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8.休息と今後の方針

 「美味しい!仮想世界とは思えない味わいですね!注文したらすぐに出てきましたし」

 「それは良かったけど、なんでカツ丼?」

 「勝ちましたから!」


 近くの店に入りメニューを見た妹はすぐにカツ丼(大盛り)を注文、現実と変わらぬ食欲を誘う色彩と香りに感動しつつ律儀にいただきますと挨拶してから躊躇なく口に運んだ。最初に口に入れる時大抵の人は慎重に食べるのだが……。

 しかし相変わらず幸せそうに食べるなぁ…僕は何もしていないので注文しなかったが、見てるだけで食べたくなってきた。今日の夕食はカツ丼にしよう!

 軽く理由を聞いたら豪快な答えだった。験担ぎで勝負の前に食べる物ではなかったか?

 

 食べ終えたので食後のお茶を注文した。

 「お茶も本物みたいですね。本当に凄い技術力です」

 「そうだな、それが現実で問題になる事もあるけど…」

 そこは僕達が考えても仕方ないだろう。


 

 

 一息ついた後、妹が話始めた。

 「兄さん、今後のゲームのプレイ方針を私なりに考えてみました」

 「おお、どうするんだ?」

 「しばらくソロでプレイしてみようと思います。兄さんは…」

 「じゃあ僕は今まで通り黒子に徹するよ」

 「え、でも見てるだけで楽しいんですか?」

 「楽しい!というか面白い!そしてこれからもっと面白くなる確信がある!!寧ろプレイする時は連絡して下さいお願いします!!!」

 「そ、そうですか…私も傍にいて話相手になってくれた方が心強いですが…兄さんこんな性格だったかなぁ…」

 おっと、つい興奮が抑えられなかった。妹が若干引いてしまったぞ。

 だが仕方がない。何が起きるのか全く予想がつかないし何を起こしてくれるのか期待せずにはいられないのだから!


 「ステータスポイントですが今後は運に極振りしていこうと思います」

 「それは……闘気でも運だけは上げられそうにないからか?」

 「はい、他はなんとかなりそうですが、運だけは流石に…」

 「普通のソロプレイなら反対するけどお前には当てはまらないからなぁ……うん、いいんじゃないか?」

 「ダジャレはいいですから」

 「え?あ!気付かなかった!」


 誤解されてしまった…これも日頃の行いか…。

 

 

 「武器使わずに素手で戦っていたけど、今後もそのスタイルでいくのか?」

 「本当は武器も防具も使わずに戦いたいのです。ステータスに干渉されると闘気がうまくコントロールできなくて…」

 「いやそれが装備の役割でゲームの面白さなんだが…」

 

 装備不要宣言!!そんな事を言う奴初めて見た!妹以外にいるだろうか………。

 

 「つまり…裸一貫での戦いを望むと?」

 「は、裸!?……言葉の意味は正しいですけどその言い方は誤解を招きますよ!?見た目を変えるだけの装備とかありましたよね?あれがいいです!」

 「なるほど…それならいくつか持っているから好きなのを貸すよ」

 「よろしいのですか?お金はありますので店を教えてもらえれば自分で買いますけど」

 「使わないし構わないよ。女性用装備とか装備できないし」

 「え、兄さんの性癖が露呈されてしまってもいいんですか?まあ知ってますけど」

 「そういう目的で持ってるわけじゃないから!?使わなくても弱くても一つは確実に持っておきたいんだよコレクターとしては!いやそれよりも知ってますって言ったのかお前!?」

 

 恐ろしい事実が判明した!勘違いである事を願うしかない!?


 「そういえば対人戦になることもあるんですよね?私から仕掛けるつもりはありませんけど」

 「イベントとか決闘とか無法地帯でな。対人拒否設定にしておけば普段は問題ないだろう。イベントには参加しないのか?」

 

 ちなみにプレイ内容次第では対人拒否できなくなるが妹には無用な心配だろう。


 「興味はありますけどこの闘気を使って真っ当なプレイヤーの方々と競い合うのは抵抗があります。闘気を使わずに参加するのは私がつまらないですし」

 「もし理不尽に襲われたりしてもわざと負けるのか?」

 「その時は証明書を掲げて戦いますよ。勝てるかどうかはわかりませんが」

 「プレイヤーキラーは周りにステータスやスキルがわかるようになっているからそれを参考にすればいいぞ」

 

 他人のステータスやスキルは基本見る事ができない。上手いプレイヤーによっては動きを見ただけでステータスを正確に予測したり、戦いの中で所持スキルを看破してくるものもいるが。


 「そういえばプレイヤーに闘気使っても大丈夫なのか?運営が許可しているから問題ないとは思うが」

 「心配なら、この後兄さんに試してみますか?ストレス…じゃなくて不安を解消しましょう!」

 「……」

 

 一瞬別の単語が聞こえたような…空耳かな…

 


 「つまり、まとめるとこういうことか?」


 妹のプレイスタイルと今後の方針を確認する。


 「己の内にある力と衝動の赴くままに戦いたい。装備は見た目だけ変える物が望ましくてステータスは運に極振り。パーティーは組まずにソロで活動しつつ対人戦は拒否……」

 「やはりおかしいでしょうか……」

 「おかしくはない、珍しいだけだ。楽しみ方は人それぞれだよ」

 「ふふっ、ありがとうございます」

 「仮におかしくても構わないだろう。折角の仮想世界なんだし」


 仮想世界でも守らなければならないルールやマナーは存在する為何をしてもいいとは思わないが、それに触れなければやりたいようにやるべきだろう。

 しかしイベントは不参加か…気持ちはわかるし見てるのも楽しいけど…。





 この後闘気とやらを試しに受けてみたが変な痛みはなかったし、異常やバグも発生しなかった。さらに一度ログアウトして現実にもどってみても肉体に異常は見られなかった。対人戦で発覚する事はないだろう。

 まあ仮想世界で不思議なエネルギーを使っているという発想がそもそも出ないか…。


 

 

 


 



 


 

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