐久〉と〈弱小〉がある。

 これは軽い衝撃でもメイが死ぬ事を意味している。


 さらに、〈直立不動〉と言うスキルもある。

 これは、召喚した場所から一切動かなくなると言うスキルだ。

 メイの弱点はただ一つ、メイ自身が圧倒的に貧弱な事だ。


 「ふん。くだらぬ。白龍、薙ぎ払え!」


 防御を得意とするメイドは二人。

 二級を含めたら複数人。


 「防御陣形」


 それらのメイドが盾を作り出し、メイがバフを与える。

 これだけで、完全に白龍のブレス攻撃が防げる。


 「なに!」


 「メイ、あの龍を叩きのめせ!」


 「御意。総員出撃、猛攻撃陣形、殲滅指揮!」


 バフを与えての強化、一級メイド達の攻撃、二級メイドの攻撃、いくら強い部類の一級モンスターでも一溜りもない。


 「これが本当の不正行為(チート)だよ」


 「確かに、一つしか召喚出来ないのに、七十以上だからね」


 「これの凄い所は、本来なら俺の召喚枠はまだ三つあるところだ」


 さぁどうする白龍!


 「ち、スターストリーム!」


 モーニングスターをスキルを使って我武者羅に振るうが意味が無い。

 白龍の攻撃も完璧に防がれる。


 「お前が言った事だ。モンスターの力はプレイヤーの力を凌駕する! どうだよ今の気持ちは!」


 「猛攻撃を防ぐのが精一杯で聞こえてないね」


 「しゃーないな」


 魔法の攻撃音だけではなく、銃声も聞こえるのだ。

 銃を扱うメイドが居るからね。

 メイドの数を増やせば増やすだけ、つまりはイベントガチャを引けば引くだけ、メイの価値は跳ね上がる。

 愛梨の虐滅刀は敵の数が多ければ多い程に火力が上がるから、愛梨との相性は悪い。


 でも、俺との相性は抜群だ。

 数を増やすのがガチャの利点だからな。


 「沈め、白き龍」


 「厨二臭いね」


 「⋯⋯言わんでよ」


 「は、白龍!」


 大きな龍が消えていく。


 「殺れ」


 「御意。標的変更、総攻撃開始」


 「スピードスター!」


 速っ!


 八神、あいつ逃げると判断するのがめっちゃ速い。

 スキルを全力で使って逃げやがる。

 もうかなりの距離が話されている。


 メイド達では間に合わない。

 でも、俺なら間に合う。


 「あー⋯⋯リイアたん!」


 「うん。使えるよ。⋯⋯逆鱗!」


 愛梨が刃を逆向きにして、(むね)の部分を八神に向けて構える。

 俺はジャンプして、足をその場所に着ける。


 「飛翔の刃!」


 愛梨が放つ斬撃スキルに便乗しての超加速であり、一直線の移動。

 愛梨と一緒にダンジョン攻略していた時に編み出したコンビ技だ。

 刀を振るうタイミング、足を着けるタイミングが噛み合わないと出来ない芸当だ。


 その衝撃でメイが死に、メイド達が光り輝き消えていく。

 でも、今はアイツを討ち取る事に集中する。


 「行っけえええええええ!」


 「ふっとべええええええ!」


 俺は加速して相手に接近する。

 加速スキルを存分に使っているだろう八神。

 それでも追いつく。


 今回の愛梨は判定的には『敵』なのだ。

 このコンビ技を使う時は大量のメイドが居た。

 しかも、八神には向けてないが、他のメイド達も全力で召喚していた。

 もしも一級と二級のメイドが殺られたら、愛梨が戦う為だ。


 他のメイド達を出していたら当然それらは愛梨の『敵』となる。

 その数は300以上。三百連以上は引いたからね。階級にこだわらなければ沢山居るぞ、メイドはな!

 シークレットを引いた後でも引きまくったからな!

 追いガチャを適当にしていたので、具体的な数は知らん。


 ただ、重要なのはそんな数が愛梨の『敵』である事だ。

 愛梨の専用武器、『虐滅刀』は愛梨に対して敵の数が多ければ多い程火力が上がる。

 今回の場合はメイと相性が良かったと言える。


 そんな数が敵として愛梨の近くにおり、虐滅刀の効果範囲の場合、その火力はきっと、愛梨ですら見た事の無い力を出す。

 そんな力で俺は放たれたのだ。


 そのスピードは新幹線をも軽く凌駕する!

 素の愛梨ではここまでの速度は出ないのだ。

 万全の備えがこうも良い感じに運ぶとは、流石に予想外である。


 「くっそ、クソ、なんだよ!」


 高く跳躍して逃げようとする八神。

 だが、まだ間に合う。


 俺は軽く地面を蹴って、横向きの力を斜め上に切り替える。

 目の前には八神が居る。


 「霧外流、抜刀術、移流霧(いりゅうぎり)!」


 「く、来るな!」


 俺は八神を上空で斜めに斬り裂いた。


 「なんで、白龍は、最強なのに⋯⋯」


 言い残し、消えて行った。

 俺は瓦礫の山に着地する。

 そして、近寄って来ていた目下に居る愛梨を見下ろす。


 「能力封印(スキルロック)


 それは再戦の意志を示す言葉。

 愛梨が白銀の刃を俺に向け、対する俺は愛梨に黒い刃を向ける。


 そして、互いに構える。


 「負けない」


 「絶対勝つ」


 刹那、互いに足場を蹴る。

いつもよりもだいぶ遅れましたすみません!言い訳ですが、昨日の1時間スペシャルの録画を見てました。

今日の12時代にも投稿致します!

およみくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ