80.浮いているけど浮気は嫌い?
「キュー!」
「おっ、また次の階層へ行く扉を発見してくれましたか。よしよし」
「キュー♪」
「ちょ、俺の腹を撫でまわして何が楽しいんだ!?せめて別の場所にしてくれ!」
トリックの偵察はダンジョンでも素晴らしい成果をあげていた。壁を簡単にすり抜けて行くと、しばらくして戻ってきて目的の場所を見つけてきてくれるのだ。これで三回目。
ただ、撫でられるのは妹がよくて、触りたいのは俺らしい。何故?こういうのは普通逆じゃないだろうか?実際、最初は妹にあんなにまとわりついていたのに……。
いくつか質問して答えてくれた(キューしか行っていないが、はい、いいえ、わからないを発音や態度で判断した)内容から予想すると、どうも俺のアバターの方が触り心地がいいらしい。
女性アバターの方がいいのでは、と考えてしまうのは、俺が男だからだろうか……触り心地の違いなんて聞いたことないが、何かいいことあるのかな?
「うーん、兄さんのアバターは霊媒体質ということでしょうか?」
「体を乗っ取られた経験はないけど……別の霊がいたら反応を調べてみるか」
「キュー!?」
「……兄さん、浮気を責められていますよ」
「何の話だよ!?それにお前の契約相手妹だろ!?」
――俺の精神的疲労は増加したが、トリックのおかげでダンジョンの進行は順調だ。もう少し進んだら探索を始めよう。




