81.祈らずにはいられない!
「ハアァァァ」
妹が気合を込めている。目の前にはモンスター……ではなく宝箱が。
ちなみにミミックのような偽装したモンスターでないことは確認済みだ。それなのに、何故こんなに力を溜めているかというと――。
「我が幸運の力を今ここに……いい物、来いっ!」
パカッ!!
渾身の力を込めたのに、気の抜けた音が響いた。まあ宝箱を開ける音なんて全部同じだと思うが……。
「これは……くっ、また通常の薬草ですか。こんなに念じているのに!」
「中身はランダムとはいえ、まだ浅い階層だからなぁ。なかなかレアものは難しいだろう」
「キュー……」
「いえ、あなたが責任を感じることはありませんよ、トリック。私の運と兄さんの徳が足りないせいですから」
「トリックに責任がないことは同意だけど、俺の徳と宝箱の中身に関係性はないだろうが!お前の徳が足りないのは明白だけど」
「そんな!?いつも兄さんから吸収しているのに!」
「どうやって!?」
そんなことをしているから、罰が当たっているんじゃないのか!?
トリックが出口と、ついでに宝箱を見つけてくれた。まだ貴重な物は入っていないと思うが、回収に向かった。
発見した宝箱は全部で三つ。二つまでは普通に開けていたのだが、最後に妹がいきなり始めやがったという訳だ。まあ祈りたくなる気持ちはわかる、中身ランダムだから。
「大した物がなくても、宝箱を発見したら開けずにはいられません。逃がした魚は大きくなり、逃した宝は秘宝になるのです!」
「何を言っているんだお前は!?」
開けずにはいられない、という部分には共感できるが……。
どうやら初めてのダンジョンでテンションがおかしくなっているようだ……いや、俺に対してはいつもおかしいか?
休憩を、いやそれよりも、少し冷静になるくらいの敵でも出てきてくれないかな?




