94.一時の別れ
ロッカーの中から外を見る。煙玉の煙と視界の狭さでわかりにくいが、これなら向こうからはもっとわかりにくいだろう。
……よく考えたら、俺は隠れる必要なかったんじゃ……ま、まあいいや。
ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ!
「シュコォォー、シュコォォー……」
キョロキョロ、キョロキョロ。
大きな足音をたてて死神がやってきた。罠があった場所のあたりで立ち止まると周囲を窺っている。あいつ、この状況で見えているのか?
トラップを仕掛けた奴も近くにいたから、罠にかかった相手がどうなったか確認に来るはず。彼らが鉢合わせになれば――。
「ゴホッ、ゴホッ……!」
(!?)
「!シュー……コォォー……」
今の咳は妹の!?どうしたんだ…………あっ、煙がこっちに来てる!死神が勢いよくきたから、流れてきたのか!?
ま、まずい!今の声でばれたか!?じっと妹が入っているロッカーを睨んでいるんだけど!こ、怖い!某ゲームとは違って隠れているドアを開けたら即捕まってしまう、なんてことにはならないが……。
今にも妹のいるロッカーに突撃する雰囲気だ。もう確信しているのか?……こうなったら、飛び出して逃げた方がいいのか――と、考えたその時!
ドォォォン!ドォォォン!
「ゴオオォォ!?」
重い弾丸の音が二回聞こえて、二発が死神の頭と足に直撃した。ナイスショット!
さっきまでロッカーを見ていた死神の目が怒りで真っ赤になり、音のした方へ飛び込んでいく。
「!こいつ、まさか死神!?くっ!」
「ガァァァ!!」
女性の驚いた声と逃げていく足音がした。もっと混乱するかと思ったが……戦わずにすんで良かった。
なすりつけ成功、さらば死神!……でもまた現れそうな気がするんだよなぁ……。




